更新日:2018年7月10日
万一の際の備えとしての計画停電の考え方について
当機関は、一般送配電事業者10社と「万一の際の備えとしての計画停電の考え方」について取りまとめました。
公表までの経緯
総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 第5回電力・ガス基本政策小委員会(2017年10月24日開催)にて、需給状況が比較的安定している平時(※)においてこそ震災など突発的な事象に備えておくことが重要であり、万一の際の備えとして計画停電の考え方について、改めて確認・検討し、公表するべきと示されました。
これを受け、当機関は一般送配電事業者10社と検討を進めてまいりました。
※2018年度夏季の電力需給は、当機関の「調整力及び需給バランス評価等に関する委員会」において、全国的に安定的な電力供給に必要な供給予備力が確保できる見通しであることを確認しています。
震災等による需給ひっ迫時の対応
震災等により需給ひっ迫となった場合、当機関は、一般送配電事業者・発電事業者・小売電気事業者と協調して、需給状況の改善に努めます。
震災等による需給ひっ迫への対応が必要となるケース
電力を安定して供給するためには、電気を消費する量(需要)と電気を生み出す量(発電量)のバランスを常に一致させる必要があります。需給のバランスが崩れると、周波数が乱れ、発電所の発電機や工場の機器などに悪影響を及ぼすことになります。普段そうした事態が発生していないのは、一般送配電事業者が実際の需要の変動に合わせて、24時間365日、発電量を調整し需給バランスを維持しているからです。
万が一、震災等が発生して、発電設備や電力流通設備が大きく損壊すると、発電量の調整によるバランス維持ができなくなることが考えられます。その状況を放置すると、連鎖的に発電機が停止し、広域的な大規模停電に波及するおそれがあります。
イメージ図(60Hzエリアを例示)
需給改善のための方策
広域的な大規模停電に波及するような事態を未然に防ぐため、当機関は業務規程に基づいて、一般送配電事業者に対するエリア間の電力融通等を指示し、発電設備の損壊などにより不足した供給力の回復に努めます。
万一の際の備えとしての計画停電の考え方
上記の方策を行ってもなお、需給状況が改善しない場合、広域的な大規模停電を回避するための最終手段として、計画停電を実施することがあります。万一の際の備えとして、計画停電の考え方についてお知らせします。
計画停電を実施せざるを得ないケース
計画停電は国民生活や社会の経済活動に多大な影響を与えるため、不実施が原則です。
震災等による需給ひっ迫が発生した場合でも、当機関や一般送配電事業者・発電事業者・小売電気事業者の対応、更には国からの節電要請により、極力、計画停電の回避に努めます。それでもなお、需給状況が改善しない場合は、国・当機関・ひっ迫エリアの一般送配電事業者の共通判断として、計画停電を実施する場合があります。
計画停電の必要性
需要に対して大幅に発電量が不足した場合、周波数が低下します。周波数が低下すると、運転中の発電機も安定的な運転ができなくなり、最悪の場合、連鎖的に発電機が緊急停止し、広域的な大規模停電が発生します。このような現象を回避するため、発電不足量に応じて需要を制限する必要があります。
計画停電により対応を行う場合には、あらかじめ発電不足量を算定し、その量に応じて計画的に停電を行います。 その際には、停電する地域が必要最小限となるよう調整します。停電する地域と時間帯を事前にお知らせすることで、停電に備えていただくことができます。もし計画停電を行わなかった場合には、発電不足量に応じて自動的に需要を遮断することになるため、突然広範囲の停電が起き、社会に大きな混乱を与えるおそれがあります。
イメージ図(60Hzエリアを例示)
計画停電の考え方について各一般送配電事業者よりお知らせする項目
当機関が計画停電の考え方を取りまとめるうえで、各一般送配電事業者にて公表すべきとした次の項目については、各一般送配電事業者のWEBサイトにてお知らせします。
公表すべきとした主な項目
- 計画停電をお願いする時間帯の考え方
- 計画停電の対象グループの考え方
- 停電時間帯のローテーションの考え方
- 計画停電実施時の注意事項例
- 計画停電の対象グループの確認方法
一般送配電事業者のWEBサイト
関連リンク
- 第5回電力・ガス基本政策小委員会 「資料6-2 2017年度冬季の電力需給見通しと電力供給に係る現状と課題について」 (2017年10月24日)
- 電力需給に関する検討会合・エネルギー・環境会議合同会合 「セーフティネットとしての計画停電について」 (2012年6月22日)