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当機関からのお知らせ

更新日:2024年4月1日

万一の際の備えとしての計画停電の考え方について

当機関は、資源エネルギー庁、一般送配電事業者10社と「万一の際の備えとしての計画停電の考え方」について取りまとめました。

経緯

総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 第5回電力・ガス基本政策小委員会(2017年10月24日開催)にて、需給状況が比較的安定している平時においてこそ震災など突発的な事象に備えておくことが重要であり、万一の際の備えとして計画停電の考え方について、改めて確認・検討し、公表するべきと示されました。

我が国における電力の供給エリアは北海道~沖縄まで10のエリアに分かれていますが、そのうち北海道~九州までの9つのエリアは送電網(地域間連系線)で一つにつながっています。また、東日本大震災での電力不足の経験などを踏まえて、電力が不足するエリアへ他のエリアから電力を届けるために、地域間連系線の整備を進めています。こうした取り組みもあり、現在は、電気をつくる場所と電気をつかう場所は一つのエリアに留まることなく、地域間連系線の容量の範囲内で9つのエリアが一体となって電力の取引や運用が行われています。

これを電力の広域的な運用と呼び、日常的な電力需給運用において、従前のエリア単位での予備率管理ではなく、地域間連系線を最大限活用した広域ブロック単位での広域予備率※管理を行うことで、どこかのエリアで電力の需給ひっ迫が発生した場合においても、複数エリアが一体となり、相互に助け合う仕組みとなっています。計画停電においても、電力が不足する被災エリアだけに負担が集中してしまうことを考慮し、複数エリアが一体となって助け合うことで負担を分担するため、複数エリア(広域ブロック)で計画停電を実施する方向性が第66回電力・ガス基本政策小委員会(2023年10月31日開催)にて示されています。

これを受け、当機関は資源エネルギー庁、一般送配電事業者10社と検討を行いました。

※各エリアの需要に対する供給余力を示す値を「エリア予備率」といいます。沖縄エリアを除くエリア間において、供給余力を融通することで均平化した予備率を「広域予備率」といい、広域予備率が等しくなるエリアは1つの広域ブロックになりますが、広域予備率が等しくならない場合は複数の広域ブロックが形成されます。

50Hz系統と60Hz系統が別々の広域ブロックになる例

震災等による需給ひっ迫時の対応

震災等により需給ひっ迫となった場合、当機関は、一般送配電事業者・発電事業者・小売電気事業者と協調して、需給状況の改善に努めます。

震災等による需給ひっ迫への対応が必要となるケース

電力を安定して供給するためには、電気を消費する量(需要)と電気を生み出す量(発電量)のバランスを常に一致させる必要があります。一般送配電事業者が実際の需要の変動に合わせて、24時間365日、発電量を調整し需給バランスを維持しています。需給のバランスが崩れると、周波数が乱れ、発電所の発電機や工場の機器などに悪影響を及ぼすことになります。

万が一、震災等が発生して、発電設備や電力流通設備が大きく損壊すると、発電量の調整によるバランス維持ができなくなることが考えられます。その状況を放置すると、連鎖的に発電機が停止し、広域的な大規模停電(ブラックアウト)に波及するおそれがあります。

イメージ図(60Hzエリアの例)

需給ひっ迫時の対応

需給改善のための方策

広域的な大規模停電に波及するような事態を未然に防ぐため、当機関は需給ひっ迫又は需給ひっ迫のおそれが認められる場合の対応を定めた電気事業法第28条の44第1項及び業務規程第111条第1項の規定に基づいて、一般送配電事業者に対するエリア間の電力融通等を指示し、発電設備の損壊などにより不足した供給力の回復に努めます。

万一の際の備えとしての計画停電の考え方

上記の方策を行ってもなお、需給状況が改善しない場合、広域的な大規模停電を回避するための最終手段として、計画停電を実施することがあります。万一の際の備えとして、計画停電の考え方についてお知らせします。

計画停電を実施せざるを得ないケース

計画停電は国民生活や社会の経済活動に多大な影響を与えるため、不実施が原則です。

震災等による需給ひっ迫が発生した場合でも、当機関や一般送配電事業者・発電事業者・小売電気事業者の対応、更には国からの節電要請により、できる限り計画停電の回避に努めます。それでもなお、需給状況が改善しない場合は、需給ひっ迫する広域ブロックで計画停電を実施する場合があります。

計画停電の必要性

需要に対して大幅に発電量が不足した場合、発電量の調整による需給のバランスが維持できなくなり、周波数が低下します。周波数が低下すると、運転中の発電機も安定的な運転ができなくなるおそれもあります。

計画停電により対応を行う場合には、あらかじめ発電不足量を算定し、その量に応じて計画的に停電を行います。 その際には、停電する地域が必要最小限となるよう調整します。停電する地域と時間帯を事前にお知らせすることで、停電に備えていただくことができます。もし計画停電を行わなかった場合には、発電不足量に応じて自動的に需要を遮断することになるため、突然広範囲の停電が起きることにより、準備が無い中での停電となるため、社会的混乱を生ずることを含め、国民生活や社会の経済活動に極めて大きな影響を与えるおそれがあります。

イメージ図(60Hzエリアの例)

計画停電の必要性

計画停電の実施範囲

2024年度以降は、地域間連系線を最大限活用することを前提とした、広域ブロック単位の需給運用を行うため、需給ひっ迫時には広域ブロック単位で需給対策を実施します。計画停電は国民生活や社会の経済活動に多大な影響を与えるため、不実施が原則ですが、あらゆる需給対策を踏まえても、依然として広域ブロックの供給力が不足すると見込まれる場合(例えば、大規模な地震や津波で複数エリアにまたがる電源・流通設備被害が発生するような場合)には、需給ひっ迫する広域ブロックにおいて計画停電を実施します。需給ひっ迫する広域ブロックの全エリアで実施することが原則ですが、需給状況によっては、広域ブロック内すべてのエリアを計画停電の対象としないことで、全体の停電量を低減できる場合があるため、対象外エリアを設けることがあります。詳細については第94回調整力及び需給バランス評価等に関する委員会(2024年1月24日開催)にて整理されています。

50Hz系統の広域ブロックが需給ひっ迫しているケースの例

計画停電の考え方について各一般送配電事業者よりお知らせする項目

当機関が計画停電の考え方を取りまとめるうえで、各一般送配電事業者にて公表すべきとした次の項目については、各一般送配電事業者のWEBサイトにてお知らせします。

公表すべきとした主な項目

資源エネルギー庁、一般送配電事業者のWEBサイト

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