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更新日:2017年11月22日

第2回評議員会 議事録

1. 日時:2017年9月22日(金曜日)14時~15時35分

2. 場所:電力広域的運営推進機関 豊洲事業所会議室(東京都江東区豊洲6-2-15)

3. 議事

報告事項

(1) 容量メカニズムと容量市場の検討について

(2) 電気供給事業者に対する指導等について

(3) 活動状況報告(平成29年4月~8月)

4. 出席者

(1)評議員(17名中14名出席)

野間口評議員会議長、石川評議員、江﨑評議員、大高評議員、大橋評議員、倉貫評議員、鈴木評議員、高村評議員、夏目評議員、松村評議員、村上評議員、山内評議員、山地評議員、渡辺評議員

(2) 電力広域的運営推進機関

金本理事長、佐藤理事、遠藤理事、寺島理事、内藤理事、桑原総務部長、進士企画部長、藤岡計画部長、竹内運用部長

5.議事の経過及び結果

●佐藤理事

ただ今から、平成29年度第2回評議員会を開会します。

まず、評議員の辞任につきまして、ご報告申し上げます。安念潤司評議員が一身上の都合により、平成29年6月23日付にて辞意を示されたことから、同日付で定款第50条第2項に基づき、経済産業大臣に報告いたしました。これにより、現在の評議員数は17名となります。

本日は、現時点で総員17名中14名が出席しており、定款第45条第1項に定める過半数に達しております。それではまず、お手元の資料をご確認ください。本日は報告事項3件です。資料は、次第に記載のとおりですので、配布漏れ等がありましたら、事務局までお知らせください。またご発言の際は、お手元のマイクスイッチをオンにしてから、ご発言されますようお願いいたします。それでは、議事進行を野間口議長からお願いいたします。

○野間口議長

それでは議案の審議に先立ちまして、定款第52条に定める議事録署名人を指名したいと思います。夏目評議員と山地評議員にお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。よろしくお願いいたします。

報告事項(1)は、容量メカニズムと容量市場の検討についてです。事務局から説明をお願いします。

●進士部長

容量メカニズムと容量市場の検討について、報告事項(1)の資料、パワーポイントに基づきご説明申し上げます。

3ページをご覧ください。まず容量市場創設の背景でございますが、一つ目の四角、二つ目の矢じりにありますように、中小規模の小売事業者からは、中長期の供給力の内多くを「調達先未定」とする計画がなされていること、すなわち、供給力が確保されていないケースが顕在化しております。また下の左側のグラフにありますように、将来多くの火力発電設備が休廃止される予定となっております。そのような背景のもと三つ目の四角の最後の2行ですが、電源の新陳代謝が市場原理を通じて適切に行われることを通じて、より効率的に中長期的な供給力・調整力を確保する目的で検討しておりますのが、容量市場でございます。発電所の建設には当然建設コストがかかり、建設後もその維持費がかかります。そのような固定費を回収できることが発電所の維持ひいては供給力の確保の鍵となります。7ページにありますように、現在の電力取引は発電電力量kWhで行っておりますが、実際には収入の一部を固定費回収に充てているということになります。電源Aのように、限界費用すなわちランニングコストが安ければ固定費に充てる分を多くできますし、逆に電源Dの例ですと固定費は回収できません。9ページをご覧ください。今後、再生可能エネルギーが大量導入されることによって、限界費用ゼロの発電設備が市場に多く投入されることになります。それによりグラフ中の供給曲線が赤から黄色に変わります。したがって、需要曲線との交点が下がり、卸電力価格は下落することになります。この例ですと、LNG価格から石炭価格に下がり、LNG火力は運転できない状況になってしまいます。実際に海外の例を見てみますと、10ページにございますように、イギリスでは左のグラフの折れ線グラフのように再生可能エネルギーの導入量が増えますと、右側のグラフの太い水色の線ガスタービンコンバインドサイクル発電所の設備利用率が下がり、現に9ページでご説明したことが実際に起こっております。そこで11ページにありますように、発電投資の回収予見性を高める施策として容量市場の導入を検討しております。

では、容量市場が導入されますとどのような効果があるかについてご説明申し上げます。15ページをご覧ください。一番右側のグラフに「措置なし」とございますが、容量市場を導入しないと供給力不足になり、需給ひっ迫した場合に価格スパイクが生じます。価格スパイクが生じると発電事業者の収入が増え、発電所の新設投資もしくは発電所の維持のお金を回せるようになります。このような市場の成り行きによる価格スパイクに委ねるという考え方もあり、現にノルウェー、スウェーデン、豪州はそのような方針を取っております。また真ん中のグラフにありますように、ひっ迫がある一定値を超えたら人為的に価格スパイクを起こさせるという米国テキサス州のERCOTの方針もございます。それに対し、容量市場を導入しますと、左のグラフのように価格スパイクを抑制することができます。そのメカニズムを示したのが17ページでございます。容量市場が導入されない場合、赤の点線のようになり黄色の部分に相当する価格スパイクが生じます。それに対し、容量市場が導入されますと、容量価格を指標として投資判断を早めることができるので赤の実線のように価格スパイクを抑えることができます。次に21ページをご覧ください。現在検討している容量市場は個別に容量を相対取引する分散型ではなく、全国で一つの市場とする集中型を考えております。その優劣を整理したものが22ページの表でございますが、容量確保に係る高い実効性や、支配的事業者への対応のしやすさなどが集中型とした理由でございます。容量市場でのお金の流れを示したものが24ページの図で、極めて重要な概念でございます。小売事業者A、B、Cからは税金のように強制的に費用を取ります。そのお金を発電事業者A、B、Cに配分いたします。これが容量市場の機能です。発電事業者はお金を受け取った代わりにkW価値を提供、具体的には発電機をきちんと運転します。

最後に、今までの検討状況と論点についてご説明申し上げます。29ページにありますように、容量市場は2020年度に最初の取引を開始し、その支払いは、図には2021年度以降とありますが、2024年度を想定しております。これに向けて広域機関では、32ページにありますように、4回の勉強会を経て、現在検討会を開催して具体的課題を検討している状況でございます。論点を33ページから39ページにかけて記載してございます。一、二例ご紹介いたしますと、33ページの他市場との関係でして、容量市場で確保すべき容量はどこまでの範囲とすべきか、という論点でございます。現在のところ大規模災害などの稀頻度事象に関しては容量市場の対象外とし、それらにつきましては電源入札等で対応すべきという考えでございます。また、39ページには需要曲線についての記述がございますが、これをどのようにするかによって容量市場の価格が変わってまいります。39ページにあるのは米国PJMの例ですが、PJMも状況に応じて需要曲線を変更しているのでそれらの経緯なども参考にしながら、日本において適した需要曲線とはどのようなものであるかを議論しております。40ページにありますように今後検討会が予定されておりますが、これらの検討会は国の制度検討作業部会とも連携し、課題の解決を図ってまいります。広域機関企画部では9名のメンバーが専属で対応し、検討会の運営はもちろんのこと経済産業省、電気事業連合会との調整、新電力の方々や有識者の方々からの意見の取りまとめ、海外調査などを行いながら対応しております。説明は以上でございます。

○野間口議長

ありがとうございます。それでは、評議員のみなさんからご意見、ご質問ございませんでしょうか。要点が押さえられた説明だったと思いますが、おわかりにくいところがあれば遠慮なくお願いします。

○倉貫評議員

教えていただきたいのですけれど、発送電分離となったときに、発電事業者が、容量市場ができても発電設備を作りたくないという判断をするところもあるかと思うのですが、そういう場合というのは、容量市場のメカニズムはうまく機能するものなのでしょうか。

●進士部長

そのまま放っておくと発電設備が不足して供給力が不足する可能性があるので、今ご説明申し上げましたように、小売事業者からお金を取って、そのお金を発電事業者に渡すことによって、発電投資のインセンティブ、もしくは今ある発電所は維持していただくというお金に充てていただきます。

○倉貫評議員

それは価格によるわけですよね。

●進士部長

おっしゃる通りです。ですからお金を渡せば絶対にその発電所が必ず生き残ることが保障されるわけではございません。

○倉貫評議員

海外では、あまりうまくいっていないという話をよく聞くんですね。そこだと思うのですが。

●進士部長

ご指摘のとおりでございまして、海外でも容量市場を入れれば全部大丈夫だということではございません。イギリスでも小さな発電所しかできていないとか、いろいろな例を聞いておりますので、そういう例も参考にしながら、どこがいけないのか、あるいは日本にアプライする場合にどういうところを注意しなければならないのかというところを、きちっと精査しながら検討を進めたいと思います。

○倉貫評議員

需要曲線をどう描くかということにかなり依存するものですか。

●進士部長

依存すると思います。そこの引き方も重要ですし、どのように小売事業者からお金を徴収するかというところも重要ですし、今申し上げたところも正に論点なのですが、実際に発電所を維持する費用と容量市場で値がついてお渡しするお金とのバランス感覚とかですね、いろいろなものを検討しなければいけないと考えております。

○村上評議員

まず一つ基本的な質問で、私はここで今まではどちらかというと容量市場というより電力の卸取引市場について、日本は市場があるけれども、電力会社が出し惜しみしているとか、卸取引市場の方があまりよく機能していないから、何とかしなければいけないと最初からいろいろと聞かされているのですが、ここで容量市場を議論するのは結構なのですが、実際の卸取引市場の方については今はあまり問題ないのか、そこは改善されているのでそちらの方はあまり心配しなくてもいいという前提で議論をしているのかどうか。基本的に、卸電力取引市場と容量市場の関係はどういう感じなのでしょうか。

●進士部長

まず、卸電力取引市場の方も現在利用率が約3%なので、これからもう少し増やしていくことが重要かと思います。来年から導入される間接オークションという仕組みも含めまして、今後卸電力取引市場の活性化が期待されるところでございます。

次に、この卸電力取引市場と容量市場との関係というのもご指摘のとおり極めて重要でございまして、kWhの価値とkWの価値を分離するということになるわけですが、重要なポイントはkWの価値を容量市場で取引することによって、その分が卸電力取引市場、kWhの方の市場で値段が下がらないとトータルの価格が上がってしまうということになるので、その辺で正当な取引がなされているか、こちらの分でかかった値段が引かれているのかということを、市場をウォッチしていくことは重要かと思います。

●佐藤理事

補足して説明させていただくと、先ほどの新設電源ができるのかという質問と関係があると思うのですけど、今新設を作るときは相対契約とか自社電源で相当のカバーがされていて、市場投入を目的として新設電源はあまり作っていないと思うのですが、ただご指摘いただいたように、非常に市場が厚くなって相対契約とか自社電源用でなくても、市場投入でも、これだけ市場の厚みがあったら新設ができると思うと、それで容量メカニズムがあったら、相対契約や自社電源でなくとも新設をつくろうというインセンティブが非常に出てきますので、そういう意味ではkWhの普通の卸売市場というのも厚くなって充実されるということが、先ほどのご質問にあったように、新設を市場目当てで作って、それを容量市場が下支えをするというので、非常にうまく回る可能性があるので、卸電力取引市場の充実というのは非常に重要なことじゃないかと思っています。

○村上評議員

もう一つ質問よろしいですか。導入時期で、29ページに一応何年を目途にという形でありますが、どのくらいの必要性なのか、日程を守るべきなのかを教えてください。その前提として、日本の電力需要については各日本企業の工場も海外移転が進んでいるとか様々な事情があって、電力の総需要が膨大に増えて不足が起こるという可能性があるかというと、当面はないという話をよく聞かされるので、そうするとこの容量市場というのは、いつまでにできなければならないという必要に迫られて作るような市場という感じになるのか、それともじっくり余裕をもって議論すればいいような話なのかを教えてください。

●進士部長

私どもの認識としましては、ご指摘のとおり現在の段階ではそれほどひっ迫した状況ではございません。しかしながら、先ほどご説明申し上げましたように、今後再生可能エネルギーの導入が大量に進みますので、9ページにありますように、限界費用ゼロの電源が入ってまいります。そうなってきますと、従来の火力発電所の稼働率が下がる、あるいは運営できなくなるおそれがあります。ドイツの例を見ますと、火力発電所の閉鎖という状況も現実に起こっておりますので、そういう将来的な状況も踏まえまして、あるいは発送電分離という制度の変更も踏まえまして、早めに手を打っておくことが必要という関係上、容量市場を2020年度に開始という目標を掲げております。

○山地評議員

今までの議論にも関係するのですけど、スライドでいうと26枚目、これを見るとPJMでも英国の容量市場でも固定費は100%はカバーされていないわけですよね。もちろんkWh市場の方で限界費用で決まるところで、自分たちの変動費との差分も含めて何とかなるということだと思うのですけど、実際それをチェックしておく必要があるということですよね。それとともに、これから先は方便的な意見ですけど、容量市場は広域機関がやられる、kWh市場はJEPXがやるし、ベースロード電源市場というのは誰がやるのかなどは、どうなっているのでしょうか。

○松村評議員

ベースロード電源市場の運営は誰がやるのか、まだ決まっていません。

○山地評議員

需給調整市場は調整力のところがやり、多分エリア内バランスという話。運営者が多すぎて、統一していく必要があるのではないかと思います。この場で言っても仕方ないのかもしれないですけど、希望を申し上げておきます。

●進士部長

26ページの実際の固定費と容量市場のお金とのバランスについては、正に山地評議員のご指摘のとおりでございまして、どのようなバランスなのかというのは非常に重要でございます。固定費も減価償却の分と維持費で必要な部分とを少しずつ調査をしながら、かつ容量市場でいくらでしょうかということも、具体的な数字の確度を高めながら検討してまいりたいと思います。

○野間口議長

運営者の話については重要な指摘ですので、参考にしていただきたいと思います。

容量市場について、集中型と分散型と二つのやり方がありますが、どちらかといえば集中型としているのは、効果を安定的に引き出そうという狙いがあるのでしょうか。

●進士部長

一元管理した方が管理しやすいというところと、全国全体での供給力が確保できているかきちんと把握しやすいというところが大きな理由です。

○松村評議員

まず、最初に言われた点に関して、基本的な理解をそろえる必要があると思います。容量市場がなければ電源投資が進まないという発想に立って制度が設計されていないことを認識する必要がある。他の条件を一定として、容量市場でお金をもらえれば、もらえないときよりは投資のインセンティブが高まるのは確かに正しい。一方で、投資のインセンティブが変われば、卸市場価格あるいはそれを参照して決まるであろう相対契約の価格も影響を受ける。つまり、容量市場開設により電源投資が進めばその分電力の供給量が増えるわけですから、容量市場がないときに比べて卸電力価格は下がるはず。容量市場無しで運営する国、実際それでちゃんと回っている国はあるわけですが、それは電源投資がもしそれで進まなければ卸市場価格が急騰するはずで、その高い卸価格で回収できる範囲で電源投資が進むという世界。一方、容量市場がある世界は、そこまで卸価格高騰に頼らなくても投資ができる世界です。どちらも原理的にはあり得ますが、容量市場を導入した方が、日本社会にとって良いだろうと判断して決定されたということです。これがうまくいかないからといって、途端に電源がなくなってひどいことになるわけではない。本当に投資が進まなければ卸価格でスパイクが頻発する市場になるはずで、そこで大きく固定費用を回収できる。そこで回収できる範囲で投資が進むはず。別に容量市場の足を引っ張るつもりではありませんが、ここがうまくいかなかったら途端にまずいことになる、イギリスだとかでもうまくいっていないじゃないかと、ご懸念をお持ちになったと思いますけれども、そういうことも含めて全て考えながらやっているので、私はかなりの程度大丈夫だと思っています。

それから今の説明で、卸市場と容量市場が関連していることはご理解いただけたと思うのですが、投資を進めるということであれば、卸市場に供給する量が増えてくるのは当然との前提で制度が設計されている。その上で、村上評議員がおっしゃった、今まで卸市場のことをずっと議論をしていたのに容量市場の議論になってしまった、というのは、容量市場ができたことによって卸市場がおろそかになるという因果関係ではないと思いますので、決してこれが卸取引市場の活性化の邪魔するわけではありません。したがって、容量市場の設計も重要だし、卸市場の方ももちろん重要。卸市場の活性化に関しては、村上評議員がおっしゃったとおり、売り惜しみだとかで十分機能していないのではないかという懸念は多くの人に共有されていて、そのために広域機関も奮闘しています。できる範囲のことは一生懸命やっていて、そちらはそちらで改革が今進んでおりますので、今後別のところで議論を聞くことになると思います。

それから、容量市場でどれくらい回収できるのかという点に関しては、そもそも固定費用全額を容量市場で回収するなんていうのは全く荒唐無稽。全額回収しないとやっていけないというのは、卸市場で1円も固定費が回収できない、つまり、その電源が常にマージナルな電源になっているという状況が365日24時間ずっと続いている状況。この状況では容量市場で100%固定費を回収できないとやっていけないことになりますが、そんなことは現実には絶対にあり得ないことなので、そもそも100%回収するなどということは、もともとまともな人は誰一人として想定していません。シミュレーションは、本当にこれで安定的な量が確保できるのかどうかということのシミュレーションであれば意味がありますが、そもそもどれぐらい回収できるのかは、私は市場が決めることだと思っていますので、本当にご指摘のようなシミュレーションが必要かどうかということも議論の余地があると思います。

○野間口議長

よろしいでしょうか。はい、鈴木評議員どうぞ。

○鈴木評議員

質問なんですけれど、今の話で投資だけに限った話でないことはわかったのですけれど、容量市場ができたときに需要曲線とかを考えるにあたって、もう既にある電源と新しくできる電源というのは区別して考えていくのか、それとも全部一緒になるのかお聞きしたいと思います。先ほど市場支配力を持つ事業者に関するご説明があったのですけれど、もし両方一緒だとすると既存の電源というのを持って市場支配力がある事業者が確実にいるので、その場合はどのような配慮をしたらいいのかとかお聞きできたらと思います。

●進士部長

今のご質問に対しご回答申し上げます。スライドの34、35ページをご覧いただきたいのですが、既にあるという意味に二つの意味があって、誤解が生じないようにきちんとご説明しますが、34ページに新設電源と既設電源の扱いと書いてあります。これは、いつの時代でも、このオークションの時に新しくできた電源とその前からある電源があります。容量市場が導入される、されない、されたずっと後でも、例えば2050年、2070年でもその時々でオークションの時に既にあった電源と、それから新設される電源がありますが、これは区別しないで行うという考え方で今進んでおります。

35ページに書いてある経過措置の考え方がありまして、これは今も議論中でありますが、容量市場のできたときに既存の電源とそれから後の電源がありますが、お金の渡し方を一時的にちょっと変化をつけようかというようなアイデアがございます。このように、今ある電源、それからこれから先にできる電源、ちょっとずつ考え方を変えながら対応を今検討しているところでございます。

○野間口議長

よろしいですか。はい、江﨑評議員。

○江﨑評議員

容量市場の集中型と分散型なのですけど、集中型だけではなく、相対取引はある程度許しつつ、規制しようというモデルは考えられていないのでしょうか。

●進士部長

今は考えていません。全部集中型で考えています。

○江﨑評議員

集中型であれば、市場がいくつかに分かれるということもなく、必ず一個なのでしょうか。

●進士部長

はい、一個です。

○江﨑評議員

つまり、一つのエリアになるように作られているということでしょうか。必ずそこに入らないと容量市場に入れないようになるのですね。

●進士部長

はい、そのとおりです。

○江﨑評議員

かなり自由度が減るなという気がするのですけど。

●佐藤理事

むしろ自由度が出るとまずいのではないかと、この間のタスクフォースでも議論があったという感じでした。役所でも、集中型か分散型かという議論がありましたが、分散型にすべきだという意見は全くなかったというように承知しています。

○松村評議員

一般論としては、そういうための自由度が制限されるのは、いろんなロスを生むこともあり得るし、創意工夫を妨げることにもなりますが、この市場に関していうと、それによる利益がほとんど誰も思い浮かばない、そういう理由でこうしているのだと理解しております。

○野間口議長

日本国内におけるマーケットの地域依存性というのは考慮されるのでしょうか。

○松村評議員

地域は考えられるようになることと思います。連系線の制約がありますし、地域ごとに価格差がつくのはあり得ます。

○山地評議員

ちょっと違うところで、この費用を支払うのは最終的には小売事業者で、小売事業者はkWh当たりで均等に払うと考えてよいのでしょうか。

●佐藤理事

二つ考えられて、kWhの契約型のシェアか、kWhのシェアかどちらかだと思います。

○山地評議員

サイクルは年間で更新していくのでしょうか。kWh市場はそんなに急激に動かないとすれば、小売事業者から見ると明らかに負担増になると思いますが、そのおそれに対する反発はないのでしょうか。

●佐藤理事

相当あります。超短期に関してはkWh市場がそれほど下がらず、中長期では下がると思いますが、導入初年度は単なる負担増加ではないかと思われる小売事業者はいらっしゃる可能性があるため、今の段階から丁寧に説明することが必要だと思っております。

○野間口議長

総括原価方式との比較でいうとどうなるのでしょうか。増えるわけではないのでしょうか。

●佐藤理事

個別に見ますと、今はkWh価格とkW価格を一緒に払っています。小売りのクレジットの分は、長期的には今のkWh価格にkW価格が入っているので下がることになりますが、短期的または事業者によっては完全には一致しない可能性があります。

○松村評議員

山地先生がおっしゃった点で、仮に2020年度から始まったとして、支払いが始まるのは2024年度からとなります。短期的には小売事業者の持ち出しになることが十分あり得ると思いますが、長期には卸価格が下がって中立的になるとの整理です。それに関しては、容量価格をもらってももらわなくてもどのみち動く電源があるとすると、kWh価格を下げる効果はゼロで、その支払い負担は純粋に小売事業者の負担増となり、当然小売事業者が反発すると思います。ただし、これは容量市場があってもなくても当然動くはずの既設電源にどれだけお金を払うのかという制度設計に依存する。この部分はまだ決まっていませんので、その点十分考慮して、これから制度設計を考えることになると思います。

○野間口議長

それでは、電気を日々使っておられる石川評議員ご意見ございますか。

○石川評議員

我々が使っている基本料金と電力使用料金は別々の料金体系となっていまして、kWは固定、kWhは電気使用料金のほかにサーチャージやFITで色々と積みあがっています。今の話を聞いていますと、電力事業者の中での原価や減価償却の部分、実際に使っている部分の二つの話でありますが、結局は設備が無いと電気は作れないわけですから、二つの関係は密接だと思います。どちらが強い弱いではなく、小売事業者も発電事業者も切磋琢磨できるような仕組みとすべきだと思います。一方的に電力会社が高く売り、基本料金も下げない、とならないようコントロールしていただきたい。実際問題として、東京電力も中部電力も基本料金を下げようとしていただいています。電気使用料金も下がっています。なんでこんなに下がるのかと驚くぐらい下がっています。心の中では、ならば最初から下げないのかと東京電力に文句を言っていますが。発電も送電も販売も三つに分かれて、それぞれが努力しているように見られつつあります。

○野間口議長

そういった中で電力の安定調達ができればということですよね。大変貴重なご意見だと思います。こういったことも踏まえて、今、制度設計が進んでいるという過程ですね。

○石川評議員

中部電力も東京電力と手を組んで、関東地区に電源を作っています。確か95%程度を中部電力が出資しています。関東に電気を売るには関東に電源を、関西に電気を売るなら関西に電源をという動きが大手の中では段々と見られます。我々は東京電力が一番だと思っていますが、中部電力も関東に来ていただけるなら心配もいりませんし、我々は安心して安いところから安い電気を買えるという状況です。

○野間口議長

再エネの専門家の高村評議員はご意見ありますか。

○高村評議員

事務局からもありましたように、再生可能エネルギーが大きく導入されたときなどを想定したとき、容量市場の必要性は理解しています。既にご指摘がありましたが、容量市場が効率的に効果を発揮できるかは、政策的、技術的にも一定の条件があると思います。一つには需要曲線の引き方次第でどれぐらいかが決まってきます。大前提として村上評議員もおっしゃいましたけれど、卸電力市場の健全化も必要と考えます。村上評議員のご意見にも通じますが、2020年度を目途とするのは了解していますが、卸電力市場がどうなるか、ドイツでは自然変動電源がかなり高度に入った段階で検討していますので、卸電力市場や再エネの導入状況を見ながら、具体的タイミングや制度の機能のさせ方などを慎重に決めてはどうかと考えております。

○野間口議長

全体を通じまして広域機関から補足はありますか。

●金本理事長

これから2020年度までいろいろな制度を作らないといけないと思います。次回は調整力市場のご報告をさせていただくかもしれませんが、我々は大変な仕事を担っていますので、気を引き締めていきます。いろいろなアドバイス、叱咤激励をよろしくお願いします。

○野間口議長

それでは、報告事項(1)は以上といたします。

報告事項(2)は、電気供給事業者に対する指導等についてです。事務局から説明をお願いします。

●桑原部長

プレス資料に基づきまして、去る8月25日に、1にありますとおり株式会社F-Powerに対して行った指導等についてご報告申し上げます。2の理由にありますけれども、F-Powerにつきましては、今年4月1日から6月30日までの間、北海道から九州までの九つの一般送配電事業者のエリアにおいて、合理的な需要予測と大きくかい離した不適切な需要計画、調達計画を頻繁に提出し、計画内不一致を発生させるということがございました。計画内不一致というのは、下に注がございますけれども、調達計画と販売計画との差が需要計画と一致していないことでございます。ご承知の方も多いかと思いますが、補足して説明いたしますと、需要の予想をするわけですけれども、1週間前の予想ですと、例えば、お客様が合わせて100ぐらい電気をお使いになるのかなと思っていましても、前日ぐらいになりますと精度も高まってまいりまして、それほど暑くないので需要が90になったりします。ところが、供給力の確保を既に100としている場合、10余りますので、これを販売計画で調整して売るということを予定しているわけです。調達計画と販売計画の差とありますけれども、調整された供給力確保の調達計画ぐらいに受けとめていただければと思います。

それでは、具体的にどのような不適切な計画だったのかでございますが、資料をおめくりいただきまして、経済産業大臣に提出しました文章がありまして、その次にカラーの資料がございます。こちらを横にしてご覧いただきますと、F-Powerの関西エリアにおける6月20日分として提出されました計画と需要実績をグラフ化したものでございます。横軸に当日の0時から24時までプロップいたしまして、青い棒グラフが需要計画で、オレンジ色が調整された調達計画でございます。青色の破線が需要の実績でございまして、大体一日の半分ぐらいまでは需要計画と需要実績が合致していて合理的な需要予想がなされているわけですけれども、半分より右側にきますと、青色の破線と棒グラフの所に空白が出てまいります。通常、お客様の需要がこのような急激な変化をするというのはなかなか考えにくいことでございまして、これは、合理的な需要予想とは言えませんし、お客様の需要に対して、適切に供給力確保ができていたとは言い難いのかなと、我々としては判断しております。最大かい離率が16時半から17時のところでありますが、需要の指数を100といたしますと、供給力としては4.4%程度、95.6%は供給力が確保できていないという状況であったということでございます。これは谷が一つの例でございますが、場合によってはこの谷が一日に一つ、二つ、三つとありまして、ギザギザになっているような日も多数ございました。こういったものが頻繁にということでございますが、こちらまたプレス資料の裏側をご覧いただきまして、表1でございます。4月から6月まで91日ございまして、九つの一般送配電事業者のエリアですので、延べといたしましては、819日分の計画を出していただいているわけですが、需要計画につきましては、280日を超えて3割以上が合理的な需要予想とは言えないと判定しております。供給力確保の調達計画につきましては、347日と4割近くが適切な調達にはなっておらず、計画内不一致につきましても4割ぐらいということでございます。表2で、こういった供給力が適切に確保されていないわけですが、これが3か月間で合わせて表の一番右側でございますけれども、累計不足量として約1.2億kWhに達しているところでございます。

表面にお戻りいただきまして、こうした事態を踏まえまして(1)、(2)と今まで説明してまいりましたけれど、(3)につきまして、第179条第1項7号に規定する主旨に照らして、不適切な行為を行っているということで認定をしております。また、我々はいきなり指導を行ったわけではございませんで、6月上旬からこういったファクトをベースにいたしまして、F-Powerだけではないわけですけれども、注意喚起等行っております。適切な需要計画、調達計画を提出してくださいということで、やり取りを経ているわけですが、それがなかなか改善が見られないということで、再発防止策の報告を求めました。報告につきまして、3行目ですけれども、調達計画等が適切化するような再発防止策というものが見受けられないということで、また規定の179条第1項第1号ですけれども、小売電気事業者たるF-Powerが過去の実績等に照らして需要に対する適正な供給計画を確保する見込みがないときに該当すると判断いたしまして、両方あわせて8月25日に指導したわけでございます。指導内容といたしましては、3のところにあります(1)から(4)まで、計画を提出してください、計画内不一致を回避してください、供給力を確保してくださいといったことが書いてございますが、そちらにつきまして(5)で、社内で周知徹底いただいて是正のための適切な社内体制を整備していただくことを求めております。そうしたことを(6)では具体的な措置として、10月24日までに当機関に報告を行っていただくよう要請をしております。(7)は、その後、場合によっては継続的に求めるかもしれませんということでございます。こういうことで指導を行ったわけですが、あわせて次の一枚ものですけれども、経済産業大臣に対して、理事長名で文章を発信しております。先ほど簡単にふれましたけれども、2段落目でありますが、F-Power以外にも76者に対し、インバランスを繰り返し相当程度発生させている事業者がおりましたので、注意喚起等を行っております。まだ継続している者もございますが、大多数は改善が見られているところでございます。ただこの76者も含めてインバランスの繰り返しを相当程度発生させた要因として、国の審議会等でも認識、検討がなされているわけですが、裏面にまいりまして、インバランス制度について改善すべき点がないのかというのが議論されておりました。スポット価格に対して、あるエリアにおいてはインバランスの方がほぼ安くなるというのが予見しやすい状況がありまして、こういった課題を是正していく必要があるということで議論がされております。こちらにつきましては、真ん中の1にありますとおり、本年10月を目途に見直しがなされる予定でございます。また、インバランス制度はご案内のとおり、取引市場における価格と連動して決められるという仕組みになっています。卸電力取引所の健全性といいますか、流動性ですとか、こういったものも事業者の適切な行動に影響を与えるということで、こちらにつきましても国の審議会でも検討がなされておりますけれども、引き続きこうした点についてしっかりとご対応していただければということで、経済産業大臣に対して提出しているところでございます。簡単でございますが、説明は以上でございます。

○野間口議長

はい、ありがとうございます。ただ今の報告に対して、ご意見、ご質問ございませんでしょうか。

○山地評議員

率直に申し上げて、非常に問題だと思うんですね。インバランス料金制度の欠陥であって、普通、ものを設計していると、設計者に責任があるわけですね。修正は当然のことで、制度設計者に責任を取ってもらう必要が本当はあるんですよね。要するに、予見可能性ができて、事業者は利益を追求するわけですから、その結果が出たわけです。ここで言っている、計画内不一致というのはすごい言葉だと思うのですけど、合理的な予測に基づく需要計画というのが曖昧なのではないかと。実際の販売計画という言葉が出たんですけど、需要計画と販売計画が違うというのは変な話だと思うんですね。それの実績に基づいて、どの程度かい離があるものに対してはどのように対応するのか。もう少し制度を設計するというよりも、制度設計責任者に対して責任を取らせる懲罰的な対応というものが必要なのではないかと思うのですけど、そういう動きはないのでしょうか。

●桑原部長

国の制度でもありまして、一存で答えていいのかということがありますので。

○松村評議員

評議員会のような場で、制度設計で問題があったのだから速やかに制度を変えるのは当たり前で、そもそもそのような制度を作ったことに責任を取らないのはおかしいとまで言うのであれば、具体的にどの制度がどのような問題があったのかということを言うべき。国の制度設計では、このようなものに関しては、利益を最大化することは企業にとって当然のことだから、不足インバランスを出せばそれだけお金を支払わなくてはいけなくなるわけだけど、インバランス料金を支払うのだから、いくらインバランスを出してもいいという制度設計をしていない。仮にインバランス料金をちゃんと支払っていたとしても、小売事業者には供給力確保義務が課せられており、最悪の場合には、小売の登録が取り消される制度まで準備し、さらに、そこまで極端な措置を執る前の段階でいくつかのステップが用意されている。具体的に何が不備だったのかということを言わないで、評議員会でそういう発言が出てくることこそ問題だと思います。したがって、もう少し特定化して、どのような制度にどのような問題があり、速やかに修正するのは当たり前で、制度を改善しただけでは責任を取ったことにならないと判断される程の深刻な、どのような問題があったかをきちんと言うべき。さらに、しつこいようですが、これは山地評議員がおっしゃったような利益を最大化していく企業は当然、という想定だけの制度設計では元々なかった、だからこそ広域機関がこういう指導をすることになったという点は理解の上で発言していただきたい。

一方で、山地評議員の意見はもっともで、こんなことをする必要もなく、インセンティブをきちんと与えて、利益を最大化していようが問題が起きないような制度を設計すべきだったのに、そういう制度設計を怠ったという批判は私自身も含めて甘んじて受けるべき。しかしもしそのような制度設計が最初から完全にできるのが当然なら、広域機関によるこんな指導を用意する必要はなかったということなのではないでしょうか。以上です。

○山地評議員

市場を使うということは、参加者それぞれの利益の最大化という力を利用するということが基本。それを想定していなかったということはあり得ないと思います。

○野間口議長

議長として言いますと、どちらも正しい。先ほど、需要の予見可能性と出てきましたが、  制度の使われ方の予見可能性について、制度設計の段階で少し問題があった。最初の段階でこういう問題が出てきたわけですが、新しい制度を作っている過程ですから、それは適宜見直しながらやっていくと。F-Powerがどのくらいの供給能力か知りませんけれども、電気供給事業者の大半が同じことをやりだしたら、新しい電力システムではうまくいかなくなりますよね。ですから、早い段階で指導をしたのは非常に良かったのではないかと思います。ある程度志高く、新しいシステム作りに参加していただく必要があるわけで、経済合理主義だけではいけないところが今回出たのではないかと思います。株の売り買いなどAIを使ってコンピュータ任せでやる時代ですから、コンピュータ任せで、このオペレーションをこの会社がやっていたら、またこういうことが起こる可能性がありますよね。ですので、山地評議員がおっしゃるように、制度を遡って検討する、経済産業大臣への意見として必要でないかと思いますね。この制度は10月に見直すということだったでしょうか。

●桑原部長

はい、その予定です。

○松村評議員

決定的にまずかったのは、インバランス料金には地域補正があり、これは実際にこの制度が入れられる前からあったものを引きずってしまった結果。完全に今までの制度を完全に白紙にして白地からの改革を貫徹しなかった結果。それぞれ補正価格があるのですが、基準価格に比べて、この地域は恒常的に安くなり、この地域は恒常的に高くなるということはかなり予見できていて、そうすると、確かに安くなる地域では、インバランスを出しても大してペナルティにならないということがわかっているので、最初からインバランスを当てにして、それでひどいことをするのではないかと、それをわかっていてやらなかったのはけしからんというのは、全くそのとおりだと思います。そういう過去の経緯を引き継いでしまった、過去に設計した愚かな制度を一部引き継ぐという愚かなことをしてしまった。確かに反省すべき。したがって、その反省に立ってこの手の審議会では異例な程速やかに、過去の失敗を素直に認めて制度を改めた。

ただ、今回の問題と関連しているかというと微妙でして、微妙というのは、この会社の資料を全部出していただければ、多分納得いただけると思いますが、そういうインバランスを出すと、すごく得な地域だとインバランスを山のように出しているけれども、そうでない地域ではインバランスを出していないという構図に必ずしもなっていなくて、どこでもインバランスを大量に出しているわけですから、その改善で本当にこれが直るのかどうかというのは少々怪しい。したがって、広域機関はこれからもこの会社に関してウォッチしていって、インバランス制度が10月から改善するから、絶対にインセンティブの観点から見てもインバランスを出さなくなるはずだということは、安心はしていない。だからその分は慎重にウォッチしていく。供給力確保義務という責務を果たしていない状況がもし長く続くのであれば、もっと強い措置を検討していくということだと思います。

●佐藤理事

おっしゃるとおりでございます。まず10月にインバランス料金制度が見直されて、経済産業大臣への文章に123と書いてございますが、これでかなり予見しにくくなると思うのですが、それでも問題ならば2にありますように、今後もインバランス料金制度の運用状況を見ながら、必要に応じて制度見直しと監視・指導を行っていくというのも出ていまして、それでも問題があるならば、国の方でさらなる見直しもあるということですから、そういったことも勘案しながらこの指導に対して行動がどのくらい変わるかということで、今、松村評議員からもありましたように、それでも大きく行動が変わらない場合は、その次の制裁といったことも考えると思いますが、そこは相当慎重に考えていきたいと思っております。確かに、松村評議員がおっしゃったように、ものすごくこの事業者が完全な裁定を意図したようなことをやっているわけではなくて、仮定の数字で言えば、単にどこでも12円や13円を超えたら買わないとか、本来それよりもっと高く買わないと、インバランス料金がもっと高いような場合も相当ある。それでも買っていないということもあって、先ほど野間口議長がおっしゃたように、AIを駆使して完全なトレードをやっているわけではなくて、若干よくわからない行動もなくはないところもあって、言葉の真の意味でも指導が正しいという感じがしておりまして、現在、行動を変えていただくように指導していくところであります。さらに問題があれば、当然なから評議員会でも報告して、ご相談をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

○夏目評議員

消費者としてこのお話を伺いました時に、指導を受けている電気事業者は76者あり、その中でF-Powerだけが今回業務規程に基づく指導を受けたと。ということは、その間に広域機関がかなりF-Powerとやり取りしても直らなかったというような感じかなと思うんですよね。そうしますと、その事業者はかなりの確信犯と言うとおかしいかもしれませんが、電気事業者としての適正性がどこまであるのかなというふうに消費者としては正直受け止めたところでございます。事務局からお話がありましたように、今後はこの事業者に対して注視していく必要があるだろうと思いますし、76者以下他の事業者にもこういう動きをされるようでは困るわけでありまして、健全な電力制度を保っていただくためにもご努力を引き続きよろしくお願いしたいと思います。

●佐藤理事

正におっしゃるとおり指導も2種類ありまして、ヒアリングをして注意喚起を行った指導はもちろん76者全てに実施していて、夏目評議員がご指摘いただいたように、F-Powerに関しては注意喚起の時に従わないといいますか、行動が変わらなかったのですが、先ほど総務部長から説明させていただいたとおり、業務規程に基づく私どもの正式な指導をした時は、基本的にこの指導を受け入れますとおっしゃっており、注意喚起をした時とは違うところもあって、指導も意味があったと思っております。

●寺島理事

本件、私の方から一言申し上げます。先ほどの山地評議員のお話、いわゆる制度設計者の側にも責任があるのではないかという言葉が、ある意味、私の心に響きました。かく申しますのは、私、ここに来る前の会社で、この制度設計に関わる審議会の委員をやっておりました。このインバランス料金制度については、先ほど松村評議員からも、「こういう部分で良くなかったと」ご説明がありましたが、山地評議員から、「本来、事業者が利益を最大化すべく行動する程度のことを予見しないで制度設計していたのか」と厳しいご指摘がありました。その点では、私の記憶している限りでは、当時、詳細設計の検討でも「こういう人がいるかもしれない、ああいう人がいるかもしれない」、「だから充分注意しようではないか」とか、「だからこういう形での補正なり、設定なり、予見性が出ないようにしようではないか」ということをやっておりました。ただ、実際に制度を開始したところ、それが思っていたとおりに機能しなかったというのが事実だったと思っております。当時は、大きく制度設計を考える時だったことを思い出すのですけれども、これまでは実同時同量制度というものであって、それでは既存の旧一般電気事業者と新しい系統利用者でインバランス発生量や料金の設定の考え方が違うので、公平な形で扱いができないので、計画値同時同量制度に変えていこうという大きな制度変更の時だったと記憶しております。その中での「インバランス料金をどう設定していけばいいか」という部分で、確かに不十分な点もあったということと思いますが、逆に言えば、今、早めに気が付いて、広域機関としても経済産業省に話をいたしましたし、今後の改善に向けても動いております。大きな制度設計というものは、先ほどの容量市場の議論でもありましたとおり、もちろん仔細な部分について充分な配慮をしなくてはいけないと思うのですけれども、万一、問題が見つかったときにはすぐに修正をしていくことを絶えず意識しながらも、大きな改革に向けては絶えず前に進むことを忘れないようにしていかなくてはいけないと思っております。この場で、私の過去の思い出話などをご紹介するのはふさわしくはないかとも思いましたが、一つ、私の立場からの話をさせていただきました。

○村上評議員

一つ教えてください。そういう違反や違反の疑いのある事業者に対して、措置を講じていくというのは当然のことだと思います。最初は注意喚起みたいな感じにしておいて、その次にくるのは是正指導。そして、参考資料1-2に指導・勧告の実施とあり、これに従ってやるのであれば、指導をして大して効果がないというのであれば、次は勧告ということになる、そういう理解でよろしいでしょうか。

●佐藤理事

指導と勧告はほとんど同義と思っておりまして、指導にするか勧告にするか迷って指導にしたのですけれども、次は実際に制裁になると思います。

○村上評議員

法律上、勧告に従わなかった場合に不利益な処分になるのでは。

●佐藤理事

行政法と違っておりまして、勧告が制裁の前置となっていないので、その意味で指導と勧告が実質同じということになります。

○松村評議員

今回の資料には出ているのですが、必ずしも説明はなかったかもしれませんが、確かに表だけ見ているととんでもなくひどいことをしているように見えるのですが、これでは欠席裁判なのかもしれない。しかしやはり公表されるに値する状況だった。実際に夏目評議員が指摘したことを需要家も思うわけで、こう公表されると当然営業上とても不利になり、ある意味大きなペナルティを課せられたとも考えられる。 供給力確保義務をかなり明らかに果たさないというひどいことをやったのは事実だけれど、彼らの言い分としては、市場が全然機能していないのが原因という主張。調達したい、ちゃんと需要量に合わせて買いたいのだけれども全然玉も出てきていないし、供給力確保義務を果たそうと思ってもできないじゃないか。そうしようとすると卸価格がただ単に上がるだけで、玉切れになっている状況で、全体の需給は全然改善しないじゃないかとの主張。それが正しいとは言わないですけれども、市場が機能していないという不満は事業者にもあり、したがって、今回の指導でも大臣に対して卸市場がもっと機能するように改革して欲しいとも要望している。逆に言えば、卸市場改革がうまくいっているのにもかかわらず、つまり調達しようと思えば調達できる状態にもかかわらず、それでもインバランスを出し続けるなら、全く言い訳のしようがない状況においてすら依然としてそうなら、さらに厳しい措置もありうる。一番厳しいものであれば、広域機関ではなく、経済産業省の方で登録取消ということだって、原理的にはありうる。今回の措置でとどめたのは、そういう事情があるからだという点もご理解ください。

それから、設計する方に問題があったということは確かにそのとおり。実際に多くの場合に需給がひっ迫してスポット市場の価格が上がるような状況。上がった後でなおかつ不足インバランスが大量に出てくるような状況で、多くの事業者が予想を不足側に外すような状況の場合には、実際に多くの人が不足インバランスを出し、インバランス料金が上がるという状況。したがって、そこでインバランスを出したら損になる制度は作り込んだ。実際に蓋を開けてみると、需給がスポット市場でひっ迫し、一部の事業者が不足インバランスを出すときでも全体で大量の余剰インバランスが出ているという奇妙なことが頻発した。実際にインバランス料金が上がらない、電気は、実際には全体として余っていたのだから、そういう状況になる。スポットの断面では不足を出しておいても、その後どうせ大量に余剰インバランスが出てくるから実害はないと新規参入者が誤認するような、そういう奇妙な状況になってしまうということを想定していなかった点は、確かに大きな欠陥だと思います。それが唯一の原因だとは言わないし、主な原因かどうかは調べる必要があります。このような奇妙な現象は、村上評議員が最初におっしゃった、大手事業者による売り惜しみがあったとすれば、確かに頻発します。そういう売り惜しみに対して十分な対策を取らないで、こういうことになってしまったということは確かに大きな欠陥だったと思うので、広域機関を含めていろいろな所が売り惜しみ対策をきちんとすべき。その上で、市場を機能させた上で、それでもなおかつこういう状況が起こるのであれば、もっと強い措置を、最終的にどこかで考えることになると思います。

●佐藤理事

松村評議員がおっしゃるとおりで、経済産業大臣への文書につきまして、3点と申し上げて先ほど12だけを読み上げましたが、3で、今、松村評議員がおっしゃった、市場の厚みや調達機会の維持・向上は、供給力確保のために必須であることから、これまで行ってきた卸電力市場の監視をさらに強化し、旧一般電気事業者の自主的取組の状況や、各事業者の入札状況も含めて、より細かに確認していくことを対応してほしいと申し上げました。あともう一つ、F-Powerは7月に入ると価格が相当高騰するとか、玉不足のところもあるのではないかと、確かに注意喚起の時におっしゃっていて、そういうこともありまして、最も市場が安定している4月1日から6月30日までに限って、指導をさせていただきました。

○野間口議長

よろしいでしょうか。先ほど寺島理事がおっしゃったように、大きなシステムを作り上げていくときはいろいろ考えて設計していくのですけれども、完璧ではないと。ブレクジットを予想した人は少ないだろうし、トランプさんが大統領になるのも予想した人はほとんどいなかったにもかかわらず、こうしたことが起こっているわけですから、そうなったらそうなったで、また、新たに対応を考えていくべきことだと思います。そこは広域機関の重要な役割ですので、よろしくお願いします。それでは、報告事項(2)は以上とします。

次の報告事項(3)は、広域機関の活動状況報告です。今回は、4月から8月までの報告となりますので、事務局から説明をお願いします。

●桑原部長

それでは報告事項(3)についてご報告いたします。いつものことでございますが、パワーポイントの参考資料2というものを付けております。横置きにしていただきながら見ていただければ幸いでございます。

一つ目、理事会の審議ですけれども、計20回開催しております。パワーポイント資料に主な審議事項を掲載しております。104回では、今年度の会費、特別会費の請求について承認しております。106回につきましては、需給検証の取りまとめを行うとともに広域機関システムの開発体制の強化について決議しております。広域機関システムの開発に当たりまして混乱を生じたということで、第三者委員会で原因をまとめていただきまして、それを受けまして、PMO機能の充実ですとかこういったものを決定しております。108回につきましては、リプレース対象廃止計画がリプレースに該当するかという判断をしております。こちら3件について判断しております。110回は通常総会の招集及び開催について決議しております。113回につきましては、連系線の運用容量算出における検討条件、これからの検討のキックとなります検討条件について承認をしております。118回では、広域機関システム開発業務委託契約の納期が間に合わないということで、契約変更等を行って、12月に延長してございます。119回につきましては、平成28年度の実績ですが、需給及び電力系統に関する概況の取りまとめについて議論してございます。120回は調整力及び需給バランス評価等に関する委員会の委員の選任について、121回は連系線新ルール対応及びネガワット本格対応につきまして、システム対応を図るということを決議しております。122回は、セキュリティログ監視システムについて計画を承認いただいております。123回は、先ほどご説明しました指導についてでございます。

パワーポイントの資料をめくっていただきまして、裏側3-1、3-2で、4月から6月、7月から8月までの需給実績と予備力実績をご紹介しております。折れ線グラフが予備率ですので、これの低いところを見ていただければと思いますが、4月から6月まででは東京の5%、こちら4月11日ですが、予想外に冷え込みまして、予備率が5%になったということでございます(※後日、9%に修正)。7月から8月までにつきましては8%以上確保できておりまして、4月から8月までにつきまして適切な供給力が確保できていたと考えてございます。またワードの資料にお戻りいただきまして、1-2会員への指示、8月までは該当事項はございませんでした。指導につきましては、先ほどご報告申し上げたとおりでございます。アクセス業務につきましては、事前相談、接続検討、妥当性確認との累計に基づきまして、受付件数を28年度の実績と今回の4月から8月までの実績を示してございます。苦情処理・紛争解決業務につきましても、苦情・相談、あっせん・調停に分けまして、それぞれ受付、対応済件数を紹介しております。あっせん・調停につきましては、和解1件、不応諾1件でございます。3は先ほどご説明いたしましたので、4にまいりまして、事業者を変更する際の手続きの円滑化でございます。システム利用状況としては、8月31日までは483万件の累計になっております。また、スイッチング支援システムにつきまして、実務者での会議を3回開催してございます。こちら大きくシステム改修まで必要なものというのは大分減ってきていると認識しております。その内の改良1件というのは最後の行に書いてございますが、事業者データの変更をまとめて、複数の需要家についてのデータをまとめて変更できるというものを改良として行ってございます。裏面にまいりまして、委員会検討会等の審議状況をまとめてございます。広域系統整備委員会につきましては、都合3回開催しております。長期方針というものを掲げたわけでございますが、これを受けて取組事項を検討しております。流通設備効率の向上につきましては2回でございますが、限られた地内系統の容量等をいかにうまく活用していくのかということで、潮流の見方の検討ですとか、その他運用容量の上限に達しそうなときに、どういう形で限られたネットワークを発電事業者、需要家で使っていくのかといった検討を進めております。限られたネットワークを使うというのもありますが、どこかで増強が必要になってくるわけですが、そのあたりをどういう形で考えたらいいのかというのを費用対便益評価の中で進めております。また、アクセス業務のあり方につきましては、発電事業者の連系アクセス規模等が多くて、その都度都度設備増強を行っていくわけですが、これによって全体的、中長期的に効率的なネットワーク形成ができているのかという問題意識からアクセス業務のあり方というものを検討しているところでございます。中黒の三つ目につきましては、いわゆる関門連系線につきまして、検討課題として進めてございます。

2は調整力等の委員会でございます。8月までで、年6回でございます。9月8日にも、既に1回開催しておりますが、こちらにつきましては、今年の夏の需給見通しについて検討しており、また、三つ目の中黒ですが、調整力の公募量、こちらにつきましては先週末に公表しておるところでございますが、こちらの検討をしておりました。また、需給調整市場、調整力の最終的な市場計画につきましても、調整力細分化ですとか、広域調達技術的検討について作業会で検討しておりましたけれども、その報告を受けております。また、電源入札に関する議論も実施してございます。

3は地域関連系線の利用ルール等に関する検討会でございますが、こちら一つ目の矢印にございますけれども、これまで連系線ということだったというわけですが、今後地内送電系統につきましても、いろいろ限られた運用容量の中で、どのように使っていただくかというものを検討するために、組織替えをしようというのが提案されておりまして、こちらにつきましては今月4日に名称も変えまして、既に1回開催しているところでございます。二つ目の矢印ですが、限られた運用容量の中で、どのように皆さんに使っていただくかにつきましては、現在のメンテナンス作業などで、停電をさせて修繕、改良等を行なっているわけですけれども、その調整ルールが参考になるということで、こちらの実態報告などを議論しております。また、間接オークション、連系線利用の新ルールですが、早ければ30年4月ということで申し上げておりましたけれども、私どもの方で、連系線の空容量を誤送信するという状況が今年度始めにございまして、これの対応のために、新ルール向けの開発等なかなか着手できないということで、開発状況を踏まえまして、間接オークション新ルールの導入時期を30年下半期の早い時期にということで、再設定をしてご報告しております。容量市場につきましては、先ほど一つ目でご説明があったところでございます。

5情報セキュリティにつきましてですが、28年度、当機関の情報セキュリティにつきまして外部による監査を受けております。整備事項として8件ございましたが、その内の7件につきまして、7月に関連の規程に反映をしてございます。また、その中身について変わりましたということで、全職員について、研修で周知してセキュリティ意識を高めることをしてございます。残り1件につきましては、システムの継続性に関する指摘だったのですけれども、より大きく事業継続計画全体の見直しというのを考えておりまして、こちらに同調して検討する予定でございます。二つ目の中黒につきましては、理事会の議案でもご紹介いたしましたけれども、単純な類型ではわからないような不審な通信などを検知すべく、セキュリティログを監視するシステムについて進めております。要件定義は7月末で完了しているわけですけれども、今入札で委託先を選定しているところでございます。3ページ最後ですが、事業者会員向けの啓発活動として、それぞれの事業者に関して、情報セキュリティについて、自己診断ツールというのをIPAの協力を得まして、アンケート調査をやっています。490者ぐらいから既に報告がありまして、この段階で一旦取りまとめて、全体に比べて御社の取り組みはどうかというのをフィードバックしたいと考えております。また、電力ISAC、昨年度末に発足しておりますけれども、こちらから当機関の脆弱性情報を受信しているわけでございますが、今年度は10回程度、会員に対して情報提供しております。説明は以上でございます。

○野間口議長

はい、ありがとうございました。それでは、ご質問、ご発言ございませんでしょうか。

○江﨑評議員

情報セキュリティに関して非常に適切に実施していただいており、良いことだと思います。基本的には、ここに書かれているようなSOCを作るというのは、国家戦略の中に明記されていて、それをきちっと実施していることをピーアールして、他の関連する所も同じようなことを実施するというように情報提供されていますので、引き続きお進めいただければと思います。

○野間口議長

他にございませんでしょうか。それでは、本日予定しておりました議題は以上となりますが、金本理事長から一言お願いします。

●金本理事長

今日は審議事項はなかったのですが、前回の評議員会以降、いろいろなことが起きておりますので、二つのややこしい課題についてご説明申し上げました。いろいろご議論いただき、貴重なご意見をいただきまして大変ありがとうございました。

報告事項(2)で制度設計の部分について話が出てきましたが、これから我々も新しい制度設計に携わるということでございますので、これからは我々が設計した制度ではないという言い訳はできないと思っております。基本的に電力市場の市場設計は、そういう設計をすると何が起きるかという予測をきちっと各国ではしていて、そのためにはかなり大きなシミュレーションモデルを使って、シミュレーションを実施するということをやっております。我々にどこまでできるかということはございますが、そういうことをしっかりやりながら、後から、しまったと思わないような制度設計に努めていきたいと思います。今後ともよろしくお願いします。

○野間口議長

どうもありがとうございました。それでは、本日の評議員会を終了といたします。

以上、この議事録が正確であることを証するため、出席した議長及び評議員2名は、記名押印する。

電力広域的運営推進機関評議員会

議長 野間口 有

評議員 夏目 智子

評議員 山地 憲治

第2回評議員会 議事録PDFファイル(586KB)

関連資料

第2回評議員会 議事次第PDFファイル(64KB)

報告事項(1) 容量メカニズムと容量市場の検討についてPDFファイル(2445KB)

報告事項(2) 電気供給事業者に対する指導等についてPDFファイル(716KB)

報告事項(3) 活動状況報告(平成29年4月~8月)PDFファイル(216KB)

報告事項(3) 参考資料PDFファイル(964KB)

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