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容量市場とは
「容量市場」は、将来にわたる日本全体の供給力(kW)を効率的に確保する仕組みです。電源投資が適切なタイミングで行われ、予め必要な供給力を確保することにより、中長期的に卸電力市場価格の安定化を実現し、電気事業者の安定した事業運営を可能とするとともに、電気料金の安定化により需要家にもメリットをもたらすことが容量市場の目的です。
容量拠出金とは
市場管理者である電力広域的運営推進機関(広域機関)が日本全体で必要な供給力(kW価値)を、容量市場における目標調達量として示し、発電事業者等が参加するオークションを通じて確保されていきます。広域機関は、発電事業者等に対しオークションの約定結果を踏まえた契約をもとに供給力の対価を交付し、その原資については広域機関の定款で規定された「容量拠出金」として、小売電気事業者、一般送配電事業者、配電事業者(小売電気事業者等)に対し費用を請求します。
小売電気事業者と容量市場
小売電気事業者は、電気事業法上、供給電力量(kWh)の確保のみならず、中長期的に供給能力(kW)を確保する義務があります。
小売電気事業者にとって、容量市場は電気事業法上の供給能力確保義務を達成するための手段と位置づけられます。
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電気事業法
(供給能力の確保)
第二条の十二 小売電気事業者は、正当な理由がある場合を除き、その小売供給の相手方の電気の需要に応ずるために必要な供給能力を確保しなければならない。
2 経済産業大臣は、小売電気事業者がその小売供給の相手方の電気の需要に応ずるために必要な供給能力を確保していないため、電気の使用者の利益を阻害し、又は阻害するおそれがあると認めるときは、小売電気事業者に対し、当該電気の需要に応ずるために必要な供給能力の確保その他の必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
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電力広域的運営推進機関定款
(容量拠出金)
第55条の2 本機関は、一般送配電事業者、配電事業者又は小売電気事業者たる会員に対し、容量市場における供給力の確保に係る拠出金(以下「容量拠出金」という。)を求めることができる。
2 本機関は、一般送配電事業者、配電事業者又は小売電気事業者たる会員に対し、容量拠出金の額を算出するために必要な情報を求めることができる。
3 一般送配電事業者、配電事業者又は小売電気事業者たる会員は、前項に基づく本機関の求めに応じ、必要な情報を提出しなければならない。
容量拠出金の全体像
容量拠出金とは、容量市場における供給力の確保にもとづいて、小売電気事業者および一般送配電事業者、配電事業者が支払いを行うものです。2024年度以降に広域機関の会員である小売電気事業者については年間ピーク時kWシェア等に応じて、一般送配電事業者、配電事業者については各エリアのH3需要に応じて、広域機関から容量拠出金の請求額の通知が行われます。
この容量拠出金を原資として、供給力を提供する容量提供事業者へ、広域機関から容量確保契約金額の交付が行われます。
(参考)既存の相対契約について
容量拠出金は、電力取引の個々の相対契約の有無等に関わらず、全ての小売電気事業者に請求額の通知が行われます。※1
相対契約を締結している小売電気事業者は、相対契約の取決めによる支払に加えて、容量拠出金の請求額の支払が生じます。
発電事業者等は相対契約による収入に加えて、容量市場で供給力を提供することで、収入を追加的に得ることができることとなります。
既存の相対契約については、容量市場の趣旨を踏まえ、実需給期間までに適切に見直される必要があると考えられます。
なお、契約見直しを行う際※2の考え方は、経済産業省の既存契約の見直し指針を参考にしてください。
容量拠出金に関する各事業者の業務の全体像
容量拠出金に関する主な業務は以下のとおりです。
・毎年12月に発行される容量拠出金仮請求額通知書(年間総額)の確認
・月次の請求書等の確認・支払に係る業務
・年次精算に係る業務
各業務の手続は以下の図をご確認ください。実需給期間に係る業務の詳細は、業務マニュアルをご参照ください。
請求・支払について
容量拠出金の請求と支払の月次スケジュールは以下を予定しています。
4月(N月)を請求対象月とした場合、
→ 6月(N+2月)の第10営業日に容量拠出金の請求額通知書を発行します
→ 7月(N+3月)の10日までに容量拠出金の請求書を発行します
→ 容量拠出金の請求書発行から1か月以内※にお支払いただきます
上記の月次スケジュールにて毎月の請求額通知・請求・支払のフローが進んでいきます。
容量拠出金の月次スケジュール
容量拠出金の年次スケジュール
容量拠出金の追加請求および還元について
容量拠出金の追加請求※1, 2は、容量拠出金の取引による請求年間総額を一致させるため、小売電気事業者間で再算定した内容を請求する取引です。
還元※3は、容量提供事業者側の取引の総額と小売電気事業者等の取引の総額を一致させるための取引です。(経済的ペナルティの徴収等で生じた差額を調整し、小売電気事業者に配分するもの)
容量拠出金の追加請求および還元は、毎月実施するものではなく、対象年度の取引終了後、一定の時期に対象年度分をまとめて、年次精算として実施するものとなります。
小売電気事業者等に請求する容量拠出金は、実需給期間前の容量確保契約金額の減少分を加味した金額(①)であり、この容量拠出金請求額をもとに、容量拠出金の再算定(②)、還元(③)が行われます。
算定の手順
容量拠出金は以下の手順①~④で算定し、小売電気事業者・一般送配電事業者・配電事業者へ請求されます。
エリア別容量拠出金総額の算定
一般送配電事業者・配電事業者の負担総額と請求額の算定
小売電気事業者の負担総額の算定
各小売電気事業者の請求額の算定
エリア別容量拠出金総額の算定
全国の容量拠出金の総額をエリア別のH3需要比率に応じて各エリアに配分し、エリア別の容量拠出金総額を算定します。
一般送配電事業者・配電事業者の負担総額と請求額の算定
一般送配電事業者・配電事業者の負担総額は、エリアの約定価格×エリアのH3需要に6%※を乗じることで算定します。
また、一般送配電事業者・配電事業者の負担総額を12等分し、各一般送配電事業者・配電事業者の配分比率に応じて毎月の請求額を算定します。
小売電気事業者の負担総額の算定
小売電気事業者の負担総額は、当該エリアの容量拠出金総額から一般送配電事業者・配電事業者の負担総額と経過措置による控除額を減算することで算定します。
各小売電気事業者の請求額の算定
当該エリアの小売電気事業者の負担総額を12か月で均等割りしたものに、各小売電気事業者の毎月の配分比率を反映して容量拠出金の請求額を算定します。
各社の配分比率は、需要実績(実需給年度の前年度)を用いて算定します。4月から9月分は夏季ピーク実績(7~9月)、10月から3月分は冬季ピーク実績(12~2月)を基準として算定します。さらに、「実需給年度のシェア変動に応じた補正」をおこないます。
「シェア変動に応じた補正」について、実需給前年度の夏季/冬季ピークの託送契約電力kW※1, 2と実需給年度の各月の託送契約電力kW※1, 2をもとにシェア変動考慮後のkW(推定)を算定します。
各小売電気事業者のシェア変動考慮後のkW(推定)の比率をもとに、容量拠出金に反映する配分比率を算定します。
小売電気事業者等に係る取引別の消費税の取り扱い
小売電気事業者等に関連する取引として、容量拠出金の支払い、容量拠出金の再算定分の追加請求の支払い、還元があります。
既に公表済みの情報を含め、容量市場取引別の消費税の取り扱いは以下の通りです。
容量市場における消費税の取り扱い
容量確保契約金額、容量拠出金は消費税の課税対象となります。
経済的ペナルティは、容量確保契約金額の実際の交付額を上回る部分のみ不課税対象となります。
詳細は公表済の「容量市場における税金の取り扱いについて」を参照ください。