更新日:2021年3月1日(掲載開始日:2021年1月10日)
2020年度冬季における電力需給ひっ迫時の広域機関の対応
2020年度冬季において、当機関は、電気事業者に対する計画的な供給力確保に関する要請を行った後、電力需給ひっ迫状況に応じ、総力を挙げて取り組むため、1月6日に非常災害対応本部を設置し体制強化を行い、その後、1月29日に非常災害対応本部から警戒本部に切り替え、警戒態勢を取りつつ、必要な対応を行ってまいりました。
今般、需要レベルの推移、電源の稼働状況、主要な事業者の需給計画、主要な事業者のLNG及び石油の燃料在庫状況などを勘案し、需給ひっ迫状態に陥る蓋然性は低いと思われることから、当機関は、2月27日をもって、警戒態勢を解除いたしました。
電気事業者、自家用発電設備をお持ちの皆様、ご家庭、工場・オフィスなど電気の使用者の皆様におかれましては、今冬の電力需給ひっ迫時のご対応、ご協力に対し、改めて厚く御礼申し上げます。
なお、当機関は、現在、当機関において行っている検討や、政府でなされている検証なども踏まえ、必要な対応を行ってまいります。
1.広域機関の対応の概要
当機関は、計画的な供給力確保に関する要請を行った後、電力需給ひっ迫状況に応じ、電気の安定供給確保に万全を期すため、電気事業法や業務規程に基づき、以下の対応を行ってきております。(概要説明資料(※))
- 一般送配電事業者に対する指示
- 発電事業者及び小売電気事業者に対する指示及び電気供給事業者に対する要請
- 地域間連系線の運用容量拡大
等
※2月21日まで掲載しておりました概要説明資料(2020年度第4回評議員会報告事項2)から、需給ひっ迫の背景・要因、対応内容・その効果などについて追記しております。
2.対応の経緯
当機関は上記の対応について、以下のように取り組んできております。それぞれの詳細は、次項以降をご覧ください。
- 電気事業者に対する計画的な供給力確保に関する要請(2020年12月8日)
- 一般送配電事業者に対する指示(2020年12月15日~2021年1月16日、累計218回)
- 非常災害対応本部の設置(2021年1月6日~1月28日)、警戒本部の設置(2021年1月29日~2月26日)
- 発電事業者及び小売電気事業者に対する指示並びに電気供給事業者に対する要請(2021年1月6日~1月26日、累計3回)
- 地域間連系線の運用容量拡大(2021年1月8日~1月13日、累計6回)
- 発電事業者に対する供給力の確保状況に関する報告の求め(2021年1月12日)
3.計画的な供給力確保に関する要請について
当機関は、2018~2020年度供給計画取りまとめにおいて、直近の年度における冬季の予備率に余裕のないエリア・月が存在しており、需給バランスが厳しくなることも想定される見通しを公表してまいりました。
こうした見通しも踏まえ、2018年以降、毎年12月、当機関は電気事業者に対し、翌年3月に提出する供給計画においてと同様、直近の冬季における確実な供給力確保に向けて、可能な限り早期に調達先を確定させるよう努めることなどを呼びかけてきており、今冬においても、12月8日、同様の呼びかけをいたしました。
具体的な内容については、「計画的な供給力確保に関する要請について」からご確認ください。
4.需給状況改善のための一般送配電事業者に対する指示の実施について
電気事業法第28条の44第1項第1号及び第3号並びに業務規程第111条第1項第1号及び第3号の規定に基づき、2020年12月15日から2021年1月16日までの間、北海道、沖縄を除く8つの供給区域の需給状況改善のため、一般送配電事業者に対し、電力需給状況が悪化している供給区域の一般送配電事業者に必要な電気の供給を行うよう、累計218回の融通指示を行いました(総括表)。
東北 | 東京 | 中部 | 北陸 | 関西 | 中国 | 四国 | 九州 | 全体 |
1回 | 9回 | 1回 | 22回 | 94回 | 42回 | 25回 | 24回 | 218回 |
それぞれの指示の内容の詳細については、「需給状況悪化時の対応」からご確認ください。
5. 需給状況改善のための発電事業者及び小売電気事業者に対する指示並びに電気供給事業者に対する要請の実施について
全国(沖縄を除く)の非調整電源(※)の発電余力を活用しなければ、電気の需給の状況が悪化するおそれがあるため、当機関は、電気事業法第28条の44第1項第5号及び業務規程第111条第1項第5号の規定に基づき、発電事業者及び小売電気事業者に対し、また、業務規程第111条第2項の規定に基づき、電気供給事業者に対し、以下の内容の指示及び要請を行いました。
※一般送配電事業者がオンラインで出力調整できる電源以外の電源(ただし、FIT電源を除く。)
1. 1月6日(水)(準備整い次第)~1月8日(金)24時
対象エリア(沖縄を除く9エリア)における発電事業者及び小売電気事業者並びに電気供給事業者(本機関より別途連絡した事業者)
<東京電力パワーグリッドエリア及び関西電力送配電エリアの対象事業者>
- 発電設備を最大出力で運転すること。
- (一社)日本卸電力取引所の会員である事業者は、本指示によって生じた発電余剰分を市場に投入すること。なお、市場約定量に係わらず最大出力で運転すること。
- 実運用における運転調整については、各一般送配電事業者に従うこと。
<その他エリアの対象事業者>
- (一社)日本卸電力取引所の会員である事業者は、本指示によって生じた発電余剰分を市場に投入すること。
2. 1月8日(金)(準備整い次第)~1月15日(金)24時
対象エリア(沖縄を除く9エリア)における発電事業者及び小売電気事業者並びに電気供給事業者(本機関より別途連絡した事業者)
<東京電力パワーグリッドエリア、北陸電力送配電エリア、関西電力送配電エリア、中国電力ネットワークエリアおよび九州電力送配電エリアの対象事業者>
- 発電設備を最大出力で運転すること。
- (一社)日本卸電力取引所の会員である事業者は、本指示によって生じた発電余剰分を市場に投入すること。なお、市場約定量に係わらず最大出力で運転すること。
- 実運用における運転調整については、各一般送配電事業者に従うこと。
<その他エリアの対象事業者>
- (一社)日本卸電力取引所の会員である事業者は、本指示によって生じた発電余剰分を市場に投入すること。
3. 1月15日(金)(準備整い次第)~1月31日(日)24時(※)
対象エリア(沖縄を除く9エリア)における発電事業者及び小売電気事業者並びに電気供給事業者(本機関より別途連絡した事業者)
<東京電力パワーグリッドエリア、北陸電力送配電エリア、関西電力送配電エリア、中国電力ネットワークエリア、四国電力送配電エリアおよび九州電力送配電エリアの対象事業者>
- 発電設備を最大出力で運転すること。
- (一社)日本卸電力取引所の会員である事業者は、本指示によって生じた発電余剰分を市場に投入すること。なお、市場約定量に係わらず最大出力で運転すること。
- 実運用における運転調整については、各一般送配電事業者に従うこと。
<その他エリアの対象事業者>
- (一社)日本卸電力取引所の会員である事業者は、本指示によって生じた発電余剰分を市場に投入すること。
※全国的に電力需給状況が改善しつつあることから、1月31日24時までの対象期間を前倒し変更し、1月26日24時をもって、指示及び要請を終了しました。
6. 地域間連系線の運用容量拡大について
地域間連系線の管理は、電気事業法第28条の40第8号に規定する当機関の業務です。当機関は、業務規程第126条の規定に基づき、地域間連系線ごとに、運用上流すことができる電力の最大値である運用容量を設定しております。
当機関は、一般送配電事業者に対する融通指示(上記4.)を行うにあたり、一部の地域間連系線の空容量が不足しており当該地域間連系線の運用容量を拡大しなければ電気の需給の状況が悪化するおそれがあったため、業務規程第153条の規定に基づく緊急措置として、当該地域間連系線の運用容量を拡大しました。
〇中部関西間連系線(三重東近江線)(順方向:中部→関西)
1) 1月 8日(金) 4:30~24:00 (最大133万kW)
2) 1月 9日(土) 3:00~24:00 (平均107万kW)
3) 1月10日(日) 0:00~24:00 (平均106万kW)
4) 1月11日(月) 0:00~24:00 (平均106万kW)
5) 1月12日(火) 0:00~24:00 (平均111万kW)
6) 1月13日(水) 0:00~24:00 (平均115万kW)
それぞれの指示の内容の詳細については、「需給状況悪化時の対応」からご確認ください。
7. 供給力の確保状況に関する報告について
電力需給ひっ迫が当面も継続することが予想されることに鑑み、需給の広域的な運営管理に必要な情報を確認することが不可欠であることから、供給力の確保状況等について、電気事業法第28条の42及び業務規程第190条の規定に基づき、旧一般電気事業者たる発電事業者の一部に対し、文書にて報告することを求めました。
当機関は、報告された各エリアのLNG及び石油の在庫状況から、LNG火力機及び石油火力機の稼働率が低下することによって需給がひっ迫するエリアの見通しを得るとともに、一般送配電事業者に対する融通指示(上記4.)の要否の判断に用いております。
8. 関連情報
本件に関するお問い合わせ先
電力広域的運営推進機関 総務部 広報担当
電子メールアドレス:
ニュースリリース