更新日:2016年7月22日
第2回評議員会 議事録
1. 開催日時:平成 28 年 6 月 24 日(金)10:00 ~11:22
2. 開催場所:電力広域的運営推進機関 豊洲事業所会議室(東京都江東区豊洲 6-2-15 )
3. 議事
(1) 議決事項
第1号議案 平成28年度供給計画の取りまとめに関する経済産業大臣への意見について
(2) 報告事項
報告事項(1)活動状況報告(平成28年5月~6月)
4. 出席者
(1) 評議員( 18 名中 12 名出席)
野間口評議員会議長、秋池評議員、安念評議員、大高評議員、鈴木評議員、夏目評議員、
松岡評議員、松村評議員、村上評議員、山内評議員、山地評議員、渡辺評議員
(2) 電力広域的運営推進機関
金本理事長、佐藤理事、遠藤理事、寺島理事、内藤理事、
川崎総務部長、石坂企画部長、藤岡計画部長、田村運用部長
5.議事の経過及び結果
●佐藤理事
ただいまから、平成28年度第2回評議員会を開会いたします。
本日は、現時点で総員18名中12名の評議員がご出席いただいておりまして、定款第45条第1項に定める過半数に達しております。
まず、お手元の資料をご確認ください。本日の議案は、次第に記載のとおりでございます。資料は、議事次第に記載のとおりでございますので、配布漏れ等がありましたら、事務局までお知らせください。なお、本日ご欠席の高村評議員から第1号議案に関する意見をいただいており、資料の隣にA4、1枚のペーパーとしてご用意しております。
また、ご発言の際は、お手元のマイクスイッチをオンにしてから、ご発言されますようお願いいたします。
それでは、議事進行を野間口議長からお願いいたします。
○野間口議長
大変お忙しい中、ご出席いただきましてありがとうございます。
それでは議案に先立ちまして、定款52条に定める議事録署名人を指名します。松岡評議員と山地評議員にお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか(両評議員、了解の意思表示)。
それでは、第1号議案「平成28年度供給計画の取りまとめに関する経済産業大臣の意見について」でございます。事務局から説明をお願いいたします。
●藤岡部長
それでは、ご説明申し上げます。本日、皆さまにご審議いただきたいのは、第1号議案にありますように平成28年度供給計画の取りまとめに関する経済産業大臣への意見についてでございまして、その内容が次ページの表裏にお示ししてございます。
この意見内容をご審議いただくために、まず、供給計画の取りまとめの内容をご説明申し上げたいと思います。別紙1として数ページ後ろに、別で閉じられております資料が2部ございます。このうち、後ろについているものが、取りまとめそのものでございます。本日は、その内容をパワーポイントにまとめておりますので、こちらをご覧いただければと思います。おめくりいただきまして、右肩の3スライド目でございます。こちらは、供給計画のご説明ですが、電事法29条に基づき、電気事業者が作成する今後10年間の電気の供給並びに電気工作物の設置及び運用についての計画ということで、今回、これを当機関が取りまとめました。その内容に意見があるときは、意見を付して国に提出することになっております。
4スライド目でございますが、昨年、平成27年の供給計画を振り返ってみますと原子力発電の再稼働状況が見通せないということで、発電計画が立てられないということから原子力以外も含めまして、供給力全体を未定として提出しておりました。昨年6月に開催されました評議員会で需給バランスの評価等を行えない状況を望ましくないというご意見を多数いただきました。それを受けまして経済産業省を含め関係各所と調整した結果、平成28年度供給計画では、需給バランス評価が行えるように供給力が記載されることとなりました。具体的には、事業者判断で稼働時期が見通せない原子力発電所・号機については未定として、その発電所の供給力をゼロとして算定。その他の電源については、その前提で供給力を計上するということといたしました。
続きまして、5スライド目でございますが、こちらでは、電気事業制度の変更として、ライセンス制が導入されたということに伴いまして、供給計画の届出形態の変化を説明してございます。今年度からは、小売、発電、送配電等の区分ごとに事業者が供給計画を作成し、広域機関に届出、それを取りまとめるということでございます。6スライド目、参考でございますが、事業者がどのように需給バランスの計画を策定しているのかというイメージをご説明しております。小売電気事業者は、自らの需要を想定しまして、それに対する供給力を色々な事業者から調達するということです。契約に基づきある発電所からこれだけ、別の発電所からこれだけというような計画をしますが、現時点で、どこから調達するか未確定な部分は調達先未定という事で集計してございます。また、一般送配電事業者は、エリアの周波数を安定させるために一様な調整力を発電事業者から調達します。そして発電事業者は、この時点では売り先が確定していない部分がありますので、それを発電余力として全体の供給力を把握しております。また、供給計画の届出義務のない非電気事業者によるものも小売電気事業者が調達する計画を出していれば、それをカウントしております。しかし、小売電気事業者が契約していない供給力というのは把握できないといったことになっております。
では、続きまして、8スライド目です。今年度の供給計画は、ライセンス制の導入の初年度という事で、次の通りスケジュールに経過措置が設けられております。広域機関は6月末までに取りまとめ国に送付いたしますが、その内容は4月末までに発電・小売電気事業者から提出を受けたものでございまして、それ以降に提出されたものは、含めないことになっております。
9スライド目です。今回の供給計画には、含まれていない供給力として、次の三つの分類がございます。一つ目は、前ページで説明いたしました電気事業法の経過措置ということで、発電事業者の供給力全てを取りまとめられていないということでございます。ただし、需給バランス評価にあたりまして、4月29日以降に提出され6月10日までに広域機関で内容の確認ができた発電事業者の発電余力は、これを加えて、評価するということにいたしました。二つ目は、保有する発電設備のうち、稼働時期が見通せず供給力未定とした原子力発電、また開発計画を有しているものの、事業者の意思決定の状況などから、現時点では、供給計画には記載しないと判断した発電設備の供給力でございます。三つ目は、供給計画を届け出る義務がないものが保有する供給力で、小売電気事業等の用に供する電力の合計が1万kW以下の者が所有する発電設備及び将来発電事業を営もうとする者が開発を予定している発電設備でございます。今回の取りまとめでは、10スライド目にございますように全324者の事業者の計画を取りまとめましたが、先程ご説明させていただきましたように、追加的に評価に加えた事業者が69者ございます。
11スライド目です。こちらは取りまとめた項目でございますが、需要想定から始まりまして、需給バランス、電源構成の変化に関する分析、送配電設備の増強計画、広域的運営の状況、電気事業者の特性分析、その他となってございます。
13スライド目です。こちらは電力需要想定についてでございます。電力需要と相関がございます人口や経済指標の見通しを踏まえ、最大需要を想定しております。昨年夏実績の15,630万kWから年率0.5%の伸びを想定しております。
続きまして、需給バランス評価でございます。15スライド目です。こちらで評価方法をご説明しております。まず、エリア内の供給力として、各事業者の供給力、発電余力を合計いたします。そして、それがエリアごとの最大電力需要に対して108%以上あるか、つまり予備率で8%以上あるかということで供給力の確保状況を判断いたしました。なお、この基準は、従来から用いられております水準でございますけれども この水準の在り方につきましては、当機関の委員会にて検討を継続している状況でございます。また、沖縄エリアにつきましては、小規模な単独系統という事で別の基準を用いておりまして、最大電源ユニットが脱落したときにも供給力がH3需要を上回るかどうかで判断してございます。また、予備率が8%に満たない場合には連系線の空容量を活用して、エリア間の供給力を相互に振り替えた評価もしております。
16スライドでは、こちらの評価の検討ステップを示してございます。具体的には、次のスライドからご説明をさせていただきたいと思います。
17スライド目ですが、こちら短期とありますが、平成28年月別の全国のバランスでございます。全国大で、最も予備率が低い7月で12.4%ということで、8%以上となっているということでございます。
18スライドでは、それをエリアごとで見ております。エリアによっては8%に満たないところがあるということで、東北・東京・中部で、赤で記載した部分が8%を下回っております。
これに対しまして、19スライド目でございますが、連系線を活用することで、他のエリアからそのエリアが予備率8%下回らない範囲で、供給力を振り替えるということをしますと、ご覧いただきますように赤の部分すべてが8%を確保できるという見通しを得ております。
20スライド目は沖縄エリアでございまして、こちらも最大電源ユニット脱落した場合にも、いずれの月でも、供給力が需要を上回っているという見通しを得ております。
21スライドでは、短期のまとめでございまして、先ほどの評価で、いずれのエリアでも供給力は確保されていると評価をしてございます。
22スライド目からが、長期、28年度から37年度の10年のバランス評価でございます。こちらは全国大ですが、最も予備率が低い34年度で9.3%ということで全国大での数字は、8%以上を確保できているということでございます。
23スライド目で、エリア別で見ますと赤の部分が、8%を下回るところあるということでございます。夏季の東京、中部、関西、冬季の東北エリアで8%未満となってございます。
24スライド目ですが、こちらは中長期の電源開発及び休廃止計画という事で示してございますけれども、中間年度に、廃止が先行して、後年度に開発で置き替わっていくという状況がわかるということでございまして、それが23ページのような全体の傾向になっている理由でございます。25スライド目でございますが、この先ほどの8%に満たない部分をどう考えるかということで、こちら追加の発電余力を考慮いたしました。つまり、4月29日から6月10日までに供給計画を確認した事業者69者分の発電余力を考慮いたしました。そうしますと、26スライドにありますように大分赤色の部分が解消されまして、あとは東京エリアの33、34年度、関西エリアの33年度が8%未満ということで絞り込まれます。さらに27スライドにございますように連系線の活用を考慮しますと、関西エリアの33年度は8%を確保できる見通しです。ただし、東京エリアの33、34年度は、それぞれ7.4%、5.1%ということで8%未満となっているという状況でございます。
ここからは参考検討ですが、28スライド目にありますように今建設中の連系線が活用できると仮定した場合でございます。北斗今別直流幹線の30万kWと飛騨信濃直流幹線の90万kWは31年度、32年度の運用開始ですので、これを期待しますと下にございますように33年度が8.0%、34年度が6.9%まで改善いたします。
さらに、29スライドで参考2としてございますけれども、供給力のポテンシャルとして他にどのようなものがあるかですが、環境アセスを開始している電源開発計画が下に並んでございます。このうち、東京エリアで33年度までに運転開始を計画している電源のうち、供給計画の中で供給力としてカウントされていない電源をピックアップいたしました。そうしますと31スライドにありますように約150万kWがございまして、それが期待できるとすると6.9%から9.6%に改善されるということでございます。ただし、これは、あくまで参考検討ということでございます。32スライドは沖縄エリアにつきまして、長期の評価をしてございますが、こちらも数字的には問題ないと確認しております。
33スライド目が長期のまとめでございまして、東京エリアで平成33、34年度を除きまして予備率が8%以上確保できる。沖縄エリアも供給力の問題はありません。
34スライド目にまとめてございます短期は予備率8%を確保できる見通しでございます。中長期の需給バランス評価では、8%を下回るエリア・年度が存在するということですが、供給計画の取りまとめの中では、新規電源開発の供給力が捕捉できないこと、さらに、原子力発電の供給力のほとんどが未定の計上となっていることを考えると、直ちに安定供給に支障があるとは言えないかと考えております。今後、実施いたします需給変動リスク分析も踏まえまして、需給バランスの状況について注視が必要であると考えております。
続きまして、35ページです。電源構成の変化に関する分析というところでございます。
36スライド目では、全国の電源構成の変化を示してございます。新エネ、太陽光の伸びが顕著であること、ベース電源では石炭火力が増加しているという傾向が見て取れます。
37スライド目は、発電電力量の変化を見てございますが、こちらでは、LNG火力の発電電力量に減少傾向が見えるということですが、ただ、グラフの右端にございます、その他計という事で、これは調達先が未定ということでございますが、これが増加しているということで、小売電気事業者が供給力の調達を進めて参りますと、このLNGの下向きの傾きというのは、少し上がって来ると考えてございます。
38スライド目でございますが、これは各電源別の設備利用率を試算した結果でございますが、調達先未定分というのが、将来の各電源の稼働に反映されていないということで、この点について留意が必要でございます。
40スライド目でございまして、こちらからは送変電設備の整備計画でございます。下の10カ年で423kmの主要送電線路の整備、ご覧いただきました変圧器、変換所の新増設が計画されてございまして、地域間連系線につきましては、北斗今別直流幹線、飛騨信濃直流幹線及び関ヶ原北近江線という計画が記載されております。こちらは、27年度の供給計画から変更がないということを確認してございます。
次のスライドからが広域的運営の状況でございます。43スライド目ですが、こちら各エリアの小売電気事業者が、そのエリア外から調達を計画している電力量を集計いたしました。エリア外からの調達電力量は、東京、関西、中国エリアが多いのと、また、調達電力量の比率で見ますと右のグラフにありますように関西、中国、四国、東京エリアが高いというような状況が見て取れます。
44スライド目は、ピーク時のエリア間の潮流状況ということですが、矢印の大きさを見ていただければ、おおよその潮流の流れが掴めるかと思います。50Hzエリアでは、東北から東京の方へと60Hzエリアでは、九州から中国、関西に潮流が計画されているという状況が見えます。
45スライド目からが電気事業者の特性分析でございます。46スライドは、年間の供給電力量、小売電気事業者が見込みます需要電力量を規模に応じて事業者を分類いたしました。年間の供給電力量の見込みが10億kWh以下の中小規模の事業者が需要規模の拡大を目指しているという傾向がわかると思います。次の47スライドですが、こちらが最大需要電力別で分析をしました。こちらについても同様な傾向というのがわかるかと思います。48スライドですが、こちらは小売電気事業者が営業を展開していくエリアの数を分類いたしました。半数以上の事業者が単一のエリアで事業を計画しているということでございます。
49スライドが各エリアでの小売電気事業者の数がどれだけあるかというのを示してございますが、北陸、沖縄を除きまして、ほぼ、各エリアの需要規模に応じた事業者の数があるのではないかと見ております。
50スライド目ですが、こちらは各エリアの小売電気事業者の想定需要ということで、小売電気事業者が想定します自社の最大需要電力、販売目標と言えるかもしれませんが、それと一般送配電事業者が想定しますエリア全体の最大需要電力、この差を比率で表してございます。北陸と沖縄エリアを除きまして、小売電気事業者の自社最大需要電力、販売目標の合計値がエリアの想定値を上回っているということで、年度が進むほど、それが大きくなっているという状況でございます。
51スライドにここまでの取りまとめでの気づきを課題として二点挙げてございます。
供給計画の提出義務のない事業者の新規開発電源や供給計画の提出義務がある事業者が供給計画に記載しない新規開発電源が供給力として補足できないということでございます。これらの計画も、供給計画に記載される計画とあわせて評価をしていく必要があるのでないかと考えてございます。課題の二つ目が電源開発計画の不確実性についてということですが、現状、供給計画に記載されたものは、すべて供給力に計上し、記載がないものはカウントしないということでございます。今後は、多様な事業者がいるということで、電源開発計画の不確実性等を考慮して供給力を計上、評価していく方向を検討していく必要があるのでないかと思っております。
これらの課題につきましては、当機関が7月から実施いたします電源入札等の検討開始の必要性判断のための需給バランス評価、需給変動リスク分析の中で検討していく予定でございます。
続きまして、52スライド目からが、この取りまとめを通して抽出した現状の課題ということで挙げてございます。こちらが大臣意見に関係するような事象をまとめております。まず、52スライド目では、課題の一つ目として小売電気事業者各社の自社想定需要に対しまして、契約等で既に確保している供給力の比率を表しているグラフでございます。こちらの推移を見ますと特に中小規模の事業者というのが現時点では、中長期の供給力を調達先未定として計画しているということがわかります。
53スライド目で、発電事業者の電源開発及び休廃止計画の推移でございます。三つ目の点にございますように新規電源の開発計画というのが、この計画通りに進まなかった場合として、運転開始時期の遅延や計画取りやめ等があると思いますが、この場合には需給は今回の評価よりも厳しいものとなる可能性があるということで、状況を注視する必要があるのではないかと考えてございます。
このようなことから、課題として大臣意見としたいと考えているものが、54スライド目でございます。まず、小売電気事業者の供給力確保と実効性についてということでございまして、今回の供給計画からは、小売電気事業者の多くが、中長期の供給力を調達先未定と計画していることが分かりました。この調達先未定の供給力については、小売電気事業者が現時点において相対契約等で長期に亘る供給力を確保していないものの、今後、市場や相対契約の締結を通じて、調達されていくものでございます。
今後、原子力発電の再稼働や新規電源の導入によって、経年火力は休廃止され、電源が入れ替わっていくことが想定されます。しかし、発電事業者にとって小売電気事業者との間に長期契約等がない場合、保有する電源を期待通りに稼働させられるかどうかの確証が得られず、結果として計画通りに電源の新設・入替えが行われない可能性があります。将来、市場調達可能な供給力が、需要に対して十分に確保されないことも懸念されます。
このため当機関としては、上記の状況を注視しながら、今後実施する需給変動リスク分析において、将来の電力需給の見通しや、電源入札等の必要性などについて検討を深めていくこととします。国においては、将来の安定供給を確実に確保するため、国民負担とのバランスに配慮しつつ、容量メカニズムの導入等も含め、実効性のある供給力確保の在り方について検討を進められたいというふうに考えてございます。容量メカニズムにつきましては、参考資料ということで、55スライド目に解説をしてございます。
続きまして、56スライドでございます。こちら抽出された現状の課題の二番目でございます。震災の後、原子力が停止して行く中、火力を最大限活用して、需給を何とか保ってきたということで、非常時のリスク対応として、火力発電の設備の維持が期待されますが、今後の経年化、相対的な競争力が低下した電源というのが休廃止されていく可能性が高いということが今回の取りまとめでわかりました。特に石油火力は、LNGに比べて燃料調達・運用の柔軟性が高く、ベース電源の電力量の代替えとして活用できるメリットがあり、非常時のリスク対応の観点で活用が期待できる一方で、経年化競争力の低さということから更なる休廃止が進む可能性が高いのではないかということでございます。
57スライド目は、震災後の火力発電の設備利用率の推移とありますが、震災後の急な需給ひっ迫に対して柔軟に対応できたというのは、こういった老朽化した石油火力が活用できたということも理由のひとつでないかと考えてございます。
58スライド目は、こういった老朽化した火力の稼働が先細っていくということになりますと、その燃料サプライチェーンの維持が難しくなるといった指摘が国の方でも議論されております。
59スライド目です。更に現状の課題としまして、ひっ迫時需要抑制電力、需給調整契約等についてです。平成28年度は全国で350万kW程度の契約量を確保していますが、29年度以降は、契約の見通しが不透明でありまして、現状では、このうちの多くが計上されていない状況でございます。リスク対応の観点から、現在契約がされていますが、コスト面の議論がされておらず、このまま契約を維持していくことは困難であるという指摘を受けております。このように自由化が進展していく中では、非常時のリスク対応力が失われつつあると認識してございます。こういった認識から、60スライド目に記載の課題に関しまして、大臣への意見として考えております。
稀頻度リスクの対応についてということで、電気事業者より懸念として示されたものを二点挙げております。まず、一つ目が原子力発電の再稼働、再エネの導入が進むことにより、競争力が相対的に石油火力等の経年火力が徐々に廃止されていくことになるとのことです。その場合には、例えば、東日本大震災のように大規模かつ長期間に亘り供給力が減少するような稀頻度事象が発生すると電力需給は極めて厳しい状況になることが想定されます。こうした事態が発生する可能性、稀頻度リスクを踏まえた石油火力発電等の供給力の確保の在り方を検討することが必要ではないかということです。また、需給調整契約等の非常時に供給力の代替えとして使い得る手段については、平成28年度については、旧一般電気事業者としての非常時のリスク対応等の観点から、従来と同程度の契約を維持しております。しかし、競争環境の変化やコスト面も鑑み、今後保有し続けることが難しいとのことであり、平成29年度以降の取扱いについては未定となっているとのことです。そのため、今後は、この取扱いについて、改めて整理する必要があるのではないかとの懸念です。
以上について、当機関としても重要な課題と認識したことから、稀頻度リスクをどう考えるべきか、また、その対応として電源入札その他の手段を講ずるべきかについて議論を進めていくこととします。また、国においても、稀頻度リスクについての考え方を整理し、その対応について検討を進めていただきたいと思います。資料の説明は以上でございます。
○野間口議長
ありがとうございました。パワーポイントでの説明を踏まえて第1号議案というかたちになっております。今の説明に対しまして、ご意見がある方はお願いします。
それでは、まず、私の方から確認したいのですが、特に稀頻度リスクへの対応について、当機関としても業務を進めて行くうえで、マニュフェストともいうべき具体的な計画があるのでしょうか。
●遠藤理事
はい、ありがとうございます。稀頻度リスクの検討については、国の方の委員会でも指摘されておりまして、当機関の中でも議論することが必要と言われております。当機関の、調整力及び需給バランス評価等に関する委員会で、この供給計画についても議論はさせていただいており、その委員会の中で、これから検討して行く予定です。また、結果が出ましたらご報告させていただきます。
○秋池評議員
全体として、こちらでいいと思っております。昨年は出なかった供給計画が出せたということで、これは未定のものをゼロにした決断が大きいと思うのですが、形を作った皆さまの努力、ありがとうございました。それから1点、これは大臣の意見に入れるものなのかどうかを悩むところではあるのですが、別紙資料の37ページに、発電電力量の変化というのがございます。これは、もちろん計画ですので、今後変化はありますが、平成37年で石炭の比率が32%近くあり、LNGが28.6%ということで、経産省の2030年の電源構成の目標として出しているものと、かなり大きな乖離があります。この事をとらえている機関は、もしかしたら広域機関だけではないでしょうか。これを書面の意見に入れるのか、或いは別の意見交換の場で伝えていくのかの判断はあるかと思うのですが、非常に重要な情報のように感じましたので、扱いをご検討いただけるとよろしいのかと考えました。
●佐藤理事
ちょっとすれ違い的な答弁かもしれませんが、まさに今、先生がご指摘いただいたように原子力は今のところ薩摩川内で動いているもの以外ゼロになっていますので、仮に原子力の再稼働が進みますと、この原子力の比率が延びていって、石炭がかなり落ちる可能性があるということですので、少し注視をさせていただきたいということだと思います。
○秋池評議員
あと、再エネですね。
●佐藤理事
そうですね。おっしゃる通りであります。そうするともちろん石炭だけじゃなくて、LNGとか石油に関しても、これは比率が落ちて行く可能性は、原子力の再稼働に応じては、かなりあり得ることだと考えております。
○野間口議長
よろしいですか。
○秋池評議員
はい、継続的に、これから見て行くということで。
○松村評議員
質問をしていいでしょうか。スライド59ですが、需給調整契約等というのは、具体的に何ですか。瞬時調整契約だけですか。随時調整契約と瞬時調整契約ですか。あるいは、他のネガワットのようなものも広く入っているのか教えてください。
●藤岡部長
現時点で、その問題としてどちらに限ってという限定はしていませんが、ここでは安定供給上のということで注目しておりますのが、一般送配電業者が確保しているひっ迫時需要抑制電力です。
○松村評議員
瞬時調整契約だけということですか。
●藤岡部長
そちらを注目しております。
○松村評議員
ここで書かれている量も瞬時調整契約のみですか。
●寺島理事
すみません、私の方から補足させていただきます。59ページに書いてあるものは、一般送配電事業者が保有すると整理されている瞬時調整契約と小売電気事業者が保有すると整理されている随時調整契約と、両方が入っております。
○松村評議員
両方入っているのですね。
●寺島理事
はい。
○松村評議員
そうすると、随時調整契約の旧一般電気事業者が非常時のリスク対応の観点から契約しているものなのですか。次にコスト面での議論がされておらずというのは、これは一体どういうことなのでしょうか。瞬時調整契約ならまだ理解が可能なのですが。小売り部門が持つ契約まで含んでコスト面の議論がされておらずというのは、それもどこかが議論すべきことなのにまだされていないと広域機関は思っているということでしょうか。
●寺島理事
すみません、そこは、藤岡部長からも補足もありましたように、私どもが、いま稀頻度リスクの中で注目しているのは、一般送配電事業者が保有すると整理されている、瞬時調整契約のものでございます。コスト面での話とか、そういう議論をさせていただいて、必要量は何かっていうところを見ております。ただ、ここでは瞬時調整契約が随時調整契約かの区別をしないで、この表の59ページは、まとめてしまっているというところではあります。そこは、先生がおっしゃるように一般送配電が保有するものと小売りが保有するものとでは、意味合いが当然違って来るものというふうに考えております。
○松村評議員
もし、そうだとすると、この59ページの書き方も何もあいまいに書かなくても瞬時調整契約の事をとても気にしていると書けばいい。もし何か意図があって、随時調整契約は、もちろん必要な役割を果たしているわけですから、意図があって、そうしているのなら書くとして、範囲を曖昧にしておく必要があるでしょうか。
●寺島理事
曖昧にしようと思っているわけではなくて、いずれにしても小売電気事業者の方も、事業者のヒアリングの中では、今までは万一のひっ迫時に持っていた随時調整契約というのもだんだん持てなくなってくるようなことも言っておりますので、それは、小売電気事業者とすれば、当然のことだということもありましたので、両方をまとめて書いた方が、データとしては良いかと思ったところでございます。
○野間口議長
関連するのですが、私もどういうふうに把握するかなと思ったのですが、来年、同じ調査をするとH29のところで、ある程度上がって、次の年は、また下がる、そういうデータになるのですか。要するに時期が切迫すると契約も具体化して行くので、今は、平成29年は100を下回っていますけれども、もっと現実的には、高くなって、100か200か300と上がって行く。そういう性格の聞き取り調査になるのでしょうか。そうなるのではないかと思うのですけど。関係する事業者が、どれだけ皆さんの調査に対して、真面目に答えてくれているかでも、だいぶ違うのではないかと思います。
●寺島理事
補足させていただきます。事業者は、需要家さんと電力契約を結ぶことになりますと、28年度である当該年度は、こう契約しましょうとなりますので、契約の結果が、当該年度に出るのですけども、その次の先の年度については、契約が、おそらく、しっかりされてない部分が相当あるのだろうと思うので、結果的にこういうふうになっているのだと思います。その意味で議長がおっしゃるような傾向が、来年度は、またなる可能性はあるかと思います。二年先までは、契約してないという事実は、必ず出て来るとは思います。
●佐藤理事
ただ、趨勢的に3.11の直後は、そうとう積み増して、その後も結構大きかったのですが、趨勢的に減っているのは、確かでありまして、この28年度の値も27か26年度なんかと比べると、それは相当減っておりますので、まさにおっしゃられたように多少は確定してくると伸びるところもあると思いますけど、28年度の値を大きく超えるようなことは、まずないのではないかなということだと思います。
○野間口議長
なるほど。他にありませんでしょうか。
○松村評議員
ものすごくしつこくて申し訳ないのですが、随時調整契約の方は、普通に議論されているネガワットというのと性質が近いというような気がして、ネガワットもとても重要だということは確かにその通りだと思うのですが、小売部門が持っているものも含めて旧一般電気事業者が、契約しているものに関して取り立てて、何か言う必要性があるのかどうか。もし小売りが持つものも重要だと思っているとしたら、全般として、ネガワットの話をするべきなのではないか。性格が少し曖昧で違和感があります。それから瞬時調整契約は、さすがに大分性質が違うわけですから、これがどんどん廃止されていっていいのかどうかという問題提起するのは理解できるので、実際の要請は、そっちなのではないかと思います。いずれにせよ、今後の委員会では、きちんと性格を分けることを是非お願いします。
●寺島評議員
先生のご指摘、理解いたします。決して何かぼやかしているつもりではありません。正確に申し上げれば、ここに330万kWぐらいの量が示されていますけども、内訳としては、瞬時調整契約が130万kW、随時調整契約が200万kWでございます。どちらも同じぐらい大きなものが、同じぐらいの比率でドンと低減しているという事実がありましたので、それを旧一般電気事業者という全体が持っていたものが、こういう形で変わっていくという趨勢を示そうと思っただけでございます。フォーカスすべきという意味では、一般送配電事業者が、然るべきコストをかけて持つべき量だと思っております。内訳についても何かオブラートに包むつもりはございませんので、私の方から口頭で補足させて頂いたところです。
○野間口議長
よろしいでしょうか。それでは、第1号議案、平成28年度供給計画の取りまとめに関する経済産業大臣への意見について、こういうかたちで意見を申し上げるということでよろしいでしょうか。
はい、ありがとうございました。それでは続きまして、報告事項に入ります。活動状況報告をお願いします。今回は、平成28年5月から6月までの報告をお願いします。
●川崎部長
それでは活動状況報告をさせていただきます。
資料としましては、表紙に報告事項(1)活動状況報告(平成28年5~6月)という資料と、表紙に別紙(2) 電力システム改革第2段階への移行に伴って生じている諸問題についてというこの二つの資料でございます。
それでは報告でございますけども、おめくりいただきましてA4の表裏一枚ものの資料をまずご覧ください。適宜、後ろのパワーポイントの資料でご説明をさせていただきます。
理事会の方ですけども、パワーポイントの参考資料1をご覧いただきたいと思います。主要な理事会決議事項を記載してございます。いくつか概要についてご説明させていただきますと、第62回理事会では、東北東京間連系線のコストの調査業務委託先を、技術評価と価格評価の総合評価を実施の上決定しております。第63回では、5月12日評議員会で審議した東京中部間連系設備に係る広域系統整備計画の実施案及び事業実施主体ならびに費用負担割合の案について決定をいたしました。第64回の理事会では、東北東京間の短工期対策の連系設備と発電設備の工事費、工期の詳細検討を、東北電力と東京電力パワーグリッドに依頼する旨決議をしております。第65回の理事会では、スイッチング支援システムに関して、実務者会議で出された意見を基に、改修効果の高いと判断したものについて業務委託契約を締結することを決定しております。
A4資料に戻っていただいて、②の会員への指示と③の電気供給事業者への指導・勧告ですが、共に6月17日までの間はありませんでした。続きまして、④と2の、系統アクセス業務の事前相談の受付・回答済み件数、それから苦情処理・紛争解決業務の受付・対応件数をお示ししております。続いて、3の全国及び供給区域毎の需要に対する適正な供給力の確保状況ということでございますが、パワーポイントの参考資料2をご覧いただきますと、先ほど、藤岡計画部長からも説明がありましたけど、青の部分はH3の最大電力、赤の部分は供給力、折れ線グラフの部分は予備率を示しております。東京エリア以外の全国および供給区域のすべてで適正な予備率8%を確保できる見通しでございます。
東京エリアは連系線の活用により、適正な予備率を確保できる見通しということで、先ほど藤岡部長からも説明がございました。A4資料に戻っていただきまして、4のスイッチング支援システムに関してでございます。スイッチング支援システムの利用状況は参考資料3に付してございます。それから、先程の理事会でも説明しましたが、改良3件を予定しているということでございます。続いて、その他5のところでございますが、広域系統整備委員会に関してはパワポの資料の中で、上の欄に概要スケジュール、下の欄に委員会の議事を示しております。本日午後から開催予定の第14回委員会の議事としましては、FC費用負担割合案の同意確認、FC広域系統整備計画の決定と、バイオマス発電等の一般負担の上限額の指定を予定しております。
続いてA4の資料の2ページ目ですけども、調整力及び需給バランス評価等に関する委員会ということでございまして、委員会は前回の評議員会から2回開催してございます。主要議題として、供給計画取りまとめ時点での需給バランス評価の基準、再生可能エネルギー導入等を踏まえた見直しが検討途上であるということで、先程も話がありましたけど、今回の評価では、暫定的に従来の基準(供給予備率8%)を用いるということにしてございます。③の情報セキュリティに関する取組みとしましては、情報管理に関する規程として体系の見直しを進めてございまして、OAシステムの運用細則を制定してございます。今後、スイッチング支援システム、広域機関システム、入退室管理システムの細則を制定していく予定でございます。
ここで一点ご紹介として、パワーポイントの参考資料5をご覧いただいてもよろしいでしょうか。上の欄に計画を書いておりますが、下の欄にある「(参考)科学技術イノベーション総合戦略2016」というのが5月24日閣議決定をされてございます。その中の、セキュリティに関係する部分を記載させていただいております。その報告書の中では、データやIoT技術の活用において、セキュリティの重要性に触れておりまして、重要インフラ等、こういった電力関係ということになりますけども、優先的に対応する、業界内・業界間でのサイバー攻撃等の情報共有を共通化・自動化を実現する仕組みを構築すると記載されておりまして、こういったことを受けまして、主管庁と協議し、具体的な対応を協議していくことになっております。
A4資料の方でございますけども、④の地域間連系線の利用ルール等に関する勉強会ということでございます。本年6回開催ということでございまして、一つ目、連系線の利用ルール等の欧米の状況について、有識者からプレゼンテーションを実施していただいております。それで、議論のフレームワークについて議論を開始したということでございます。
⑤の電力システム改革の第2段階への移行に伴って生じている諸問題については、田村運用部長からご説明いたします。
●田村部長
電力システム改革第2段階への移行に伴って生じている諸問題につきましては、5月12日の評議員会でご報告いたしました。本日は、その後の状況変化について、6月10日の会員総会でのご報告内容を含めてご説明いたします。
主な状況変化としては2点ございます。1点目は開発が遅延しております連系線利用計画の管理機能についてです。まず、連系線を活用した時間前市場の取引につきましては、6月3日より運用を再開いたしました。週間の連系線利用計画の更新につきましては、6月1日より運用を開始いたしました。また、月間の連系線利用計画の更新につきましては、来週月曜日の27日に空容量を公表すべく、現在準備を進めている状況でございます。
2点目である計画値同時同量制度への移行に伴う問題の内、計画データの誤りにつきましては、現在も事業者の皆さまに計画の是正を働き掛ける取り組みを継続しております。また、5月16日から20日まで、事業者の皆さまに新豊洲の事務所へお越しいただいて講習会を開催し、129社206名の方にご参加いただきました。今後は、こうした活動に加え、規程に基づく指導・勧告も視野に入れつつ対応することを考えております。
なお、インバランス料金精算につきましては、6月10日の会員総会終了後、資源エネルギー庁より事業者の皆さまへご説明いただきました。また、6月17日の専門会合でも、資源エネルギー庁より精算方法の案についてご報告いただきました。
資料を一枚おめくりください。右肩に添付資料1とありますが、こちらは6月10日の会員総会でご説明した資料となります。なお、説明は割愛させていただきます。
続きまして、6月に入りましてからスポット市場に係る不具合を3件発生させておりますので、その状況、再発防止策等についてご報告いたします。資料を5枚おめくりください。右肩に添付資料2とあります、「一般社団法人日本卸電力取引所に対する誤った地域間連系線空容量情報の送信等について」と題した資料をご覧ください。
当機関は、本年6月、日本卸電力取引所(JEPX)に対して、スポット市場取引用の連系線空容量情報を誤って送信したこと等により、本来不要な市場分断を3件引き起こしてしまいました。これらの事象について、概要、背景及び原因、並びに再発防止策を取りまとめましたのでご報告いたします。なお、各事象につきましては、発生の都度、当機関のウェブサイト及び系統情報公表サービスで公表しております。
まず1件目の6月4日分スポット取引における北陸エリアの市場分断についてです。概要ですが、当機関は、JEPXにおけるスポット市場の約定処理のため、毎日午前9時半から10時の間に、JEPXに対して、全国の連系線の翌日の空容量情報を送信するという業務を実施しております。6月3日、当機関は、北陸関西間連系線及び中部北陸間連系線設備、これを合わせて北陸フェンスと申しますが、北陸フェンスの翌日の空容量合計値を誤って終日“0”「空容量無し」として送信したため、6月4日に受け渡しされる電気を対象としたスポット市場において、終日にわたり、北陸エリアからエリア外へ電気を売れない、北陸エリアの事業者がエリア外から電気を買えないという事態を引き起こしてしまいました。
背景及び原因ですが、当機関は、連系線利用計画の管理機能につきましては、開発の遅延に伴い、準備が整ったものから段階的に運用を開始してまいりました。当機関がJEPXに送信した空容量情報は、本来、週間計画の処理によってシステムで自動的に算出・送信することを想定しておりましたが、週間計画の受付処理の運用開始が遅れましたので、3月31日以降、6月2日までの間は、暫定的に当機関の職員が手作業で空容量を算出し、確認の上、JEPXに対して送信するという運用を行ってまいりました。
これに対して、6月1日に週間計画の受付処理を開始したことにより、6月3日以降は、直流連系線設備、北陸フェンス等の一部の例外を除き、空容量の算出をシステム上で自動的に行えるようになりました。しかしながら、6月3日、当機関は、北陸フェンスの空容量算出がシステム処理の例外になっているという旨の情報共有が不十分であったため、手作業を行わず、北陸フェンスの空容量を“0”として送信し、市場分断を発生させてしまいました。
この事象の一義的な原因は当機関が手作業で空容量算出処理を行わなかったということでありますが、その真因は職員間のコミュニケーション不足や当機関のリスク管理不足にあると考えております。
本事象に対しましては、6月4日以降、北陸フェンスの空容量について、手作業での算出・確認処理を再開させました。
2件目の6月7日分スポット取引における中国及び九州エリアの市場分断についてです。
6月6日、当機関は、関西中国間連系線について、誤った空容量の値をJEPXに送信したため、6月7日分のスポット市場において、中国及び九州エリアが他エリアと1コマ、市場分断するという事態を発生させてしまいました。
先述のとおり、3月31日以降、6月2日までの間は、暫定的に当機関の職員が手作業で空容量を算出し、確認の上、JEPXに対して送信するという運用を行ってまいりましたが、6月3日以降、直流連系設備、北陸フェンスなどの一部の例外を除く、空容量の算出をシステム上で自動的に行えるようになりました。
関西中国間連系線は、本来、2ルートの電線路であるところ、5月9日から6月21日までの間は保守工事を行っており、一部の送電線が使えないスケジュールとなっておりました。この場合、2ルート時とは異なるロジックで空容量を算出する必要があるところ、このロジックがプログラムに組み込まれておりませんでした。この原因を確認したところ、当機関の設立準備を担った広域的運営推進機関設立準備組合が開発委託先に提示したシステム仕様書に上記ロジックを記載していなかったということが判明いたしました。
この事象の一義的な原因は同組合におけるシステム仕様書の不備ではありますが、当機関としても事前にしっかり確認しておくべきであったと大いに反省しております。本事象に対しましては、6月7日以降、関西中国間連系線の空容量について、こちらも手作業での算出・確認処理を再開させました。
3点目の6月12日分のスポット取引における北陸エリアの市場分断についてです。当機関とJEPXのやり取りは、両者のシステム上の処理により、自動的に行われております。JEPX側のシステムは、当機関から受けた空容量情報に基づいてスポット市場約定処理を行い、その結果を当機関に自動送信する仕組みとなっております。一方、当機関側のシステムでは、システム上、JEPXから送信されるスポット市場約定処理の結果について空容量の範囲内であることを最終確認した上で、その最終確認を「可否判定」と申しておりますが、JEPXに回答する仕組みとなっております。この一連のシステム上の処理にあたり、当機関側のシステムにおいて可否判定プログラムに不具合があったため、6月12日分のスポット市場において、北陸エリアで8コマの市場分断を発生させてしまいました。
背景と原因ですが、広域機関システムは現在でも不具合が残っており、運用しながら不具合改修を行なっているというのが実情でございます。こうした中、開発委託先は6月4日、空容量を算定するための共通プログラムの不具合改修を実施いたしました。この際、本来は、当該改修が他のプログラムに影響を及ぼす可能性について十分評価、検証した上で、問題が生じないよう実施されるべきですが、影響範囲の確認が不足したまま、改修が行われてしまいました。
さらに、6月10日、スポット市場取引の可否判定機能において、6月4日に改修いたしました共通プログラムを呼び出すという変更が行われました。この結果、6月11日に実施いたしました6月12日分の北陸フェンスにおける可否判定にあたり、スポット市場取引の可否判定プログラムと共通プログラムにおいて処理の重複が発生し、計画潮流を実際の2倍の値として評価し、送電不可の回答を行うという事象が発生いたしました。
これは、例えば、空容量40に対して計画潮流25であれば、本来は送電可と返すべきでございますが、実際の2倍の値として誤った評価をしてしまったとはどういうことかと申しますと、まず40から25を引いて15、これを空容量と誤認し、15の空容量に対して25の計画潮流で送電不可という誤った処理をしてしまいました。
原因は、開発委託先が影響範囲を十分に評価分析せずにシステム改修を行ったことではありますが、当機関としてもしっかり監督すべきであったと、こちらも大いに反省しております。本事象に対しましては、6月12日に、10日の改修を実施する前の状態に戻して運用しております。以上が発生した事象のご説明でございます。
次に再発防止策についてご説明いたします。
まず1点目は、広域機関システムリスクマネジメント会議の設置です。この目的は、1件目のような手作業に係るリスク、3件目のようなシステム開発上のリスクを含め、広域機関システムの開発・改修に係るリスクを当機関と開発委託先がマネジメントレベルで共有し、適切な対策や問題発生時の対応について事前に決定する、そういう場を設けるというものでございます。今週火曜日の21日に第1回目を開催いたしました。
2点目は、システム仕様の確認です。これは2件目の反省を踏まえ、すべての連系線について調査し、関西中国間連系線を除いて、作業停止時の空容量算出ロジックを平常時のロジックと変える必要がないことを確認しております。
3点目は、システムと手作業の並行稼働ということで、今後システムの改修により手作業が不要となる場合であっても、直ちに手作業を取りやめるのではなく、一定期間もしくは、例えば3回、1回、2回で足りなくてもう1回と回数を決めて並行運用を実施し、システムの健全性をしっかり確認してまいります。
4点目は、不具合を未然に発見するためのシステム上の仕組みの構築ということで、スポット市場取引のための可否判定結果をJEPXへ送信する前に、例えばポーズといった機能を入れて、運用センターの当直員が確認し、不適切な内容であればデータの修正を可能とする、水際でトラブルを防ぐシステム機能の具備及び運用の検討を進めてまいります。
最後に責任体制・リスクマネジメント体制の見直しについてご説明いたします。リスクマネジメント会議の設置に加え、広域機関システム抜本刷新会議を設置いたします。こちらは、広域機関システムの総点検を通じて、不具合原因の早期発見、改修につなげるとともに、信頼性や堅牢性の向上などを目的とした抜本的なシステム刷新に向け、具体的な方針を審議する場でございます。
2点目として、事務局組織を見直します。今回のような不具合の再発防止を図るとともに、開発が遅れている機能の早期正常稼働、及びシステムの抜本的な刷新を推進するため、本年7月に実施する当機関事務局の組織変更の一環として、広域機関システムの開発・運用体制を強化いたします。
3点目として、各対応を実施しても、なお、市場への影響を含むトラブルが生じた際は、その原因等について十分に調査、確認の上、関係する役職員には厳正に対処してまいります。
また、市場への影響を含むトラブル事例が発生した場合の連絡体制につきましては、一部改善の上、機関内で周知徹底を図り、運用を進めております。
以上、6月3日から11日にかけて、短い期間の中で3件もトラブルを起こすという、大変お恥ずかしい事態を招いてしまいました。本日ご説明した対策を確実に実行し、職員一丸となって再発防止に努めてまいります。私からのご説明は以上でございます。
●川崎部長
すみません、先程の④の地域間連系線の利用ルール等に関する勉強会ですけども、昨日開催しておりまして、中間報告の取りまとめについて大筋の合意を得たということでございます。この報告に関しては、事務局からの説明は以上になります。
○野間口議長
はい、ありがとうございます。私からの質問ですが、3件目の北陸の件については改修前に戻すとの事ですが、運用はできているのですか。
●田村部長
改修の対象は表示の問題であり、そこは運用でカバーすることができますので、実態的な問題はございません。
○野間口議長
どなたかご意見ございませんでしょうか。
創成期の苦しみというか、色々な経験を積み重ねているところだと思いますけど、しっかりと対応していただくようお願いいたします。それでは報告事項は以上ですね。
●寺島理事
先程の第1号議案について、決議いただいた後に今後の予定について、私からお話しなければいけないことを失念しておりまして、申し訳ありません。本日、決議いただきましたので、来週29日の理事会で、この「供給計画の取りまとめ」について決議しようと考えております。これにつきましては、10年先の需給バランスをまとめた内容でもありますので、また、震災後初めてということもありますので、理事会決議の後、しっかり対外公表をやっていきたいと思っておりまして、その公表は、経済産業大臣に送付した後になりますことをご報告させていただきます。
○村上評議員
別に異存はないのですけれど、議論を進めていくとそこで終わっているのだけれど、これは当機関としても議論を進めていく、期限とかもっとはっきりいつまでに結論を出すのか、ただ検討するだけであって別に期限などはないということなのか、どのようにこの文章を読むのかという、それだけの質問になりますけれども。
●寺島理事
非常に大きな話ではあるのですけども、議論を進めていく場が調整力及び需給バランス評価等に関する委員会であり、そこでしっかり詰めていきますので、そこの課題の抽出等も含めて、スケジュールもしっかり対応していかなくてはいけないと考えております。
●遠藤理事
今の段階ではこの議論が委員会では始まっておりませんので、スケジュールも決まっておりません。それも含めてこれから決めていきたいと考えておりますので、現時点ではここには書けないということをご了解いただければと思います。
○村上評議員
はい、わかりました。
●寺島理事
私の説明で、もう一つ補足させていただきますと、先程申し上げました来週29日の理事会で決議した後、対外公表ということになりますが、理事会で確認していく過程では、まだ取りまとめの内容について一部修文があり得るということだけご理解いただきたいと思います。また同じく、大臣意見につきましても、趣旨の変わらない範囲で修文があり得るということで、その点はお任せいただきたいと思います。
○野間口議長
大きな修文の時は説明があるということでいいのですね。また、本意が変わらないようであれば、理事長のところでしっかりと対応していただければと思っております。
私も、村上先生のおっしゃる通りで、議論の結果どうなったのかなと期待しますので、いずれかの時点でまた報告いただければと思います。
また、これは私の不手際で、高村評議員の意見が出ておりますよね。これは最初の説明のところで評議員の意見も踏まえて説明があったかと思ったのですが、これに対して付け加えることはありませんか。
●佐藤理事
括弧のところで、地域間連系線を最大限活用するための措置というところで検討を加速させるというところは、先ほど総務部長から報告させていただきましたが、勉強会をやっておりまして、一応、松村先生にも参加していただいておりますが、中間的な取りまとめはほぼ昨日終わったということで、まさしく、具体化に関して加速をしていきたいと考えております。
○野間口議長
はい、ありがとうございました。
○夏目評議員
この資料もこれから公開していくのですか。今日はお手元限りになっていますけれども。事前説明の時に、スライド6の表のなかの小売1が三つならんでいるのですが、これは、小売1、小売2、小売3という話があったのですけれど。スライド6と7で表記が違っていますよね。もし、対外的に出すのだとしたら、それは直された方がよろしいのではないでしょうか。すみません、些細なことでございますけれども。
●寺島理事
ご指摘ありがとうございます。そういう意味でも、もう一度総点検いたしまして対外公表に臨む予定でございます。
○野間口議長
よろしいでしょうか。今のようなアドバイスがございましたら、ぜひ広域機関にご連絡いただければと思います。審議に影響ないですけれども、パブリシティーというのは大事だと思いますので、より良いアドバイスがありましたら、ぜひみなさんからいだだければと思います。それでは、閉会の前に理事長の方から一言お願いいたします。
●金本理事長
5月に評議員会を終えていただいて間もない時に再度お集まりいただきまして、それにもかかわらず、熱心なご議論をたいへんありがとうございました。
供給計画の取りまとめに関してましては法令で6月末までに出さなければいけないことになっておりまして、しかも、評議員会の決議をいただかなければならないということになっていますのでご容赦をお願いいたします。この供給計画の取りまとめにつきましては今回期限も決まっておりますので、急いで分析して意見も出すということでございますが、これからもっと時間をかけてしっかりとした需給バランスの評価・分析をしていきます。そのプロセスの中でまたいろんな新しい取り組みもしていくということになりますので、もう少し良い物にしていきたいと思っております。皆さま方、アドバイス等をよろしくお願いいたします。
また、システム関係のトラブルにつきましては、基本的なところは段々改善されていって目途が見えつつありますが、まだ全部きちんとなるというところには至っておりません。なるべく早くきちんとしたものにしたいと思っております。あと、改修のプロセスでいくつかのトラブルが起きておりますが、これに関しましても先ほどご説明いたしましたように、きちんとした体制をつくって、こういうことがないような格好にしてきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。どうも今日はありがとうございました。
○野間口議長
それでは今回の評議員会を閉会します。ありがとうございました。
以上、この議事録が正確であることを証するため、出席した議長、及び評議員2名は、記名押印する。
電力広域的運営推進機関評議員会
議長 野間口 有
評議員 松岡 萬里野
評議員 山地 憲治
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第2回評議員会 議事次第(75KB)
第1号議案 平成28年度供給計画の取りまとめに関する経済産業大臣への意見について(138KB)
報告事項(1) 活動状況報告(180KB)
参考資料1~3、5(700KB)
参考資料4(156KB)
別紙1 供給計画の取りまとめ(2883KB)
別紙2 電力システム改革第2段階への移行に伴って生じている諸問題について(1361KB)