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更新日:2016年5月16日

第5回評議員会 議事録

1.  開催日時:平成 28 年 2 月 5 日(金)9:30 ~ 11:20
2.  開催場所:電力広域的運営推進機関  会議室(東京都江東区豊洲 6-2-15 )
3.  議題
   (1) 議決事項
     第1号議案  定款の変更について(総会議決事項)
     第2号議案  業務規程の変更について(総会議決事項)
     第3号議案  送配電等業務指針の変更について(総会報告事項)
     第4号議案  平成 28 年度事業計画について(総会議決事項)
     第5号議案  平成 28 年度予算について(総会議決事項)
     第6号議案  事務局の職制及び権限に関する規程の変更について
     その他審議事項
   (2) 報告事項  なし
4.  出席者
   (1) 評議員( 18 名中 15 名出席)
          野間口評議員会議長、秋池評議員、安念評議員、石川評議員、江崎評議員、大高評議員、酒井評議員、
          鈴木評議員、高村評議員、夏目評議員、松岡評議員、松村評議員、山内評議員、山地評議員、横山評議員 
   (2) 電力広域的運営推進機関
      金本理事長、佐藤理事、遠藤理事、寺島理事、内藤理事、
          川崎総務部長、石坂企画部長、藤岡計画部長、田村運用部長
5.  議事の経過及び結果

●佐藤理事
   ただいまから、平成27年度第5回評議員会を開会します。
本日の評議員会は、現時点で総員18名中14名の評議員が出席、電車が遅れておりまして、まもなくどの先生もおつきになると思います。いずれにせよ定款第43条第1項に定める過半数に達しております。まず、お手元の資料をご確認下さい。
本日の議案は、次第に記載のとおりですが、報告事項はありません。活動報告については、次回評議員会で纏めて行う予定であります。資料については、議事次第に記載のとおりですので、配布漏れ等がありましたら、事務局までお知らせ下さい。
なお、ご発言の際は、お手元のマイクスイッチをオンにしてから、ご発言されますようお願いします。
それでは、議事進行を野間口議長からお願いします。

○野間口議長
   みなさま、おはようございます。
それでは議案に先立ち、定款50条に定める議事録署名者を指名します。松岡評議員と山地評議員にお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。(両評議員、了解の意思表示)ありがとうございます。
それでは、議案の審議を行います。
次第では議決事項6件となっていますが、最後にもう1件、追加で審議事項がございます。また、事務局長からの説明のとおり、報告事項については、今回はありません。議事進行についてでありますが、今回の第1・第2・第3号議案の3件、および、第4・5号議案の2件は、各々密接に関連する内容ですので、第1号から第3号までの3件を一括して事務局説明及び審議を行った後に一件毎に議決を行います。これに続いて、第4号・第5号議案の2件についても、同様に一括して説明及び審議を行った後に一件毎に議決を行います。その後の議案は一件毎に処理してまいります。それでは、第1号議案「定款の変更について」第2号議案「業務規程の変更について」第3号議案「送配電等業務指針の変更について」について、事務局から説明をお願いします。

●石坂企画部長
   それでは、事務局より第1号議案から第3号議案までの説明をさせていただきます。
冊子は第1号議案、第2号議案、第3号議案それぞれにつきまして、今回変更しない部分を含めて全文を掲載させていただいております新旧対照表が、議案の本文でございます。議案の本文は非常に分厚いので、後ろの方に別紙(1)というのがございます。これが変更の概要について説明させていただくものですが、この資料に沿って説明させていただきたいと思います。
   まず、パワーポイントの資料の右肩2番目でございます。まず、今回の議案の位置付けでございます。定款は組織のマニュアルになるもの、業務規程と申しますのが、主に広域機関が実施する業務に関する規定、送配電等業務指針が電気事業者に守っていただきたいルールという位置づけでございます。今回の第1号議案の定款、第2号議案の業務規程につきましては、本日の評議員会でご討議頂いた後、広域機関の総会の議決を経た上で、経済産業大臣の認可を得るというプロセスとなっております。第3号議案、送配電等業務指針につきましては、評議員会の後、理事会の議決を得たうえで経済産業大臣の認可を受けるというプロセスとなっております。今回の第1号議案から第3号議案は、4月に控えました電力システム改革第2段階の開始への対応等を主目的としております。そのため、定款と業務規程と送配電等業務指針の変更が必要になり、これら3件につき一括審議いただくものでございます。なお、本議案は今後総会とか経済産業大臣への認可申請の過程で変更がありうる事についてはご留意をいただきたいと思います。今後のスケジュールにつきましては、枠の通りでございます。
   おめくりいただきまして、右肩3スライド目でございます。今回の変更のポイントでございます。まず定款につきましては、第2弾の電力システム改革に伴う電気事業法の施行、これはライセンス制の導入、電気事業者の類型の変更でございます。この電気事業法の施行に伴う広域機関の議決権の整理というのがまず大きなポイントとしてございます。2番目、第2弾の改正、電気事業法の施行においては、広域機関の業務の追加としまして、電源設置を促進するという業務、電源が不足する場合に広域機関がセーフティネットとして電源を調達するという業務について規定するものでございます。3ポツ目、第2弾の改正電気事業法施行において、非常に大きなポイントでございます、小売の全面自由化に伴いまして広域機関が新たに実施するスイッチング支援にかかる業務の追加でございます。その他ライセンス制の導入に伴う技術的な変更ですとか、業務規程・送配電等業務指針・定款相互間の条文の移動、用語の整理、意味の明確化、字句修正等を行わせていただいております。
   右肩4スライド目でございます。定款の変更の大きな点が広域機関の議決権でございます。ライセンス制度の導入に伴うものでございます。まず、変更に当たってのポイントは、新しく類型化される小売電気事業者、送配電事業者、発電事業者それぞれのグループの議決権が等しくなるようにする必要があるものでございます。これは認可基準、現在パブコメにかけられている認可基準に書かれているものでございます。2つ目、1事業者が複数のライセンスを保有する場合でございます。このライセンスを保有する場合に、おのおののライセンスに議決権を割り当てる必要があるというものでございます。3点目、これは第6回の制度設計WGで国の議論がなされたものですけれども、いわゆる旧一般電気事業者の議決権の合計が、総議決権の1/3を超えないという点。4番目、あと考慮事項といたしまして、一方で、改正電気事業法におきましても一般送配電事業者は最終的な安定供給義務を負うという観点から、一般送配電事業者の議決権が過小にならないような配慮も必要ではないかと考えた次第でございます。以上の観点から、定款におきましては、旧一般電気事業者の議決権がちょうど1/3となるような割り当てとなる変更をさせていただくものでございます。以上が議決権の変更でございます。
   おめくりいただきまして、右肩5スライド目になります。その他、定款に関する変更点としていくつかございます。まず、電源入札等、広域機関の電源調達に関する規定を追加させていただくものでございます。あと、評議員会の関連事項としまして、議決事項の追加、需要想定要領の変更の議決ですとか、電源入札に関する議決。評議員会の開催頻度、これは技術的な変更でございますが、3月ごとから四半期ごとに変えさせて頂く。評議員の辞任届出を3月前から1か月前に変更させていただくものです。あと、総会に関連する事項といたしまして、通常総会の開催、現在は年1回ですけれども、これを年2回にさせていただくもの。あと、総会の議決等追加させていただくもの。あと、その他といたしまして主たる事務所の所在地の千代田区から江東区へ変更させていただくような変更をさせていただきたいと思います。
   続きまして、右肩6スライド目になります。ここからが業務規程と送配電等業務指針の変更でございます。業務規程と送配電等業務指針は対になってございまして、業務規程は広域機関の業務、送配電等業務指針は会員その他電気供給者の責務でございまして、ひとつの施策について両方に書かれるものがままありますので、業務規程と送配電等業務指針はセットとして説明させていただきます。まずは、先ほどご説明申し上げました、供給力確保のセーフティネットとして広域機関による電源入札を規定するものです。電源入札につきましては広域機関自身の発議によるもの、一般送配電事業者からの検討要請によるもの、国からの検討の要請によるものによって、委員会というものを新たに作りまして、入札の実施が必要かどうかの検討を行うものでございます。その上で、発電設備の新設が必要であるとか、既存の発電設備の維持が必要であるとか、休止または廃止設備の再稼働が必要であるとかの検討を行いまして、入札実施の決定を行うというものでございます。この左側の表の中のピンク色で囲ってあるところが評議員会においてご審議いただきたい事項でございます。入札の実施につきましては、その決定につきまして評議員にご審議いただくということを規定させていただいております。評議委員会の議決の後、理事会にて決定した後、具体的なプロセスに入って参ります。基本要件の検討以下をまた委員会において検討してまいりまして、募集要綱の策定であるとか、入札受付、締切、落札候補者の評価を行いまして、改めて評議員会におきまして落札者の決定と公表と契約締結までを評議員会の審議、理事会の決議に基づいて行うものでございます。最後に、契約締結に至ったものにつきまして、建設工程の進捗であるとか、稼働実績、補填金の支払い状況等について、評議員会に定期的に報告させていただくというプロセスを業務規程5章で定めさせていただくものであります。
   続きまして右肩7スライド目になります。全面自由化に伴いまして、広域機関の方でスイッチング、小売電気事業者の託送契約の異動を行う、スイッチングの業務の支援を行うシステムを準備させていただく予定でございます。まず業務規程におきましては、広域機関においてスイッチング支援システムを運用、利用の支援を行う一連の広域機関の業務について規定させていただいております。一方、指針の第14章におきまして、こちらは小売電気事業者に守っていただきたいルールを記載させていただいております。まずは、スイッチング支援システムを利用することに伴うルール、設備・電力量情報照会に関する取り決めでありますとか、託送異動等業務に関する取り決め、あと廃止取次ぎにおける小売電気事業者が遵守すべきルールといたしまして、国が定める小売事業のガイドラインを補完するものとして、スイッチング支援システムを利用することに伴って必要となるルールを記載させていただいております。まず、本人確認としまして、今回のスイッチング支援システムにおきましては新規の申し込みがあると同時に廃止の手続きも同時並行で行うというシステム構成になっておりますけれども、この廃止取次ぎを行うにあたりまして、第三者が勝手に廃止をするという事を防止するために、契約解除申し込みを行う場合に新しい小売電気事業者からの申込みを需要者本人からのものであるということを現小売で確認するために新小売事業者が身分の証明について照会を行うということを規定しております。二点目が、解約に伴う不測の需要者不利益事項の説明としまして、新小売事業者の申込みによって旧小売事業者の廃止の手続きを行うというに際しまして、解約によって無用なトラブルを防止するという観点から、一般的な不利益事項として、たとえば違約金が発生する可能性がございますなどのそういう一般的な不利益事項に関して説明する義務を負っていただくというものでございます。三点目が、廃止取次ぎの具体的なプロセスを囲みの手順に従って、プロセスを回すということの手順を規定しているものでございます。以上が需要家スイッチング支援でございます。
   右肩8スライド目は、いわゆる優先給電ルールと呼ばれているものでございます。優先給電ルールと申しますのが、昨今再生可能エネルギーが非常に増えて参りまして、再生可能エネルギーの出力は想定を上回る、非常に大きい、なおかつ需要が非常に低いというような場合に、電源の抑制をしなければならないというケースがあり、この電源抑制の手順について定めたものでございます。現状におきましても、スライドの左側の従来の措置という順番が規定されているものでございますが、今回、電気事業者の類型、ライセンス制の導入に伴いまして、手順について改めて整理するとともに、新しい施策を2つ追加させていただくものであります。新しい施策2つと申しますのは、まず電源Ⅲと申します、一般送配電事業者が通常コントロールしていない電源の抑制についてまず行うこと。3.といたしまして、長周期周波数調整という言葉を使っておりますが、連系線を介して他エリアの一般送配電事業者の下げの調整力を活用するというもの。この2つの措置を入れて、4.以降は従前の手順の通りですけれども、バイオマス専焼電源の抑制、地域資源バイオマスの抑制、自然変動電源の抑制、広域機関の指示、最後に長期固定電源の抑制、という順番で抑制をしていくという順番でございます。二つ目に、短周期広域周波数調整というスキームを、長周期とは別に導入しておりまして、短周期と申しますのは30分に満たない非常に微小な変動、細部の皺の部分を調整するというもの、これにつきましても、一般送配電事業者エリア内だけでなく、連系線を介して、調整ができるという措置を規定したものでございます。以上が優先給電ルールでございます。
   右肩9スライド目になります。その他各論、細かい事項につきましてもいくつか変更させていただいております。まず、費用負担のあり方ということで、費用負担につきましてはその他審議事項というところで詳しくご説明させていただきますが、この費用負担の上限につきまして広域機関が定めるというものと、設備構成プロセスにおいて、この費用負担ガイドラインを国が定めておりますが、これに従うというもの。系統アクセス、発電設備の系統への接続の検討におきましては、既存発電設備のリプレース時の系統連系希望者につきまして、リプレースの事業者が自動的に空いたところを使えるわけではなく、新規電源を募集するというプロセスを規定するもの。あと、設備更新時に軽微なものであれば接続検討がいらない場合があるのではないかという事を確認できるというプロセスでございます。あと、電源接続案件募集というものを現在実施しております。これは、複数の事業者が共同で設備増強の負担を行うというものでございますが、この実施の責任箇所を広域機関に一元化するというものでございます。あと、この募集プロセスを回す前に単独で負担出来る方をあらかじめ募集するというものでございます。あと、空押さえの抑制のために、接続契約の申し込み後の容量確保について取り消しができるというものを定めたものでございます。供給計画におきましては、一般送配電事業者は、今回発電部門と小売部門と切り離される立場になりますので、需給の状況を広域機関と共有するという規定の追加、年度途中に電気事業者となるものについて供給計画を提出して下さいという規定の追加、ライセンス制移行に伴いまして、供給計画の提出期限の移行措置について附則で規定させていただくものでございます。
   右肩10スライド目は、設備形成に関する内容でございます。広域機関により広域系統整備計画を定めることになっておりますが、この変更に関するプロセスの規定、広域系統整備計画に他者設備が含まれる場合にその設備保有者に協力をいただくという規定の追加、合理的な理由が認められる場合に、検討を提起した事業者や、応募する事業者の取り下げや変更に関する規定の追加・変更を行っております。続きまして調整力の確保でございます。
   ライセンス制に伴いまして、一般送配電事業者が電源を持たないことになりますので、一般送配電事業者による調整力の確保について、公募による実施の手順を定めたものでございます。次に、ライセンス制による計画値同時同量性の導入に伴う変更でございまして、広域機関の需給状況の監視につきまして、改めてライセンス制単位で整理をしたものです。次に、計画値同時同量制度における託送供給契約者等の発電計画の提出ルールについて整理させていただくものとして、一般送配電事業者が計画を作成する、FIT特例制度①というものがございます。この制度に伴う計画の提出のプロセスについて定めさせていただくものでございます。次が、連系線管理でございます。随時通告変更と申しますのが、ゲートクローズ、計画受付の締切の事でございますが、このゲートクローズ後におきましても、一定の条件のもとに、エリアをまたいで電源の持ち替え、持ち替えと申しますのは、電源が落ちた時にそのかわりの電源を立ち上げるというものでございますが、この電源の持ち替えを認めるというものがございます。あと、前日12時を境としまして、系統利用者起因によります混雑処理を伴う連系線計画通告変更を認めない制度の導入。あと、年間及び月間の連系線利用計画、現在は月単位であったり週単位であったりの連系線利用計画の日別管理化を行うもの。送電不可と判定された場合におきまして、送電可能な一部の範囲で容量登録を自動的に行うという措置の導入。また広域機関が計画を更新するタイミングにおいて、このタイミングでは現在利用者からの増量の登録ができないことになっていますが、この利用者からの増量の登録が可能ですというような措置を追加しております。
   最後は、右肩11スライド目でございます。作業停止計画調整その他における、作業員の安全確保について改めて規定させていただくものがこれらの条文でございます。系統情報公表といたしまして、公表の考え方につきまして、地内基幹送電線の情報を追加するものと、一般送配電事業者が系統利用者に特定負担を求める場合は地内の空き情報を公表するというガイドラインの修正に伴いまして対応した変更になります。情報セキュリティ対策といたしまして、電気事業者はスイッチング支援システム利用等に伴う情報セキュリティ対策を実施してくださいという規定を追加しているものがございます。最後に、これは広域機関の内部のことですけれども、組織・要員、委員会立上げの業務を企画から総務に移管させていただくというものも規定しております。
   以上、駆け足となりましたが、概要について説明させていただきました。ご討議のほど、お願いいたします。

○野間口議長
   それではご意見ある方は挙手の上、ご発言をお願いします。

○横山評議員
   技術的な細かいところで申し訳ありませんが、8ページの優先給電ルールというところで2点ほど質問があります。まず、業務規程や送配電等業務指針等に長周期広域周波数調整という言葉が出て来ます。私は電力系統工学を授業で教えておりますが、こういう言葉は初めて耳にして、学生達には教えたことはなく、周波数調整は30分以内、それ以上の長いものは需給調整等との言葉を使っています。このため、業務規程や送配電等業務指針において長周期広域周波数調整という言葉が使わることには、技術的な面から違和感があります。2点目は、短周期広域周波数調整を行う場合の地域間連系線に容量確保するということが、指針141条あたりから定められていますが、この場合の容量の確保とは、どの部分を確保するのか、マージンなのか空き容量なのかといった点についてです。

●石坂企画部長
   1点目のご質問、長周期広域周波数調整という言葉でございますが、電気工学的に違和感があることは承知してございますが、第3回電力基本政策小委員会やパブコメ中の認可基準に広域周波数調整と記載されておりますので、今のところ、認可基準に合わせて定義させていただいています。この点については、今後、認可申請の中でどういう言葉がよいかを国とご相談したいと考えております。
   2点目のご質問、短周期周波数調整の容量確保についてですが、翌日計画がフィックスして、空き容量が存在する時に、その空き容量を減らすことで確保するという建てつけとなっており、業務規程第65条別表10-4に規定しており、事実上、利用登録をする場合と同じ扱いとするものです。

○江崎評議員
   最後のところで、情報セキュリティ対策について新規に盛り込んでいただき大変ありがたいことと思います。これに加えて、事業されている会員自らのシステムのセキュリティ対策もしっかりやらないといけないのですが、これは広域機関のミッションから外れるので、ルール化しなくともよいとは思いますが、広域機関としてのリーダーシップが重要と思います。

○野間口議長
   ありがとうございます。ご指摘のとおりと思います。
セキュリティは大変重要と思います。広域機関としての心構えなどありますか?

●川崎部長
   広域機関の業務規程の認可基準において、推進機関は会員に対するサイバーセキュリティ対策の情報提供をすると規定されています。それを受け、業務規程において、会員に対して情報セキュリティ対策の普及啓発や情報システムの脆弱性に対する情報提供を適宜行うと規定しました。また、会員が守るべき送配電等業務指針においても、本機関から情報提供等に対して情報セキュリティ対策を見直さなければならないと規定しています。
   具体的な取り組みとしては、内閣サイバーセキュリティーセンターや情報処理推進機構から重要なサイバーセキュリティ情報を受けたら会員へ情報提供することとしており、セキュリティ診断ツールの開発についても検討してまいりたいと考えております。

○野間口議長
   ありがとうございます。よろしくお願いします。

○江﨑評議員
   ISAC(セキュリティ情報共有組織)を金融業界も通信業界も設置しているので、電力業界も設置した方がよいということを頭に置いておいた方がよいと思います。

○松村評議員
   質問ではないのですが、今回、電源入札に関する規定が追加されたのは、このような制度が作られた以上当然のことですので、きちんと整備して下さい。
   ただ、委員会での一般電気事業者の委員の発言からも予想されるとおり、電源入札制度が当分は使われないであろうという想定であり、容量メカニズムがこれから作られていく過程で、実際に電源入札制度が発動される可能性はありますが、当分は必要ないものと多くの人は思っていることは認識すべき。これが近々発動されるようなことがあれば、備えていてよかったということにはなりますが、何故そのような異常なことが起こってしまったのか、送配電部門はきちんと責任を果たしたのかというようなことの検証とセットにする必要がある。備えるのは必要なことですが、多くの人は、当分は発動されないはずだと思っていることは念頭に置いておく必要があり、あまり安直に発動されては困る。最後の砦でであって安直に発動するようなものではないことは忘れないで欲しい。

●遠藤理事
   ご意見ありがとうございます。先生が言われましたように、電源入札に関しては、国の委員会のなかでも、最終的なセーフティネットの位置付けとなっておりますので、むやみに発動すべきものではないと考えております。発動要件についても、今後慎重に考えていきますし、発動した場合の検証についてもしっかり考えてまいります。

○野間口議長
  それでは、議決に移ります。
第1号議案「定款の変更」について、原案どおりでよろしいでしょうか?

○評議員一同
   異議なし

○野間口議長
   第2号議案「業務規程の変更」について、原案どおりでよろしいでしょうか?

○評議員一同
   異議なし

○野間口議長
   第3号議案「送配電等業務指針の変更」について、原案どおりでよろしいですか。

○評議員一同
   異議なし

○野間口議長それでは、第1号議案、第2号議案、第3号議案いずれも原案どおりの議決となりました。
   続きまして、第4号議案「平成28年度事業計画」及び第5号議案「平成28年度予算について」も一括して事務局説明を行った後に審議を行い、審議に続いて議決に入りたいと思います。
   事務局から説明をお願いします。

●石坂企画部長
   それでは、第4号議案及び第5号議案について、ご説明いたします。
   まず、両議案の位置付けについて、資料別紙(2)に記載しておりますが、平成28年度の事業計画及び収入支出予算は、評議員会でのご審議頂の後、理事会を経て、広域機関の総会の議決を得た上で、経済産業大臣の認可を得るという手続きとなります。なお、両議案とも、定款や業務規程と同じく、経済産業大臣の認可事項ですので、認可の審査を経て変更があり得ることをご留意願います。
   次に、事業計画について、ご説明いたします。平成28年度事業計画の基本的な骨格は、本年度の事業計画を基本としつつ、定款、業務規程、送配電等業務指針の変更に伴い広域機関が新たに実施する業務内容や業務のやり方を変更する業務につきましての記載を加えておりますが、本年度の事業計画と大きくは変わっておりません。
   その中で比較的大きな追加項目としては、電源入札に関する内容がございまして、議案本文の「3.入札実施その他の方法~」に記載しております。
   次に、スイッチング支援システムにつきましては、議案本文の「4(6)需要者スイッチング支援」に記載しております。本年度の事業計画におきましては、システムを開発するという主旨の記載でしたが、28年度には、実際にシステムを通じた運用・保守を行っていくこと、また、立ち上げ以降に生じる改善点について実務者と一緒に検討を行っていくことも記載しております。
   次に、電源接続案件募集プロセスにつきましては、議案本文の「4(2)系統アクセス」に記載しており、電源接続案件募集プロセスが、広域機関に一元化されることに伴いまして、その業務を広域機関で行っていくことと、大型電源のリプレースに伴う手続きについて記載しております。
   その他では、ライセンス制導入に伴う業務内容の変更についても記載しております。たとえば、議案本文の「6.需給の状況が悪化した場合等における会員への指示」について言えば、会員への指示は本年度も行ったことがありますが、28年度からは、単なる指示だけではなく、一般送配電事業者によるいわゆる下げ調整力不足時に出力抑制の頻発する場合があり、本年度も種子島での出力抑制について事後検証をしましたが、この検証業務が広域機関の業務であるということを新たに明記しております。
   それと、本年度事業計画では記載していた内容ですが、28年度事業計画には記載のない内容がございます。たとえば、この豊洲事業所への拠点移転ですとか、大阪のバックアップ拠点の構築については本年度で実施済となりますので運用に向けた業務を行うという記載に変更しております。
   続きまして、第5号議案の収入支出予算について、議案本文でご説明します。まず、本文1ページ目の予算総則において、予算の申請につきましては、まず第5号議案の1ページ目にございます予算総則において、収入支出予算、債務負担行為、予算の流用制限、それと弾力条項と給与等の制限について、記載しております。そして、予算の中身については、2ページ目の別紙、そして、更にその内訳として3ページ目で本年度と28年度の対比をしております。28年度につきましては、今年度比約10億円増の約43億円を計上させていただきたいと考えております。この増分のうち一番大きな要因が、約8億円ある人件費の増加でございます。この人件費の増加につきましては、もっぱら出向負担金の支払いにかかる期ずれの影響でございます。今年度につきましては、本年度下期分の出向負担金の支払が4月になる関係で、予算上は半期分しか計上されておらず、28年度予算では上期と下期の両方が計上されているため、本年度予算の倍以上となっております。倍以上というのは、職員の人数事態も増加しているためでございます。この他の増加要因としては、固定資産関係費の増加がありまして、広域機関システムとスイッチング支援ステムの稼働に伴うリース料等の支出が増加しまして、一方でこの豊洲事業所の工事費支出は減要因ですが、差し引きで約4億6千万円の増加となります。この他、運営費の中では委託費が増加しており、システム保守関連費が増えるほか、調査関係費につきまして28年度は本腰を入れて取り組みたいということから増額としております。それと、旧ESCJのシステムを本年度に限り継承した分のリース料や、コスト削減をしました通信運搬費や消耗品費につきましても、本年度からの減額を予定しております。説明は以上です。

○野間口議長
   私からの確認ですが、先ほど説明にあった調査関係費というのは費目としては委託費になるのですか?

●石坂企画部長
   おっしゃるとおり、委託費に該当します。委託費の中で、調査的な内容のものを調査関係費と説明したもので、委託費の増加要因が、その調査関係費ということです。

○野間口議長
   仕事の本格化に伴って人員が増強されましたし、それに伴う合理的な予算の拡大だと思っておりますが、評議員の皆さんはどうでしょうか。よろしいでしょうか。
   それでは、議決に入りたいと思います。第4号議案「平成28年度事業計画」について、原案どおりでよろしいでしょうか。

○評議員一同
   異議なし

○野間口議長
   続きまして、第5号議案「平成28年度予算」について原案どおりでよろしいでしょうか。

○評議員一同
   異議なし

○野間口議長
   ありがとうございます。
第4号議案、第5号議案ともに原案どおりの議決となりました。続きまして、第6号議案「事務局の職制及び権限に関する規程の変更」について、事務局より説明をお願いします。

●石坂企画部長
   第6号議案「事務局の職制及び権限に関する規程の変更」については、議案本文は規程の新旧対照表ですが、まず、概要を別紙(3)でご説明します。内容としては、広域運用センターの体制変更でございまして、業務が来年度より急に拡大することになります。現在は神保町事業所におきまして連系線の管理や需給の管理を行っておりますけれども、28年度からは、各事業者の計画が集まって来ますし、一般送配電事業者の皆様の中央給電指令所のデータが広域機関に集まってくるものも一元的に管理することになりますので、広域運用センターの業務が広がることから、当直体制につきまして現状の1班2名体制から1班4名体制に増員したいと考えておりまして、この増員に伴いまして、副当直長ポストを新設させていただきたいというのが主旨でございます。副当直長はポスト職となりますので、職制権限につきまして追加させていただくものです。4名体制になりましたら、需給監視の強化、利用者の利便性向上、再生可能エネルギーの大量導入に備えた広域周波数調整の実施等に取り組みたいと思います。ご説明は、以上です。

○野間口議長
   それではご質問ご意見をお願いします。

○夏目評議員
   当直業務を担う職員を倍層することで業務拡大に十分に対応できるという説明でした。実際に動いてみないと分からない部分もあるとは思いますが、十分に検討したということを説明いただけたと思います。広域運用センターは、業務拡大で大変重要な任務を担うと認識しておりますので、この評議員会でも人件費増額も含めた予算が議決されたと思っています。適切な人員配置はじめ、色々な意味で宜しくお願いします。

●内藤理事
   4月1日から広域運用センター体制を拡充するということで、当直につきましても現状2名体制でございますが、4名体制に倍増するということです。ここで書かれてありますような新たな業務を含め、新たな増員体制で十分対応できると考えています。これは当直でございますので24時間体制、夜間とか土日もありますのでやっておりますが、これに加えまして、広域運用センターには日勤者もおります。また、この豊洲事業所に移転して全職員が一緒のフロアになりましたので、運用部のバックアップ体制が非常に取れているとも考えています。従いまして、これから業務について様子を見ていきますけれども、現状につきましては4名で十分と考えます。

○野間口議長
   今の夏目評議員の話を聞きながら感じたのですけれども、交通の便が厳しくなって、例えば台風接近の時に、その時の当直はいいのですけれども、次に交代要員が到着しにくくなることもあると思いますが、バックアップ体制はどのようになっているでしょうか?

●内藤理事
   これは引き続き今後の課題かと思いますけれども、色々な災害はございまして、事前に台風や地震など被害が拡大、長期化されることが予想されるときは予めシフト要員も手配するということしていきたいと思います。3.11のような大きなことがあった場合はシフトを柔軟に対応しまして、場合によってはここに一部は籠城することも考えていきます。いずれにしましても、人員に支障を来さぬよう、シフト体制など更に考えていきます。

○野間口議長
   よく社会インフラと言いますが、広域機関の担う電力需給は、いわばインフラ中のインフラで我が国の生命線ですから、ぜひよろしくお願いします。他にございませんでしょうか。

○江崎評議員
   インフラ的には、この豊洲事業所は、電源的にも最高品質で津波の対策も一番講じられている場所ですので、籠城するのが良いかと思います。

○野間口議長
   他にございませんでしょうか。それでは第6号議案「事務局の職制及び権限に関する規程の変更について」原案どおりでよろしいでしょうか。

○評議員一同
   異議なし。

○野間口議長
   第6号議案は、原案どおりの議決となりました。
今回は最初に申し上げました通り、1件の新しい審議の追加がございます。定款第41条第2項第10号に定めるその他理事会が認める事項を理事長から求められております。内容は「発電設備設置に伴う電力系統の増強及び事業者の費用負担の在り方に関する指針(平成27年11月6日資源エネルギー庁電力・ガス事業部)に基づく、『一般負担額のうち、「ネットワークに接続する発電設備の規模に照らして著しく多額」として指定する基準額』の指定について」です。本件については後ほど事務局から説明がありますが、資源エネルギー庁の指針により広域機関が基準額を指定することとされている議案となります。なお、数字が独り歩きすることを防ぐため、広域機関の理事会の決議までは非公表とさせて頂きたいと思います。また、こうした議案の性格上、資料は閉会後回収させて頂きたいと思いますので、よろしくお願いします。それでは事務局から説明をお願いします。

●藤岡計画部長
   それでは、説明いたします。
   1スライド目では、費用負担のガイドラインが制定されました背景について説明しています。昨今、再生可能エネルギー電源の系統への連系量、これがどんどん増加している状況というのは、ご承知の通りと思います。これに伴いまして、送電系統の設備増強も増加傾向にあるということです。こうした場合の費用負担の在り方として、事業者間において、費用負担に不公平が生じないようにするということで、制度設計ワーキングでの議論を経まして、昨年11月に発電設備の設置に伴う電力系統の増強及び事業者の費用負担の在り方に関する指針が経済産業省から公表されました。
   スライド2では、この費用負担の指針ガイドラインにおいては、基本的な考え方として、受益者負担を基本とすることになっている。具体的には、基幹系統の場合には、エリアの広範囲に渡って裨益が想定されるということで、原則として一般負担。基幹系統以外の場合には、設備更新による受益、設備のスリム化、あるいは供給信頼等の向上による受益といったところを丁寧に評価しまして、工事費を特定負担と一般負担に仕分けするというものです。
   次に、本日ご審議いただきます内容で、2ポツにあります一般負担の限界、この一般負担額のうち、ネットワークに接続する発電設備の規模に照らして著しく多額として広域機関が指定する基準額を超えた額については、上記にかかわらず、特定負担とされます。
   3スライド目ですが、この基準額については、更にこの(6)のところで説明されておりますが、送配電等設備の増強等に必要となる費用について一般負担とすることとされたとしても、例えば数万kWの発電設備の設置のためには一般負担額が数百億円必要となる場合などもあり、このように一般負担額が発電設備の規模に照らして著しく多額となる費用対効果が著しく悪い発電設備の設置がなされる場合には、すべて一般負担とした場合には系統利用者を通じて最終的には需要家の負担が増大することとなります。このため、一般負担額のうち、発電設備の規模に照らして著しく多額と判断される基準額を超えた額については、特定負担とすることが適当であると示されています。
   4スライド目に行きまして、この基準額については、広域機関において、ここにあがっております①から④、この要素を考えて検討し、指定するように求められております。下のスライドにまいりまして、まず一つ目の要素、ネットワーク増強工事費の過去実績、こちらを調べていまして、平成12年度以降に発電設備の連系を契機としましたネットワーク工事の実績を調査しプロットしております。このデータから、どこに線を引くのかという議論になるわけなのですが、平均を取りますと1.1万円/kW、平均から3σの幅を見ますと4.1万円/kWという線が示されています。
   スライド6ですが、今回、集計しましたデータは電源の連系に際しまして、過去にこのくらいの投資は実際にやってきたということですので、今後の円滑な電源立地を期待するのであれば、これらを相当程度カバーできるレベルとする必要があるのではないかと考えています。また、さっきのプロットには出ていないのですが、過去に承諾の限界として、一般負担をお断りしている系統連系の実績、これが6万円/kWから11万円/kWの実績がございました。これらの事から、今回の一般負担の上限額は、この4.1万円/kWという水準がよいのではないかと考えております。下のスライドでございますが、ネットワーク設備の増強に伴って、得られる効果という観点から考察をしています。一般負担で整備されたネットワークにかかる費用は、全ての需要家が電気の利用に応じて、託送料金として負担することとなりますが、そう考えますと、同じキロワットを発生する電源であっても、このネットワーク設備を効率よく利用する場合と、そうでない場合と、需要家が負担する金額を補正して、非効率な系統利用に対して多くの負担が行かないようにするべきではないかと考えています。
   8スライド目、9スライド目共通なのですが、需要家は託送料金を通して負担するということになりますので、こちらの料金制度、すなわち、二部料金制、こちらとも整合を取ってかたちで、この金額補正を設定することが必要と考えました。この資料にありますように、この4月から適用される託送料金の単価を適用しまして、火力等の電源の利用率70%といったところで、先ほどの4.1万円/kWですね、これが基準となるように設定しまして、発電設備の利用率に応じて、この上限額を補正しますと下の表及びグラフのような数字となります。計算の具体的な方法は、このおめくりいただいた10スライド目に参考として、ご紹介しています。下のスライドですが、こちらの表は、長期エネルギー需給見通しにおいて使用されました電源ごとの設備利用率のデータでございます。電源ごとのこの利用率に応じた先ほどの基準額というのを運用していくものと考えています。
   次に12スライド目ですが、電源が接続される系統の規模を電圧などによって、この上限額を補正する必要があるかどうかという確認を行いました。このデータのバラつき具合から判断しますと、特にそういったところで補正は不要なのではないかと考えられます。
   下の13スライド目ですが、この上限額の適用というのは、託送の形態などを考慮しまして、地内の系統整備の場合と地域間の連系線、こちらの整備では、それぞれ別にこの上限額を適用するべきではないかと整理をしています。また、地域間連系線の場合でも、原則的には同額の上限額を適用するものです。更にですね、考慮すべき項目が特別にあるという場合には、それを個別で積み増すと、基準額を補正するといった扱いをしようと考えられます。
   14スライド目ですが、まとめとしまして、この地内系統の増強に係る一般負担の上限額、これを4.1万円/kWを基準額として、電源の設備利用率ごとに上限額を設定したいと考えています。ただし、地域間連系線等の増強に係る一般負担の上限額につきましては、個別事案ごとに検討することとしてはどうかと思われます。こういったことで、透明性を確保しつつ、公平な費用負担の下、より効率的な設備形成を促すことが期待できることから、これを適切に運用して行きたいと考えています。
   本日いただきましたご意見の他、事業者様からもご意見をいただきたいと考えています。それを踏まえまして、次回の広域系統整備委員会、2月22日を予定しておりますが、こちらで議論いたします。なお、本日説明した方針から大きく変更がある場合、これは改めて評議員会にてご判断いただきたいと考えています。説明は以上です。

○野間口議長
   それでは、ご意見をお願します。

○山地評議員
   確認したい点が2点あります。
一つは5枚目のスライドのところの過去の実績、これは一般負担ということで理解をしていて、この分布があるのですが、これだけサンプル数が少ないのに、本当に正規分布と仮定して、ここから導き出した標準偏差を有意なものと想定してよいのか、少し検証すべきだと思います。
   二点目は、そこで3σを取って、1.1万円にその3万円を足して、キロワット4.1万円と算出していますが、これを一般負担したものをサンプルデータからということで設備利用率70%に対応するものということで後の議論を進めていますが、そういうことで論理として本当にいいのかという点。
   それと、9枚目のスライドのところにポンチ絵で書いてある内容は分かりますが、基本料金や従量料金を考えなければならないというのはもっともなのですけれど、いわゆる切片にあたる基本料金というのは、どれを使ったのか?地域によっても違いますし、これらの概算なのだろうけども、ここには切片が書かれていないのでどうしたのか?ということです。

●藤岡計画部長
   まず一点目について、プロットの数が、実績データが少ないのではないのかというご指摘ですが、こちらは平成12年度以降で電源連系に伴って、ネットワーク側の工事費が必要であった案件というのは、実は、これが全てです。間引いたりするということはなくて、これだけのデータであったということですので、その上で、その年度を取ると、こういう数字になるということです。あと、もっと遡ってというご意見もあろうかと思うのですが、12年というのを区切りに置いたのがですが、こちらで自由化がスタートしたということもあるのですが、以降は電力需要がだいぶ落ちて来たといいますか、逆にそれ以前は非常に需要の伸びが大きく、電源の連系に合わせてかなり系統の骨格を整備して来たということもあり、電源の連系だけでなくて、色々な目的の系統整備というのがミックスして入って来るということがあり、ここで扱うデータとしては、あまり良くないと思われます。あまり古くなると工事費自体、エスカレといいますか、そういったことも考慮できないということもありますので、この年度で切ったというのが正直なところです。
   正規分布かというご指摘については、確かになかなか厳しい。正規分布であるとは、私もちょっと申し上げられないと思いますが、一応σといいますか、偏差という考え方は、正規分布と仮定して、置かせていただいたというところです。12年からの実績ですので電源としては、利用率的には、火力等電源が前提となっているので、ほぼほぼ当たっているのかなとは思っております。
   9ページの切片という話しですが、全国の託送料金をミックスして、各エリアの需要割合を按分といいますか、比率を使って合成した結果の数字ですので、ちょっと、どこの会社の切片ということではないのですが、全国の料金で作った数字というふうにご理解いただければと思います。

○山地評議員
   二つ目の質問のところのこの6枚目のスライドの4.1万円っていうのが設備利用率70%に対応するものだという根拠があるのですか?というのが二つ目の質問だったのですが、答えられたのでしょうか?ちょっと分からないです。
   3つ目の質問の切片については、私は何かの誤解かと思ったのですけれど、上の基本料金のところでキロワット当たりの数値がずいぶん小さいです。ここの負担と全然合わないような気がして、何か解釈間違っているのかとって思って質問したのですが。

●寺島理事
   計画担当の寺島から補足します。
この21サンプルだけで3σで決めるのは如何なものというご意見についてですが、託送料金を支払って稼働する火力電源は、電源線については基本的には特定負担として電源設置者が払うのですが、ネットワーク利用についての料金は、その電気を流すことで最終的には需要家が払う託送料金が、送電事業者にとっての回収の原資になるということで、ここについてはこれまで上限額が設定されていなかったという事実がございます。設定されていなかったものに、今回は発電規模の設置に比べて著しく多額なものに設定しなさいという指示が来たため、著しく多額なものという観点に立ったときにどのように上限額を設定したらいいのだろうかということで、21サンプルをじっと眺めながら、どうやって決めたらいいかというところで、それであれば、これまでこういうかたちで許容して来たこともありますので、今後、過去と将来との公平性も考えれば、こういうやり方で数値を出すしかないのかなというふうにご理解いただければと思います。それが全部稼働率70%の電源だったのかということについては、すべての過去の電源をチェックしているわけではございませんが、少なくとも平成12年以降に火力、原子力で入って来たものは、だいたい最新鋭、高効率なものが入っていると思います。それは今般の長期エネルギー需給見通し発電コストワーキンググループで、このくらいの電源はこういうかたちでの率だよね、というのがここへ出てまいりましたので、じゃあ何かを参照して決めるとすれば70%が基準になるのではないかと考えて、他に色々やっていきますとキリがないということもあり、最新のここ10年に入って来る新しい電源ということから、コスト検証小委で使われた数値がいいのではないかと考えたところです。最後に、この2部料金制を地域的も考えて、料金単価も考えて、どうやってこの9ページの傾きと切片になったのかというご質問なのですが、見ていただきたいのはちょっと細かくなりますが、19ページ、20ページ、21ページですが、いわゆる今の託送料金が2部料金制になっていますので、例えば1kWあたり、まあ1kWでも1万kWでもいいのですけれども、1単位あたりで契約しまして、利用率が87%から12%まで振ってみますと、結局需要家さんが利用率に応じた電気を受け取るのにいくらの託送料金を払っているかっていう額を19ページに示していまして、一番上では、特別高圧、真ん中は高圧、最後は低圧というように出しまして、この需要家の率が低圧はいくら、高圧はいくら、特高はいくらというのは、需要家の規模の率がありますので、そこで規模比を出しまして、そうすると結局いくらぐらい払っているのかというのがわかってまいります。そうしますと、その合成値を見ますとこれ21ページをご覧頂くと、70%で払っているお金を1とすれば、当然のことながら87%の利用率ないしは負荷率で電気を受け取った需要家さんは二部料金制ですので、キロワットアワーが多い分だけたくさんお金を払っていることになり、そういうことは、そのたくさんお金を払っている分だけの託送料金で需要家さんは負担していると。逆に10%ぐらいとか20%ぐらいの人は、電気を受け取る量が少ない分だけ、二部料金制ですからキロワットアワーが少ない分だけ払っている負担も少ない、とすれば、需要家さんの負担の程度、規模に合わせて、この一般負担の限度額も決めるとすると70%を4.1万円とすると、まあこの21ページ目にあるような傾きになるだろうというふうに考えまして、それが9ページ目のグラフになっている。途中を端折りましたので、先生のご質問に対して私の方から補足させていただいたところでございます。

○山地評議員
   2部料金制のところは、了解です。
ですが、設備利用率を70%として、キロワット4.1万円にして、6ページのところのロジックは、正当性が厳しいと思います。特に正規分布の3σという見方は無理筋に見えます。
   問題は分かっていますから、決めなくてはならないことですし、数値そのものにすごい問題があると言っているわけではないのです。ただ、導いたロジックの言い方が、ちょっと保つかな?と思うのです。この5ページのデータで、正規分布で、70%で、3σで、4.1万円っていうロジックが保つかなと思って心配しているということです。

●寺島理事
   ご指摘の点については、広域系統整備委員会の委員の方々とも色々と話はしているところではあります。ですけども過去の認めてきた実績と今まで上限額がなかったところで、何かしら決めなきゃいけない時に、少ないデータとは言いながらも、どういう方法で決める方法があるかというところでの、悩みながらの考え方でございます。
   色々とご意見あろうかと思いますが、決めなきゃいけない数値というところもあるということもご理解いただければというふうに思っております。

○江崎評議員
   このグラフを見ると、明らかに正規分布じゃなくて、普通こういうデータの場合にはlogでいじるのが普通のテクニックです。それと、昨今は、こういうデータ処理に関して、ものすごく皆さん敏感になっていらっしゃいますので、このロジックで出すと、山地評議員さんがおっしゃたように、ちょっときついかなという気がします。多分、数値的には、だいたい変なところには行かないと思いますけれど、計算の方法は、少し、脇を固めた方がいいと思います。このやり方では、かなり専門家の方からおかしいのではという意見が出る可能性があると思います。普通、これだけ偏っているとメディアンを使ったりします。中央値からの値の変化幅でやるのが常套手段なので、ちょっと正規分布仮定した平均の3σっていうのは、10年前だといいですけど、今時ちょっときついかもしれません。

●寺島理事
   色々ご意見を伺いながらと思いつつも申し上げますと、過去に認めて来た実績っていうものがひとつあるのと、それから規模に照らして著しく多額であるものでないようにすることというところの基準からですね、いまこの4.1万円というレベルにどのように出していけばいいのかというところから出したところでございます。他に何かいい方法があったとはいえですね、金額レベルとしては、過去の実績にも同等程度の額もあり、それを認めて来たということもございますので、このレベルで行きたいというふうに考えているところでございます。

○野間口議長
   両評議員とも、金額のレベルはさておき、その考え方と言いますかロジックについて、もう少しきちんと納得性を高めるようにすべきじゃないかというご指摘だと思うのですが、ここに来るまでに専門家の検討会等を経て、こういう案に落ち着いて来たと、苦渋の決断をして来たというふうに私は理解しているのですけれども、そこには山地評議員や江崎評議員のような専門の先生方はおられなかったのですか。

●寺島理事
   もちろん、そういう中では色んなご意見をいただいておるところであり、委員会以外でも色々なディスカッションの機会をいただきまして話しているところでございます。山地委員や江崎委員のようなご意見もありました。
   ただ、他にどうやって決めるかなというところで、逆にいいますとレベル感として、決める方法がないところの中で、まあこういうところかなというところで、いただいているところでございます。説明責任を全うするために、どういう説明の方法がいいのかということについては、本日いただいたことも参考にさせていただきながら、広域機関として、最終的に工夫はさせていただきたいと思っております。ただ、過去こういう事例があったということから、過去と将来との公平性、連続性として、上限額という性質の意味からして、ちょっとこういうかたちで進めさせていただきたいという提案をさせていただいたところでございます。

○山地評議員
   私は、この数値に文句をつけているわけではなくて、ロジックのところで正規分布、3σっていうところにちょっと問題があると、要するに実績で一般負担をみたところの最高額、しかもかなり飛び跳ねているところの最高額と、それから分布から考えてもギリギリぐらいと、そういう総合的なロジックを使った方がいいと言っているのです。
   広域機関の説明資料では、正規分布、3σでポンポンという単純なロジックが使われているようで危ういと思っております。

○松村評議員
   数字感は、これくらいで理解できるというご発言が続いたあとでとても言いにくいのですが、4.1万円のところは、突出して多いのが一つある。このサンプルの中で3万円ぐらいにしたって、一つの異常値を除けば、ほぼ全部カバーしている。3万円というのも決して無茶な数字じゃないと思います。それは判断の問題で、一般負担がどこまで拡大してしまうのかという問題だと思います。
   過去の経緯があるから、確かにこれから事業者を説得して行くという立場からすると3万円でやるより4.1万円でやる方が、はるかにやりやすいでしょうから、今回の数字に関して、気持ちは分からないでもないのですが、過去とのコンシステンシーということを言い出せば、過去には、太陽光等の一切認めて来なかったものに対して、今までは負担していた人が、これから負担を免れる、不公平だ、では今までのひとは全部コンペイセイトされるのかというと、そんなことは当然しないわけです。それはルールが違うのですから、ルールが変わる前に、確かに負担を免れた人がいたとしても、ルールが変わった後は、変わる前と同じ条件でも負担を強いられる人がいたとしても、これが不公平だとは思わない。これが不公平なら太陽光の扱いだって不公平で、そんなことを言っていたら制度など未来永劫変えられない。異常値に関して今後一般負担としないのは不公正でおかしいとは思わない。そもそも、安定供給の話をしているのではなく、経済性の話をしているわけです。それで3σとるのは、とても不自然。無理やり理屈を付けたとう気がする。これ本当に正規分布であったとしても、これでいいのか。満場一致で、みんながいいと言えるほどにちゃんとしたロジックなのか。4.1の数字の水準が、ちゃんとしたロジックか、妥当な水準かというと、疑問に思います。
   ただ今回の改正の経緯が火力の方は一般負担だったのに再生可能エネルギーの方だけ全部特定負担というのはおかしいじゃないか、そこをイコールフッティングせよ、というのが目的。いままで火力の方が、一般負担が多すぎるじゃないかという議論が出発点となって改正されたのではないということに鑑みれば、この直近で出て来たデータ全部がカバーできるようにしたいという気持ちは分からないではないので、一応こういう考え方もあり得るかと思う。ただこの考え方がどれくらい自然か、疑問がある。
   次に山地先生から出て来るかと思ったのですが、70%に関してです。コスト等検証委員会のデータを参照しているわけですね。これ太陽光だとかというようなところ、自然変動電源の稼働率は、ある程度実績を見ているっていうのは正しい認識。それから原子力の70%も震災前の実績を見て出した数字。しかし石炭やLNGを70にしたのは、これを原子力に揃えただけ。例えばベース電源として比較するときにバラバラだと困るから揃えたということであって、実績を取ったわけではない。ここで、この委員会の数字を根拠に70だと言われるのは、理屈として明らかにおかしく、違和感がある。代わりに何か数字があるのかと言われると困るから、とりあえず70にしましたということだとは思うのですけど、これは、稼働実績と全く関係なく設定された数字である。つまり石炭とLNGについては、そうなっているということは、ちゃんと認識すべきだと思います。

●金本理事長
   一般負担の上限の件は、経済産業省から需要家負担が著しく多額になるのは困るから上限を設定するようにと指示されたミッションだということが一つあります。「著しく」という条件が、付いているということですので、白地で我々が妥当な数字は何かということを議論する場合には違うアプローチになると思いますが、今回は負担が著しく大きくならないように数字を設定するということで、こういった意味合いの数字を出さなくてはならないということが前提にあるということをご理解いただきたいと思います。
   あと、3σについては、こういう場合には3σにすべきだというロジックがあるわけではありません。過去のデータにしても、ずっと昔のデータを取ってもあまり意味がないので、最近の取り得るものを取った結果として21件しかなかったというところで、これで4.1万円の実績があったとなると、それよりも低いものを著しいということができるかという問題があり、これくらいの水準にはしなければいけないかなというのが全体の流れです。それで、たまたま正規分布で計算すると3σという切りのいいところが4.1万円になっているというのが、ここで出ている話だと思います。従いまして、きれいな論理があって、これが出ている訳ではないというところで、皆さんにある程度、納得感を持っていただくような恰好で数字を出すというふうにまとめているということです。
   おそらく、こういうケースではゼロが最低点となっていますから、取るとしても対数正規になると思いますが、そうすると3σがもう少し小さくなるなど、そういう変化があろうかと思いますが、とりあえず、実績の最大と同じぐらいになっているから著しいというので、理解いただけるのではないかという感じです。そういった経緯をご理解をいただいて、ご検討いただければと思います。

○山内評議員
   一般負担と特定負担についてですが、一般負担というのは要するに皆さまで負担するのだから当該何かアクションがあったときに皆さまに便益が行くものだということが前提だと思います。それから特定負担の場合には、ある特定の者、この場合発電事業者だと思いますけども、その人たちが裨益するのだと、こういう事で特定負担という考え方であったと理解しています。後者は分かり易いのですが、一般の皆さまが裨益するという意味が明確でない。要するに、例えば特定の者に対する裨益ということなら、その者が事業を行って、その投資に対するリターンを受けるという、そういう意味での利益となります。一方、その全体の利益は何かという判断が何をもってするのかというのがよく分からないと私自身は思っています。
   ただ、その具体的な内容が明確にならなくても、例えば、過去の実績で、ここまでは認めていましたということを参考にするというのでれば、それは発送電一貫体制、垂直型で発電と送電とをやっていた段階で、ここまで認めていましたということなので、何等かの意味で、組織の中で、あるいはネットワークの中でプラスになるからやっていましたと、こういう意味にも受け取ることができます。ですから、それを一つの基準としましたということであれば、全体最適的な観点から著しくということが、ここまでだという言い方ができるのかなと思ってはいます。そういう意味では、3σになるかどうかということは、またこれは問題なのですけども、考え方としては、そういうことでも説明できるかなと思ってはいます。ただし、もう一つ先ほどの問題に立ち返ると一般負担にすべき全体の裨益というのを何で計るかということが、とても曖昧な感じがしています。
   私は技術的な専門家ではないのですけども、これを作ることによってネットワーク効率が上がるとか何とかというのは、通常は直感的には全体の裨益だという風に理解はできると思います。もしもそういうのがあるとすれば、それに照らしてというのが本当の考え方だと思うのです。さきほど申し上げた今までの実績がそうだからというのも、そういう考え方も、原則としては、この考え方に立脚して言えると思います。ただし、そうだとしても、これがどこか一個改善すると全体が本当に改善されるのかというと、全体だけではなく、ある地域、ある特定の集団が裨益するということもあり得るのではないかと思います。そうであれば、考え方としては、ネットワーク全体で負担する一般負担ではなく、その一部の人に対する貢献度みたいなものを勘案したような料金であってもいいのかというふうに思います。ただ、それをやりだすと多分計算が大変で答えが出ないので、今すぐというわけにもいかないと思いますけれど、将来的にはあり得る選択肢だと思います。託送料金の近接性割引などは、ある意味では、そういう考え方を取っているので、そういう考え方もあり得るのかなと思いました。いずれにしても何が便益で、誰にとっての便益で、それによって誰が、一般か特定かというのを、もう少し明確に、論理立てする必要があるのではないかという風に思います。
   あと、この件を議論するときに、こういったふうにやったらどんな風な出来上がりになるのかなという情報がないと、なかなか判断できないかなと思ったところがあります。

○野間口議長
   いまの山内先生からの最後の質問について、どういう出来上がりになるのかという点について、コメントありますか。

○山内評議員
   出来上がりというのは、こういう限度を決めたときに例えば、再生可能だったら、これくらいのところまで入って来られてみたいな、要するにその具体的な影響度がどのくらいになるのかなというような意味です。

●藤岡部長
   一つ大くくりの試算でいいますと、例えば太陽光ですが、いま2千数百万kW入っていて、エネルギーミックスでは、6,000万kW程度入るというような数字も出ておりますが、そういったところでいくと、今後4,000万kWぐらいのPVが入って来るかもしれないといったところになると思います。
   昨年度の太陽光の連系の実績を調べましたところ、だいたいその全連系の中で、この上限額を上回るだろうという案件が全体の10%ぐらいでした。今後、仮に4,000万kW連系するとすれば、その同じパーセントで行きますと、だいたい400万kWぐらいが、この上限に貼り付くような事になると、だいたい600億。今後10年ぐらいかけて600億程度の負担が出て来るようなイメージになろうかと思います。

○山内評議員
   それが消費者の負担になるということですか。

●金本理事長
   系統利用者にとっては、ということです。

●藤岡部長
   そうなります。
申し上げたのが託送料金へのインパクトということですと、太陽光の話とは違いますが、だいたい今後10年間で1,000万kWの電源が入って、4万円という数字が掛け算になりますと、年間の経費でいくと、だいたい400億ぐらいとなります。それが全国で経費として出て来るということになります。
   年間の設備投資、電力会社の設備投資というのが、4,000億強という状況ですので、そこから割り戻しますと、10%ぐらいのボリューム感になります。電力会社の設備投資の10%くらいというのが、この上限額を設定する事で、それを超える事はないというような試算となります。

○山内評議員
   ご説明されたことが、よく分かりませんが。

○野間口議長
   ちょっと質問と答えがマッチしていないような気もしますが、先に高村評議員に発言いただきます。

○高村評議員
   三点ほどございます。一つは、山内先生が最後におっしゃった点と係わっているのですが、需要家の料金と言いましょうか、託送料にどういう規模で影響のある数字なのかということです。それと、いま若干ご説明があったかと思うのですが、その設備を建てる事業者にとって、どういう負担になり、どういう規模の例えば事業であるとすると、どういう程度の負担になるのかといったような見せ方をしていただけると判断がしやすく、分かりやすいと思います。これが一点目です。
   二点目は、負担の上限の数値が妥当であるかは、先ほど申しあげた負担の想定等も見ながら検討する必要があるのだろうとは思いますけれども、一般的な基準として、その一般負担額がネットワークに連系する発電設備の規模に照らして著しく多額かどうかをキロワットあたりの上限を設定するというクライテリア、考え方そのものは、了解いたします。その数値の水準については、先ほどのマクロのインパクトといいましょうか、想定される、託送料、需要家の負担と、それから発電事業者の負担の水準を見たいなと思っておりますけれども、クライテリア、考え方としては、良いのではないかと思っております。
   三点目ですけれども、松村先生や山内先生のお話を聞いて感じたところでもあるのですが、二つ目の項目として立っています「ネットワーク側の送配電設備の増強等に伴い得られる効果」という基準の具体化の仕方について、設備利用率で補正をするというやり方でいいのかという点が気になっているところです。
   松村先生が設備稼働率について発言をされましたが、全体として需要が伸びてないところで、これから作る設備はそもそも供給力過剰になる可能性も多分にあって、さらに自由化の文脈もあり、そういう意味では、ある電源設備について、エネルギーミックスで実績を基に仮に想定した電源ごとの設備利用率に応じて需要家が便益を得られるとする考え方でよいのか、言い換えると設備利用率が「得られる効果」をはかるクライテリアになるのかということです。例えばもっとも供給が求められる需要の高いところで供給をする発電設備は、ある意味では「効果が大きい」と言えると思いますし、その点では、先程議論もありました予備力確保のために建てる発電設備は、一般的な設備利用率で負担の上限を切らなくても、むしろ全部一般負担でもいい、それくらいの効果があるとも言えると思います。そういう意味で、電源ごとの設備利用率で補正をするという操作、やり方よりは、いくつかのクライテリアに応じて、ある程度、個別に判断をするような方法もあるのではないかと思われます。山内先生が先におっしゃったのは、例えばある特定の地域にとっては非常にメリットが大きい発電設備について、プラスに評価をして一般負担の割合を増やすという可能性があってもいいというご趣旨だと理解したのですけども、そういった観点も同様です。そういう意味で、ここの二つ目の項目の2のところの「効果」の評価の仕方については、是非あらためてご検討いただけないかと思っております。

●寺島理事
   冒頭にありました事業者にとっての効果というのはどういうものなのかということと、更にはそれが需要家にとってどういう効果があるのかということを説明させていただきます。
   いま藤岡部長からの説明の中でも少しあったのですが、少なくとも託送費を払う需要家にとって、どの程度のインパクトになるのかというのは、先ほどちょっと話もありましたけれども、極端に1,000万kWぐらいの電源が入った時に、その全部が4.1万円の一般負担を求めるようなものになるかどうかっていうのはありますけれども、そんなことにはならないというのは先ほどの5ページの分布からも判って頂けると思うのですけども、もしそのぐらいのものが入ったとしても、需要家全体に延べてしまいますとキロワットアワーあたり4銭ぐらい、0.04円ぐらいかなと試算をしています。これはどういうふうに考えたらいいのかなっていうのは私どもも思ったのですけども、いわゆるこの電源が入ってくることによる、例えばこの高効率の電源が入ってくるのであれば、それに伴うその競争促進なり、燃料費削減効果なりっていうものがその最終的には需要家の裨益にもなっている部分もあれば、先ほど言いました新規電源の投資という観点から、過去の例からもこういう形で進んでいたということがあるのかなと思っております。次に、事業者にとってどうかということですが、これについては、その事業者側からすれば、これまで投資出来て一般負担でできたもの、ないしは先ほど山内先生からお話もありましたようにいわゆる垂直一貫で電気事業やっていたころの時代のものもあるので、やはりその発電単価が少し安いものを導入することで、一部ネットワーク費用が高くなってもいいじゃないかと。システム全体として発電と送電と一緒にやっていたころは考えていたことだと思います。
   この4万円ぐらいというのは、その稼働率70%ぐらいの発電所からすれば、大体40〜50銭ぐらいのコストになります。その送電線を作ったことでの高効率の発電所が入ることで、その結果、届く電気としては燃料費が40〜50銭円以上安くなるのであれば、トータルコストとして安くなるのだろうという判断がこの辺に入っていたのかなと。もちろんそれ以下のものであれば、より競争力があったということかと考えております。
   もう一つ、ご質問にありました、その効果というものについては、いろんな効果があるのではないかと。単に利用率だけで見るのではない効果、それは元々、利用率が低くても予備力や調整力であって価値のある電源もあるのですし、その電気の流れる程度によってだけで評価できないのではないかとのご指摘のとおりか思います。そういう点については、例えば調整力というもの、それが、抑制することができる発電所であることは、いわゆる調整力を調達するときの市場の原価から考えたコストを評価する中で、いろいろな形で評価されるのではないかと。利用率の低いものでも価値のあるものというのは、いろんな形で価値のあるものありますので、そこはそれで評価されている別な指標があるのではないかいうふうに考えてございます。今、この利用率で考えたことは、託送料金を払う需要家さんの立場から考えると得られる電気に対して払うコストと考えると、やはり利用率という基準、簡単にいうと上限額に傾きをつけるのだとすれば利用率という基準でやるのが、需要家負担とのリンクになるのではないかと。決して利用率が低いものの価値をこれで判断しているというものではないということを補足さしていただければと思います。

○鈴木評議員
   高村先生の最後のポイントと全く同じ意見を持っていたので、他の制度については分かりませんが、他の指標でコンペンセイトする制度があるということを聞いて安心したのですけれど、それでも消費者の立場からしまして、消費者も一応今の段階で、電力業界で新しいことが起こっているってことはわかっていて、そして自分もスイッチしようと考えている人もいっぱいいて、料金だけでなく、低廉なコストがあるのではないかということも結構思っている人もいるので、今おっしゃられた消費者の立場だったら、料金だけだという説明だと少しリスクがあるかなと思いました。

●寺島理事
   消費者の立場からは「料金だけだ」と申しあげているつもりは毛頭なくて、もし、受益ということに考慮して何かこの上限額に傾斜をつけるのであれば、今の料金体系からすると、こういう評価ができるのではないかという意味でございます。説明については鈴木先生のおっしゃるところも考慮しながら、注意していきたいと思っております。

○野間口議長
   評議員の皆様のご意見、それからご指摘、それに対する理事長はじめ広域機関からの説明につきまして、私自身、だいぶ納得がいって理解が進んだと思います。それで、この数字の決まり方ですが、苦心の跡は非常によく分かるのですが、これの是か非かもっと上げるべきか下げるべきかという議論よりも、むしろこれを認めていただいて、説明資料を3σの問題だけではなく、金本理事長の説明にあったような、色々なケースを踏まえて考えたが、やはり、この数字で、そうは外れてはないのだということが分かるように、平均+3σという数字が出てきたというのが肝心で、過去の実績等も踏まえて考えてもこうなるという考え方になっていて、これからの電力システムを伸ばしていくことを考えてもこの線になり、需要家あるいは電源業者の視点から考えても納得性の高いのも考慮に入れて決めた結果ですという風な説明にしたらどうかと思います。そのようなことをアドバイスされたような意見と私は理解しました。
   ということで本日はこの議案を評議員会として議決いただいて、今後、広域系統整備委員会でご議論いただく際には、本日の評議員会での意見もぜひ反映していただいて、それを踏まえて議論していただいて、最終的な結論を得るという形にしてはどうでしょうか。それで、それでも、大きな変更があるという場合には、改めて評議員会で議論させていただくという形にしたいと思います。
以上の考え方で、本日説明いただいたこの議案は、原案どおりでよろしいでしょうか。

○評議員一同
   異議なし。

○野間口議長
   それでは、この議案は、了解されました。
その上で、本件の広域系統整備委員会での説明ぶりについては、本日の評議員会でのご意見も含め、色々と工夫していただくということで広域機関にはお願いします。
   私は、金本理事長のご説明で、なるほど、そういう苦労して判断されたのだということはよく分かりました。そういうことが伝わるような説明資料にしていただければと思います。
   それでは、本日の審議事項は以上となり、報告事項はございませんので、評議員の皆様から理事長にこの場で申し上げたいといことがございましたらお願いします。
   ご意見ないようですので、最後に金本理事長から一言お願いしたいと思います。

●金本理事長
   本日は、豊洲で行います初めての評議員会となりました。少し不便になりましたけれども、おいでいただき大変ありがとうございました。
特に最後の議案に関しましては、熱心な、かなり専門的なご議論をいただきまして、大変ありがとうございました。これにつきましては、経済産業省から与えられたミッションが非常に特定されているということでございますので、それに対して答えるということで、こういう形にさせていただきたいと思っています。
   色々なご意見はございましたが、ネットワークの効果とか、コストを考えるとどうすべきか、というのは、もっと大きな課題でございまして、それについては、我々としてもどうすべきか、ということについて検討してまいりたいと思っております。すぐに我々が決めるということもできないことが多くて、監視等委員会の委員の方もいらっしゃいますが、そちらとも調整も必要になるとか言ったことであると認識をしております。そういったことについて努力をして、如何にして、国民負担が少ない形で、有効な系統整備ができるかということに取り組んでまいりたいと思います。どれくらいのコストだということにつきましては、先ほど寺島理事がちょっと申し上げた、すべての系統工事に4万円かかるとすると、それを託送料金に換算すると40銭、50銭といったレベルの負担をかけることになるということであります。キロワットアワーあたり40銭、50銭、一般負担ぎりぎりまでコストをかけるとそうなると。そういう意味ではそれほど大きくはないということでございますが、託送料金の表がございますが見ていただきますと、特別高圧の部分は、会社によって違いますが1円いかないところから2円足らずというところでございまして、そこが40銭、50銭上がるということであります。それを考えるとそんなに小さい数字でもないという微妙なバランスをいっているということを、最後に付け加えさせていただきます。今日は大変ありがとうございました。
 

      以上、この議事録が正確であることを証するため、出席した議長、及び評議員 2 名は、記名押印する。
 

電力広域的運営推進機関評議員会

議長   野間口  有
評議員  松岡 萬里野
評議員  山地    憲治

第 5 回評議員会 議事録PDFファイル(633KB)

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【関係資料】
第5回評議員会 議事次第PDFファイル(85KB)
第1号議案         定款の変更について(総会議決事項)PDFファイル(521KB)
第2号議案         業務規程の変更について(総会議決事項)PDFファイル(1374KB)
第3号議案         送配電等業務指針の変更について(総会報告事項)PDFファイル(2394KB)
第4号議案         平成28年度事業計画について(総会議決事項)PDFファイル(268KB)
第5号議案         平成28年度予算について(総会議決事項)PDFファイル(123KB)
         参考資料:平成28年度収入支出予算PDFファイル(130KB)
第6号議案         事務局の職制及び権限に関する規程の変更についてPDFファイル(193KB)
その他審議事項     一般負担の上限額の設定に関する検討状況についてPDFファイル(1588KB)
第1~3号議案別紙 定款規程指針変更ポイントPDFファイル(760KB)
第4・5号議案別紙  平成28年度の事業計画及び収入支出予算についてPDFファイル(141KB)
第6号議案別紙     広域運用センターの変更PDFファイル(385KB)

 

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