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更新日:2015年11月25日

第3回評議員会議事録

1.  開催日時:平成 27 年 9 月 29 日(火)15:05 ~ 17:20
2.  開催場所:電力広域的運営推進機関神保町ビル 201・202 会議室 (東京都千代田区神田神保町 2-10-10 )
3.  議題
     (1) 議案審議
          ① 議決事項
              第 1 号議案  東京中部間連系設備に係わる広域系統整備の基本要件等について
              第 2 号議案  東北東京間連系線に係わる広域系統整備の基本要件等について
              第 3 号議案  需要想定要領の変更について
          ② 報告事項
              報告事項(1) 平成28年度供給計画取りまとめに向けた対応について
              報告事項(2) 活動状況報告(平成 27 年 7 月 ~ 9 月)

4. 出席者
(1) 評議員(18名中12名出席)
     野間口評議員会議長、秋池評議員、安念評議員、石川評議員、江﨑評議員、
     大高評議員、酒井評議員、高村評議員、夏目評議員、松岡評議員、松村評議員、渡辺評議員
(2) 電力広域的運営推進機関
     金本理事長、佐藤理事、遠藤理事、寺島理事、内藤理事、
     川崎総務部長、石坂企画部長、藤岡計画部長、田村運用部長

5.議事の経過及び結果
●佐藤理事
ただいまから、平成27年度第3回評議員会を開会します。
まず一点ご報告申し上げます。清水評議員、林評議員より辞任届の提出があり、定款第48条に則り、8月31日付で辞任となりました。このため、現在の評議員総数は18名となります。清水

氏は社業拡大のため、林氏は電力取引監視等委員会委員に就任のため、やむを得ず辞任されたものです。
本日の評議員会は、現時点で総員18名中11名の評議員が出席、定款第43条第1項に定める過半数に達しております。なお、石川評議員は、後ほど到着と伺っております。
お手元の資料でございますが、議案案件が3つ、報告案件が2つ、参考資料が4つございます。それと、広域機関のパンフレットが完成しましたので、お配りさせて頂きましたので、ご覧頂ければと

思います。
それでは、議事進行を野間口議長にお願いしたいと思います。

○野間口議長
議案に先立ちまして、定款第50条に定める議事録署名人を指名致しますが、本日は、安念評議員と松岡評議員にお願いしたいと思いますがよろしいでしょうか。

○評議員一同
異議なし。

○野間口議長
よろしくお願いいたします。
それでは議案の審議を行います。本日は議決事項が3件、報告事項が2件であります。第1号議案は「東京中部間連系設備に係わる広域系統整備の基本要件等について」でございます。事

務局から説明をお願いします。

●藤岡計画部長
それではご説明申し上げます。
第1号議案でございますが、ご説明は、資料の後ろに綴じてございます、参考資料(1)のパワーポイント資料でご説明させて頂きたいと思います。まず、当機関におきます系統計画に関わる業務の柱が二つありますが、一つは広域連系系統の10年以上先を見通した長期的な整備方針、もう一つが個別の系統整備計画の策定でございます。これらにつきましては当機関が設置いたします広域系統整備委員会、こちらにおきましてルールに定められました計画策定プロセスに従って、鋭意検討を進めてまいりました。本日は系統整備の基本要件並びに受益の範囲についてご審議頂くものであります。なお、本件東京中部間につきましては最終的な計画の取りまとめを、来年4月を目指して検討を進めております。
2頁は、これまでの検討の経緯をまとめてございます。FCにつきましては平成24年、審議会報告にて現状の120万kWから300万kWまで増強が提言されました。その後ESCJにおきまして210万kWまでの増強について具体的に計画がまとめられ、その後本年4月、電力需給検証小委員会におきまして、大規模災害発生に対応するため、300万kWまでの増強の必要性が確認され、機関に対して増強案の技術的検証の要請があったものであります。これを受けまして計画策定プロセスを開始し、検討を進めてまいりました。本日はこれまでに検討しました基本要件の内容及び受益者の範囲についてご審議をお願い致します。
3頁は、検討の方針でございますが、まず国からはこの増強について、佐久間、東清水の両地点を軸に技術的観点から検討を進めるように依頼がありました。これはFCの設備容量が、下の絵にありますように、既設で120万kW、建設中の90万kW、これの合計210万kWがございますが、新信濃地点に集中して配置されております。リスク分散の観点から、今回の90万kWの増強は、新信濃地点以外とするのが合理的ではないかということでございます。当機関としましても、右下にあるような各地点への配分案で技術的検討を進めてまいりました。
4頁では、結果を一覧表にまとめてございます。結論としては右端の案D、すなわち佐久間地点に30万kW、東清水地点に60万kWの変換器を設置する案が最も良いのではということでございました。評価軸として、1.経済性、2.実現性、3.設備構成に対するリスク面、4.運用面・技術面といったところの評価をしてございます。実現性という観点ではいずれの案でも120kmにおよぶ長距離の送電線の工事を伴います。それなりの難易度と工期10年ということがかかります。続きまして地震・津波、将来の需要変動への対応、運用面といった評価は、いずれの案でも問題ないことを確認してございます。従いまして今回の比較では、工事費以外の観点では優劣がつかないという結果でございましたので、今回は工事費が最も安い案Dを選ぶのが合理的としております。
5頁は、その案Dの工事概要をまとめてございます。佐久間地点に30万kW、東清水地点に60万kWの変換器を設置いたします。送電線の増強ということで①②③が27.5万Vの送電線の増強、④が50万Vの送電線の新設でございます。その他変圧器の増設工事が含まれておりまして、総工事費は1,750億円程度、工期は10年程度という結果でございます。
6頁では、90万kWの増強の効果を整理してございます。もちろん、元々の目的でございます安定供給の確保というところがございますが、大規模災害が発生した際の停電の損害額をアンケート結果等から見積りまして、年間100億円程度の経費に相当するという評価を致しました。これが今回のFCの増設の工事費に対応する経費を上まわっていることを確認してございます。続きまして取引活性化の観点ですが、今回の増強容量がどのように使われるべきかという検討はこれからとなりますが、一定の試算を致しまして、年間20~30億円程度の効果が見込まれると試算してございます。ちなみに再エネ導入という観点がございますけれども、こちら委員会でも議論となったのですが、現在のエネルギーミックスの再エネ導入量を前提と致しますと、FCに期待せずともこの導入はまかなえるのではないかという整理をしてございます。また90万kWの増強を、電源を直接導入するという場合の経済性との比較を致しましたが、初期投資は電源の方が安いのですが、毎年の維持経費を考えますとFCを設置する方がより経済性があるという評価をしてございます。
7頁は、今回のFC増強によります受益者、すなわち費用負担者についての選定です。この増強は広域的な安定供給の役割を担う設備でありますので、既存系統の老朽設備の更新分を除きまして、沖縄電力を除く一般電気事業者9社の一般負担と整理してございます。
最後の8頁は、今後のスケジュールです。本日基本要件をご審議頂きまして、結果を国の電力需給検証小委にお返しします。その後実施案及び事業主体について検討を進めまして、来年3月には受益者とそれぞれの費用負担について評議員会でご審議頂きます。最終的には4月に計画決定という予定です。
第1号議案について事務局からの説明は以上です。

○野間口議長
ご意見のある方は挙手の後、ご発言をお願い致します。

○秋池評議員
今回300万kWの増強ということで計画を立てておられますけれども、将来的にこれをさらに増強しなければいけないということも念頭に議論されています。将来の拡張性に対しても対応できるのかということについて教えて頂ければと思います。それから東清水の方は、拝見するにおそらく60万kWというのが最大の増強の範囲ですので、将来の拡張性ということを考えますと、小刻みに何度も工事をするのではなく、60万kWまで最大限増強することは、工事のやり方としては評価できると思います。前半にお聞き致しましたとおり、これ自体は投資をしなければいけないのですけれども、それだけでは済まないこともあるのだと思いますので、拡張性について教えて頂きたいと思います。

●寺島理事
ご質問ありがとうございます。このFC90万kW、合計300万kWのボリュームにつきましては、国の需給検証小委員会から要請で、+90万kWまでとのことでやりましたので、殊更に拡張性、ないしは将来の必要性については、今回ここでは議論してございません。しかし、ご指摘の通り佐久間の地点と東清水の地点と、90と0、60と30のように割り振りをしている中で、東清水側に目いっぱ
いおいて、佐久間のところは置けるところが90から30と振っているところがございます。結果的に現時点で拡張する必要があるかないかということはこの場では検討はしておりませんし、国からの要請もありそこには触れておりませんけれども、もし今後、拡張性を議論しなければならないという可能性についても、この計画の中で対応できる余地があるのではないかと、このように広域系統整備委員会の中でも、拡張性についての要素も入れて検討してございます。

○松村評議員
私の理解が間違っていたら教えてください。210万kWまで増やすというところで、新信濃の送電線の投資をするときに、鉄塔などは更に90万kW増強することが可能なスペックで造っていると認識しているのですが、まずそれが間違っているのかどうか教えてください。そうすると潜在的な可能性としては今回新信濃に作らないのは集中しすぎるからという理由だと思うのですが、南に30万、60万kW増強したのですから、もし万が一次に増強が必要となる場合は、新信濃の更なる増強ということも選択肢にはなりうる。いずれにせよ更なる増強は検討されていないということは十分わかっておりますが、対応しようと思えば対応できると思います。その点を教えてください。別の点です。今後のスケジュールとしては、受益者、費用負担の割合を最終的に決めるのはまだだいぶ先のことで、今回の資料で出てきているのは一般論として、9電力の一般負担とすることだけを了承すればよいのですよね。この後のことはもう一度議論があることを確認させてください。今までの例を踏襲すれば、おそらくまず東西の系統容量に応じてコストを分け、その中でさらに東西の中でそれぞれのエリアの系統容量に応じて負担する形になると予想はしているのですが、そこまで今コミットする必要はないですよね。何が言いたいのかというと、そんなことは決してないと思うのですが、自由化に際して揚水の発電所を止めると訳の分からないことを言っている人がいると聞いているのですが、もともと揚水発電所は電力の低廉かつ安定的な供給のために必要だから作ってきたのですよね。これから再生可能エネルギーが大量に入ってきて、必要性が増えることがあっても減ることはない訳ですから、常識的に考えて停止するなんてことは本来ないはずだと思うのですが、これを停止するということを言い出す信じがたい事業者がいるとすれば、連系線に大きな負荷がかかることになりかねない。もしこうしたことが出てきたとしたら、ちゃんと議論できるようになっている、そういう事業者には重い負担を負わせるべしという議論が必要になるかもしれない。負担割合まではまだ決まっていない、のちに議論する機会があるということを確認させてください。

●寺島理事
一点目の話でございますけど、今回は集中リスクを避けるということから太平洋側になったということですが、さらに増やす場合に、どちらの地点でどう増やせるかという議論については、増やすことになった時点でその都度議論させて頂きたいと考えてございます。二点目の話ですけれども、費用負担につきましては、今回は9エリアの受益であると、その受益の範囲を基本要件に合わせて決めるということになっておりますので、それを確認させて頂いたところでございます。しかし、具体的に9エリアの系統規模比で分けるのかとか、需要量kWh比で決めるのかとか、どのように9エリアで分けるのかという「費用負担の決定」というのが来年の3月になりますので、その中で、広域機関の場で検討し、こういう割り振りになるというように決まると考えてございます。揚水の話は、今この場で私が発言することではなかろうかと思いますので、その中での議論が必要であれば、そういう視点もあるかと思います。2点についてお返事させて頂きました。

○夏目評議員
増強案の比較評価のところで、先ほどのご説明で案Dを選ばれたのは総工事費が主なポイントとおっしゃったと思います。10年で長距離の送電線工事があるという中で、1,754億円という総工事費の中で、例えばDとCの差は74億円しか差がないわけですよね。そうしますと10年の工期を見込んでいるわけですけれども、用地交渉が長引けば当然コストがかかっていくということが想定されるわけですけれども、74億円の差を見込んで、選んだということでしょうか。10年の間に74億円くらいは飲み込めるというか、それ以上増えることはないというご判断だったのかを確認させください。

●寺島理事
ご質問ありがとうございます。たしかに長い送電線を作るときの用地交渉による遅延のリスク、それに伴う工事費の増分という可能性はたしかに存在すると思います。ただし、A案からD案まで4案とも100km以上の既存の送電線の建替え工事が入ってございます。それはどの案でも避けなければならないことでして、もしそのリスクで増分するのであれば、A案からD案まで同じく増えていってしまうのではなかろうか思います。ここで、D案が他のものに比べて100億円弱安い理由は、開閉所というところが省略できる、それはD案だと変換設備の容量を東側に寄せたところがあり系統運用上やりやすいので開閉所がなくなったという部分の要素でこの金額の差ができておりますので、工事に伴う用地上のリスクによる増分という点では、逆にD案の方がメリットはあるかと思います。その点のリスク評価からは、この額の差は逆転するということはないと考えております。

○野間口議長
まず、その既存電力さんが最初に負担しますね。一般負担というのはどのくらいの期間かかるのか、即反映するのでしょうか。色々な立場の方がおられるので。

●寺島理事
送電線の料金といいますのは、当初建設する料金につきましては事業者が資金調達してつくっていきますので、その間は建設仮勘定というところで整理されますので、その時はまだ託送料金側に入っておりません。設備が運開致しまして、それはこれから約10年後になりますが、設備の減価償却なり維持管理費が発生しますと、送電線であれば36年の法定償却基幹になりますが、その間、年間の経費が発生します。その年間の経費が電力会社さんの託送料金に計上される訳ですので、今回のFCの分もそのように上乗せされていくと考えて頂ければと思います。

○安念評議員
建設仮勘定の半分はレートベースに入るのではないでしょうか。

●寺島理事
ちょっと正確ではなかったのではなかったかもしれません。事業報酬額算定上のレートベースには、建設仮勘定の50%は計上されます。失礼いたしました。

○野間口議長
最終的な負担はそういう形になるのですね。

○大高評議員
36年という償却期間があるということですが、1,750億円は最終的には電気料金に乗っかってくると思うのですが、一般消費者の電気料金の負担はどのくらいのイメージになるのでしょうか。
あと東西で競争することによって20億円のメリットが出ると試算が出ているのですが、コストとメリットとの割合はどのようなイメージでしょうか。

●寺島理事
まず初めに、どのくらい電気料金に反映されるのかという計算につきましては色々な計算があるかと思うのですが、ざっくりとこの設備の年経費を50ヘルツ60ヘルツ全体の需要家さんに利益が分散されるとすれば、全体のkWhで割りますと、1銭くらいの金額かと思っております。
1銭増えるということは事実かもしれませんし、他の送変電設備の償却が進めばこの増分は飲み込めるのかどうかという議論があるかもしれませんが、先ほどの効果と致しましては、万が一停電した時の損害額の件は6ページ目でお話しさせて頂きました。また、この設備ができることで取引がより活性化し、さらに競争が促進していく効果は、1銭という増分を補って余りある効果があるのではないかという風にご説明させて頂いたところです。

●金本理事長
この建設費の年経費は、大体いくらかを説明しては如何か。

●寺島理事
1,750億円を年経費に換算すると、年間で100億円くらいです。

●藤岡部長
1年間の日本全国の電力需要量は9000億kWh程度ですが、約1兆kWhとして年経費を割りますと大体1銭という計算でございます。

○野間口議長
私は1円くらいかと考えておりました。各発電事業者様は、投資全体としては莫大なものがありますから、その中で今回の設備が電気料金にどれくらい影響するかを確認できました。

○松村評議員
ちょっと細かいことで申し訳ないのですが、頂いた資料では、地域間連系線等の強化に関するマスタープラン研究会と電力需給検証小委員会からの要請があって、こういう議論を行ったと説明されている。一方先ほどの口頭での説明では、電力需給検証小委員会のことだけ言及されていて、私はそちらが正しいのではないかと思っています。何故かというと、ESCJで既に一度議論したはず。その時には210万kWまでの増強は認めるけれど、300万kWまでの増強は結局認めないという結果になって、その時点ではマスタープラン研究会の報告書は既に出ていた。そのような議論があったにもかかわらず、それでも300万kWまでの増強はノーだとESCJが云うから、電力需給検証小委員会にこの議論が上がって来たということなので、その経緯からすると、寺島理事が口頭でご説明になった方が正しいように私は思っています。ただし、マスタープラン研究会で議論したのも事実ではあるので、嘘だとは言いませんが、マスタープラン研究会からの要請があったからというのは若干事実に反しているのではないか。

●寺島理事
私からは「電力需給検証小委員会からの要請」という説明をしましたが、それは直近のトリガーが電力需給検証小委員会からの要請ということでございます。マスタープラン研究会の中でも、210万kWまでの増強については、「早期に2020年度を目標」としつつ、「それ以降はディマンド・アンド・レスポンスの普及状況も見据えつつ、出来るだけ早期に300万kWまでの増強」ということだったと思われます。その後、急ぎ210万kWまでの増強についてESCJで検討されたということは、松村先生の言われたとおりということです。ですから、あくまで今回の検討は、大きな原点に戻ればマスタープラン研究会のものではないかということで、今回の基本要件にはその経緯を記載させて頂いたとご理解いただければと思います。

○野間口議長
それでは、色々なご意見を頂きましたが、ご理解頂いたかと思いますので議決に移りますが、よろしいでしょうか。
第1号議案「東京中部間連系設備に係わる広域系統整備の基本要件等について」原案をお認め頂けますでしょうか?

○評議員一同
異議なし。

○野間口議長
ありがとうございます。第2号議案は、「東北東京間連系線に係わる広域系統整備の基本要件等について」です。
事務局から、説明をお願いします。

●藤岡計画部長
引き続きご説明申し上げます。議案として基本要件等を記載していますが、説明は参考資料(2)でご説明差し上げたいと思います。
1頁は、第1号議案と共通の内容ですが、第2号議案となる東北東京間連系線は、計画策定プロセスとしては、資料の緑色の部分つまり電気供給事業者からの提起により開始されたものです。
2頁は、これまでの経緯を纏めたもので、電気供給事業者からの提起を受けたのが本年4月3日で、その後に計画策定プロセスを開始し、本増強を希望する電気供給事業者が他にいないか募集をかけたところ、現時点で15社から5,073,010kWの応募を頂いております。本連系線については、この応募を前提に系統対策について検討を進めましたので、本日は、第1号議案と同様、基本要件と受益者の範囲について、ご審議頂きたいと思います。
3頁は、参考として、応募頂いた送電希望量とその利用希望時期を示しています。赤線が連系線の運用容量つまり現状で送電できる量で、平成31年からは送電希望量が運用容量を上回る状態となり、平成35年からは今回応募した全ての電気供給事業者が送電を希望することになります。
4頁は、応募者の地域的な分布状況で、太平洋側に300万kW以上の応募電源が集まっており、合計では507万kWの電力を東京方面に送ることになるので、50万Vの送電線を新たに建設する対策が必要ということでございます。
5頁は、新設する送電線としてA案、B案、C案の3ルートを検討して、結論として、電源から需要地への送電距離が最も有利となる太平洋側ルートのA案が最も経済的に運用容量を拡大できることが分かりました。
6頁は、各ルートの比較評価で、B案・C案では電気的に相当に遠回りをして送電することになるので電気の流れが非常にアンバランスとなることを、資料の系統図記載の青色の数字を見て頂くとお分かりになるかと思います。この数字は現状の運用容量が570万kWを東北から東京に送った場合の潮流分布を計算したもので、赤色の新設ルートにあまり電気が流れていないことが分かります。このような系統では、東京に送る運用容量をさらに増やそうとすると、オレンジ色で示している送電線が制約となり、更にA案のような別の対策が必要になってくるので、結果してA案が最も効率的に運用容量を増やすことができるということです。
7頁は、A案について、様々な系統のパターンを検討したことを示しており、送電できる容量、供給信頼度、将来的な拡張性、作業や故障等の運用面を含めて、8頁にお示ししますような系統対策を基本要件としたいと考えています。基本要件の概要については、50万V送電線を①②③の合計150km新設また、赤いペケ印で示したスイッチングを行う開閉所を1か所増設して、工事費としては1,590億円、工事期間は7~11年間という幅のある工期を目標として設定してございます。
9頁は、増強効果について、応募した全ての電気供給事業者の送電が可能となること、現時点で見込まれる空き容量約40万kWにより電力取引の活性化や再生可能エネルギーの導入にも寄与すること、連系線が複数ルート化することによる連系強化で供給信頼度の向上も見込まれることを整理しております。
10頁は、本増強による受益者の範囲についてでございます。直接に工事費を負担頂く特定負担の対象者は提起者及び応募者である15社、一般負担の対象者は当該エリアの東北電力と東京電力になります。各々の費用負担については、現時点では確定しているものではないですけれども、国が示した指針案に基づき試算したところ、総額1,600億円程度のうち、一般負担が1,100億円程度、特定負担が480億円程度の見込みとなっています。
11頁は、ここに至るまでの広域系統整備委員会での議論を紹介します。まず一つ目に連系希望時期を満足させることが出来ないことへの対応として、概略所要工期については工事規模から標準的に11年程度かかるところが、電気供給事業者の希望を満たすには7年程度の工期が求められるので、目標という形で7~11年としました。また、抜本的な恒久対策と並行して、短工期で実現できる運用対策を検討しましたが、現状有効な対策が見いだせない状況です。ただ、電気供給事業者の希望があった場合には、恒久対策が出来るまでの間に少しでも運用容量を増やせないかということで、短工期対策の可能性を更に検討していきたいと考えています。もう一つの議論として、応募取り下げリスクへの対応があります。このプロセスは事業実施主体が決定した後でも応募者が応募を取り下げることが出来るスキームとなっているので、基本要件決定後速やかに、応募者に対して、応募取下げによる計画プロセスに与える影響を説明して誠意ある対応を求める要請文を送付するとともに、費用負担意思の再確認を行いたいと考えてございます。なお、特定負担額についてはkWあたりでは9,500円程度の負担になる見込みです。
12頁は、今後のスケジュールでございます。非常に長距離の新設の送電線工事を伴うため事業実施主体を公募する前提で検討を進めております。その募集の開始を本年12月頃に予定していて、実施案及び事業実施主体の決定は来年8月で、それをベースに受益者と費用負担割合を評議員会でも審議頂いて来年9月に決定し、最終的には来年10月に広域系統整備計画の決定となります。説明は、以上でございます。統整備計画の決定となります。説明は、以上でございます。

○野間口議長
ありがとうございます。ただ今の説明にご意見ご質問ありましたら、ご発言願います。

○安念評議員
特定負担額の480億円については、7年から11年の工期における総額であり、大した金額かどうかは分からないが、弁済できない場合の担保はあるのですか?例えば、親会社に保証を求めるとか、銀行の保証書を入れさせるとか、そういうことは一切なしで、全ては「誠実に対応を求める」それ一本でいくのですか?

●藤岡計画部長
ご指摘頂いた負担額の頂き方については、まだ決定しているわけではないが、一般的には、その他の電源線工事では工事の着手前に一括して頂いており、負担が厳しい場合には協議により分割払いとしていることもあるが、そうした従来の負担方法からも、スキームを考えていくものと考えています。

○野間口議長
参加する事業実施主体が複数いるが、事業者間の負担割合とかも、負担方法などとともに、どういう考えで決めていくかは今後決めるということか。例えば、発電容量とか送電容量で比例するとか。

●寺島理事
最終的な費用負担の割合は、「実施案と実施主体」を決める際にそれはちょうど一年くらい後の来年の秋頃に最終的に決まることとなります。
今回示した特定負担額は、今の費用負担のガイドラインから考えて、特定の事業者に480億円くらいと概算したものであります。そして、kWあたりでは、9,500円位の負担額となることをお示ししております。今回示したとおりに、実施案が決まりガイドラインの整備も進むのであれば、大体この概算額の負担になってくるだろうと考えてございます。そして、その額を実際に負担するときにどういう支払方法とするのかについては、先ほどの計画部長から説明しました通りですが、kwあたりの単価に事業者が建設する発電規模を掛けた金額を、一括で頂くのか分割で頂くのかということも含めて決めていくことになり、それを頂いた上で工事を開始することになると考えている。

○野間口議長
つまり、今後に決めていくということか。

●寺島理事
はい、そのとおりです。

○松岡評議員
11頁の広域系統整備委員会で説明あった短工期対策については、どういう可能性また見込みで考えているのか。つまり、どの程度の可能性で短工期対策を求められるのか?できるだけしっかりした工事を行う方がいいのですけれども、そうした可能性も織り込んで準備しておく方がよいとは思うが。

●藤岡計画部長
短工期対策については、現時点では、これが有効な対策であるという考えを提案出来るに至っていないと説明しましたけれども、コストパフォーマンスが悪いとか、従来の系統信頼度の考え方でいくと一歩踏み込んだというかすぐには適用できないような内容である等、現時点では実現困難なものしか挙がっていない。しかしながら、早期運開を求める事業者の声もあることから、これまでダメだったということに止めるのではなく、具体的に掘り下げた検討をしていくものと考えているところでございます。

○高村評議員
第2号議案について、現在の応募されている状況をみると、現在提出されているA案について、特に異論はございません。
他方、横山評議員からの意見書にかなり近い内容でありますが、全体として見たときに、ツギハギ的な基幹系統とならないように、広域系統整備は全体像を出来るだけ長期に見通して行っていくことが必要だと考えます。この点については、第2号議案の具体的な点に関わるものではないですけれども、強く要望したいと思っております。第2号議案に係わる点に付言しますと、今回日本海側にも一定数の応募者、事業者がありますが、なかなか手を挙げにくい風力発電や地熱発電などの再生可能エネルギー事業者のポテンシャルが、日本海側あるいはその周辺にはあると理解しておりまして、2030年の再生可能エネルギーの導入見込み量に照らして系統を増強していくような形での長期的な系統整備計画の検討が必要ではないかと思います。その意味で、日本海側のルートは2030年代を見据えると検討を早期に開始することも必要ではないかと考えます。

○野間口議長
長期的には、高村委員のご意見のとおりと思う。

●寺島理事
高村評議員のおっしゃるとおりで、横山先生の意見書もついておりますけれども、ツギハギの整備であってはならないと思っており、広域機関としては、この個別のプロセスと並行して、本年4月から広域系統整備の長期方針についての検討も進めています。2030年さらにはその先を見越して、あるべき系統の姿を想定しながら検討をしているところでございます。長期方針については、今回の議案ではここにお示しするには至っていないですが、一定のまとまりが出たところで報告したいとは考えてございます。当然のことではございますけれども、東北地方の日本海側には色々な電源のポテンシャルがあることも承知しておりますので、それは日本の系統のあり方検討のシミュレーションにも反映していきたいと考えておるところでございます。このため、今回は個別の増強プロセスが先行いてしまいましたけれども、あるべき姿の検討についてもしっかりやっていきたいと考えております。

○野間口議長
山形新幹線的に考えるか秋田新幹線的に考えるかという違いはあるが、Aルートには発展性があると思いますね。

○秋池評議員
今回の増強案については、将来的な増強は今後検討していくということで異論はありません。長期的なグランドデザインの中でのありようというのは検討して行って頂きたいと思います。
一つ気になるのは、スライド11頁で示されている応募取り下げリスクのことで、今のルールではこうせざるを得ないとは理解しますが、今回応募している15社というのは、組合的なものを作っているわけではなく、個別に応募しておりまして、また今後は意思統一するということも定まっていないので、この先7年から10年かかる工期や今回の負担額を考えると、最後まで事業を続けていけるのかは非常にリスクの大きいところだと思います。応募者の事業が堅調な間はいいのですが、業績が悪くなったときに事業の見直しが図られるようなこともあろうかと思いますので、取り下げリスクへの対応については、よりよい手法を考えていかないと、過剰投資を抱え込まざるを得なくなることもあり、検討すべき場所に発信していくことが必要と考えます。

●寺島理事
非常に難しい話ですが、現行のルールでは、費用負担割合の決定時期前までは取り下げが可能と定めています。その趣旨は、発電事業を開始したいが連系線が混んでいて事業を進められないという方のニーズを掘り下げるため、即ち、負担額が明らかになるまでは取り下げ自由としていることで、潜在的なニーズを発掘しようというのが現状のルールであります。その点では、非常にニーズ発掘が出来たというのが現状と考えております。一方で、ご指摘の応募取り下げリスクについては広域機関としても懸念を有するものでありまして、そういう意味でも、今回の「基本要件の確定」という段階で、要請文を事業者に発送して、今後はちゃんとした理由なしに事業を取り下げることは全体に迷惑をかけることなので注意してもらいたい、これ以後の議論には本気になってやる人が入って下さいと声掛けしたいと思っています。今後も広域機関としては、事業者とのコミュニケーションはしっかりとっていく中で、なるべく事業者の意欲が低下しないように、心がけていきたいと思っています。

○秋池評議員
系統容量の制約が事業者の新規参入を阻害することのないよう現行ルールがあることは理解しております。その上で、あまりに多くの事業者が取り下げる場合には計画そのものの規模感を見直すなど過剰な投資が将来的な社会の負担とならないよう考えるとか、一旦計画を開始したらコミュニケーションを密にしてどんなリスクが起こり得るのかを想定して事業リスクの最小化を図るとかの取組みなどが考えられると思います。

○野間口議長
私も秋池評議員と全く同じ心配をしている。この計画は、今後11年間不変なのではなく、状況変化に応じて必要な見直しは検討すると説明を受けて安心していたが、どうなのか?

●寺島理事
現行の基本要件あるいは最終的な実施案の確定までに、多くの取下げが起きてしまうこと、そういうことがあってはならないと思いますが、もし、基本要件の規模を変更しなくてはならないということがあれば、それは見直す必要があるとは考えております。送電線の建設整備はリードタイムが長く、更には新たな社会状況の変化などがあった場合など、これまでの経験からもただ杓子定規にやっている訳にもいかない。一度決めたものをコロコロ変えてはいけないのですが、絶えず社会情勢の変化や、社会の要請やニーズに感度を高め、過剰投資とならぬよう、設備整備を適正かつ合理的に行っていきたいと考えております。

○野間口議長
その考えは、広域機関としての基本的な姿勢、方針ということですね。

●寺島理事
はい。

○大高評議員
15社で507万kWの応募について、電源別の構成は把握しているのでしょうか?なぜ質問しているのかというと、環境省の石炭火力発電に対する見方が厳しくなっていて、事業者がやりたいと思っても開発できないことも今後出てくると思うが、そうした点も検討しているのかということ。

●藤岡計画部長
ご指摘頂いた通り、応募した事業者の半数以上は、石炭火力発電を計画している状況です。しかし、燃料種別で撤退リスクを判断し容量を割り当てることは公平性等の課題もあり現時点では難しいと考えております。今後の課題とは認識しているが、ご容赦頂きたい。

○松村評議員
過大な投資になる懸念ばかりが強調され、取下げリスクの問題も説明されておりますが、一方で、今のご意見のように、環境アセスメントで事業が引っかかってしまい、それも、二酸化炭素の排出量といった個々の事業者の責任ではないところで引っかかってしまう可能性がある中で、そこに確実性を求めるとなると、相当に後にならないと応募出来なくなるし、それでは連系線の建設が間に合わなくなってしまうわけで、事業者は途中で事業を引っ込める確率が相当に高い状況で応募せざるを得ない。従って、早い段階で事業にコミットしろと言われては、本当に応募が出来なくなってしまう。私は、最後の方まで応募を取り下げられること自体が悪いことだとは思わない。そして、仮に多くの事業者が、環境アセスメントが通らなくて応募を取り下げた場合に、連系線整備を縮小するのがいいのかはちゃんと考えていただきたい。つまり、規模を半分にしたが、建設コストは1~2割しか下がらないのだとしたら、足元では過剰設備でも、将来は必要になるのだということを見越して、計画は継続ということもあり得る。文字通り総合的に考えて判断していただきたい。それと、私は、諸悪の根源は連系線の利用ルールだと思っています。今のような”first come, first served”のルールでは、物理的に流せばある種の権利が得られるけれど、物理的に流せなくなったら権利はどうなるのかよく分からないという状況だとすると、環境アセスメントで事業を止められたら、コストは負担しているのに事業は出来ないし、費用を回収する方法がないという、どうしようもないことになってしまう。しかし、合理的な制度、例えば金融的送電権が認められているのであれば、自分が発電所を建設できなくなっても、そのコストを負担していれば、何らかの形でそのコストを回収できるのだと認めていれば、リスクは劇的に減る。そうした合理的な制度を、これまで皆の怠慢で検討してこなかったことのツケを事業者に回しているという現状も考えて、そうした合理的な制度を考えていくということが本来の姿だと思う。ただ、この話は、別のところに向かって強く主張すべきことであって、ここで言っても仕方のないことではあるのかもしれない。いずれにせよ、制度自体を整備して、リスクを減らしていくことが必要だと思います。

○野間口議長
おっしゃるとおりと思う。日本全体のエネルギーをどうしていくかという問題。

●寺島理事
一言だけ補足させて頂きたいと思います。計画見直しのような議論の中での色々なご意見を頂いたが、冒頭にありましたとおり、既存の連系線は長期的に混雑しており、そのことが現行ルールの問題であると松村評議員からはご意見いただいたところですが、東北東京間の連系線設備は、現状のままでは早晩ジリ貧になることは事実であり、50万ボルト送電線の2ルート化を行わなければならない状況にあることも確かでございます。
そして、50万ボルト送電線の2ルート化を行うとすれば、現行の基本要件と相当程度の同じ計画が出てまいります。従って、相当の応募取り下げがない限りは、基本的には50万ボルト送電線の2ルート化を行っておけば、将来の発展性にもつながり、色々な意味で長期方針にも合致するので、今回の増強・整備は、よほど大きな社会情勢の変化がない限りは、必ずや利用価値のあるものと考えております。

○野間口議長
私が先ほど申し上げたのは、経済や社会は生き物ですから、何らかの理由で当初のプレイヤーが立ち行かなくなって、別のプレイヤーを期待しなくてはいけないとか、色々出てくると思うので、そうした点でも柔軟性を持って頂きたい。そして、希望的には、日本の成長戦略が成功して、新たな連系線が十分使われることが理想的だろうし、合わせて、日本海側での需要が増えて、更なる増強が図られたらよいと思う。更に、地方創成とか地域活性化といった議論があるが、経済的合理性で考えれば、今回はAルートしかないと思うが、BルートやCルートを求めるような別の声というか圧力が仮にある場合は、委員会等で審議を重ねた結果であると強い意志で説明していくということですね。

●寺島理事
野間口議長のおっしゃるとおりに考えております。

○野間口議長
それでは、第2号議案について、皆様からご意見を頂きましたが、基本的には原案の形で行うとお考えの方が多いと思いますが、原案どおりでよろしいでしょうか。

○評議員一同
異議なし。

○野間口議長
ありがとうございました。それでは、第3号議案に進みます。第3号議案は、「需要想定要領の変更について」です。事務局から、説明をお願いします。

●石坂企画部長
第3号議案は、新旧対照表の形になっていますが、説明は参考資料(3)で行います。
2頁は、需要想定業務全体の流れを示しています。需要想定要領の制定については、本年4月の評議員会で審議頂きました。10月から11月にかけて需要想定要領の見直しの要否を検討します。今回のご審議もその形となり、評議員会での審議、理事会での決議を経て見直した要領の公表となります。その後に11月下旬に需要想定の前提となる経済指標や人口等を策定し公表します。そして、その前提条件に基づいて、一般送配電事業者は供給区域の需要を想定して、広域機関は、全国の需要想定水準を見通して、一般送配電事業者の各供給区域の想定需要を確認して、全国需要想定を策定して公表するのが1月末です。そして、国の制度に基づく供給計画を各事業者に3月末までに策定いただき、広域機関が取り纏めます。年度が明けてから、需要想定と需要実績の比較を行った上で、次年度に向けて需要想定要領の見直しの要否を検討することになります。これが、需要想定業務全体の流れです。3頁は、今回の主な変更点の4つを示していて、1点目が供給計画届出書の記載要領に合わせた変更、2点目が平成28年4月の電気事業法改正に合わせた修正、3点目は来年度の全面自由化に伴い提出時期等が変則的になるための附則の追加、4点目は字句修正です。4頁は、供給計画届出書の記載要領に合わせた変更についてで、これまで規制需要については一般電気事業者の料金メニューをベースとした区分で想定しておりました。供給計画届出書もこれに合わせた記載項目を設定していましたが、来年4月の小売全面自由化により従来の区分が意味をなさなくなると考えられるので見直しが必要となります。資源エネルギー庁も省令改正を予定しており、供給計画届出書の記載要領は5頁記載の変更となる予定で、今年度迄は左側の様式で、赤枠が低圧の需要の区分で、現在の記載要領の区分に則したものですが、来年度からの小売全面自由化に伴い、家庭用その他、業務用、産業用その他の3つの大きな括りとなりますので、これに合わせた変更をかけさせて頂きたいと思います。
具体的には、9頁、10頁、11頁に示していますが、従来は区分毎に口数・原単位法あるいは需要数・原単位法と呼ばれる方法で、口数とは契約の数、需要数とは契約のkWと考えて頂ければと思いますが、この口数・需要数あたりの消費量の原単位をかけて算定していました。9頁は短期の需要想定のやり方、10頁は長期の需要想定のやり方で、両者はほぼ同じですが、微妙に違うところもあります。これらを11頁のように家庭用その他に全部含めて口数・原単位法に変更します。口数・原単位法は、現在でも低圧の主要な需要の想定に用いられているので、そうした主要な想定方法に統一しました。実際、需要数・原単位法を使っている部分を口数・原単位法に変更しても、需要数との相関はほぼ一致しているので、12頁に記載のとおり、相関が強く、想定精度に大きな違いはないので、口数・原単位法にまとめても問題ないだろうと考え、今回の需要想定容量に記載させて頂きたいと思います。議案説明としては以上で、15頁は審議事項ではないのですが、需給バランス評価についての広域機関内部での検討状況をご報告申し上げます。これまで供給計画における供給予備率等の算定においては、前提となる需要をいわゆるH3と呼ばれる最大3日平均レベルをもとに評価してきており、現在の需要想定要領もこれに基づきH3ベースで算定しており記載しています。一方で、国の電力需給検証委員会では、本当に供給力が足りているかを短期的に確かめるために、猛暑で気温が高くなった最大ピーク日の予測に基づくH1を基準に予備率を算定して、需給検証を実施しています。今まで供給計画については、H3で評価を行っておりまして、過去のデータの蓄積もありますし、そこから流通設備計画等にも利用しておりますが、一方で広域機関の役割として、猛暑時の需給バランス評価を電力需給検証小委員会と同じH1を基準にして行うべきではないかという問題意識も持っているので、電力安定供給確保の観点から、猛暑H1を用いることも検討しております。検討段階ですので需給想定要領に書く段階ではないのですが、一般送配電事業者には参考値としてH1を基準とした数値を求めるということも来年度以降は場合によっては有り得るということを検討しています。説明は、以上です。

○野間口議長
ご意見、ご質問のある方はお願いします。
最後に説明のあったH1やH3は、夏のどの期間に用いるものなのか?

●石坂企画部長
具体的なやり方は検討中ですが、夏場だけでなく、地域によっては冬場も必要かもしれないと考えております。

○野間口議長
夏の間ずっとH1の気温に基づいて需要を想定するということか?

●石坂企画部長
夏の間で一番高気温が予想されるタイミングで需要がどうなるかを想定しております。

○石川評議員
現状では、猛暑時に何パーセントの予備率を想定しているのか?今年は涼しかったが、一昨年のように暑い年もあるわけで、その場合の予備率はどうだったのか?

●石坂企画部長
計画段階では、需給検証小委員会でも広域機関でも最低3%は必要として想定しているのですが、今年度は思ったよりも気温が上がりませんでした。

○石川評議員
一番暑い時だと何パーセントになるのか?現状は、原発が稼働していないから、予備率も違うのかもしれないが。

●石坂企画部長
現状は、老朽火力も稼働させたりして、予備率3%を超える水準を確保しております。

●川崎総務部長
報告事項(2)のパワーポイントの6頁で、各供給区域エリアでの今夏最大需要となった日の予備率を示してございまして、実績ベースでは東京電力の予備率は6%でした。

○松村評議員
需給検証小委員会では、猛暑の場合としてH1を考え、それで予備率が3%確保されているかを確認しているので、実際の気温は通常はH1の温度より低いので、予備率の実績値は通常は想定を上回っているが、いずれにしても3%超の予備率は必要。
そして、予備率が3%超だったのかを確認するだけでなく、本当に想定が正しかったのかも確認しており、仮に本当に需給が厳しく予備率が3%を下回るようなことがあれば事後検証して、今後の対策をしていくということになっており、最低限3%の予備率確保はどんなに酷い状態でも今までのところは守られている。

○石川評議員
何故質問しているのかというと、東日本大震災の際の計画停電のようなことが起きると、我々中小企業も大きな迷惑を被るので、たとえば第2号議案でいえば、応募者15社全てが取り下げても電力は足りるというような十分な予備率を確保して頂きたく、そのためにはどういう対応があるのかという趣旨でした。よくわかりました。

○野間口議長
2011年には公的機関への節電要請もあったが、ここ数年はそうしたことはないということでよいか?

●佐藤理事
数値目標付きの節電要請は、ここ数年は行っておらず、一般的な節電のお願いのみであります。

○石川評議員
大企業は自家発電もあり電力不足でも余裕のある対応が出来ると思いますが、一番困るのは我々中小規模で電気を多く使う企業だろう。そうした立場まで意識して、もちろんローコストも大事なのだが、お金のことだけでなく、電気が止まったら事業がストップする中小企業では電気は正に血なので、如何なる場合でもキチンと安定供給できるよう意識して計画を進めて頂ければということを考えております。

○野間口議長
金本理事長からご説明をお願いできますか。

●金本理事長
ご意見頂いたところは、広域機関の設立目的の非常に大事な一つなので、鋭意取り組みたいと考えております。実際、最近も含めて設立後2回、予備率が3%を下回る事態が生じており、その際には他の供給区域から電力融通を行って対応しています。広域機関が管理している連系線は、そういう事態に対応するという役割を有しており、そうした面からも頑張ってまいりたいと思います。

○石川評議員
正にそういう話が重要であって、東北東京間連系線もそうだが、緊急時には優先的に電気を送れるように、余裕をもって対応できるようにお願いしたいと思っています。

○野間口議長
まさに広域機関の最大のミッションなので、よろしくお願いします。それでは、第3号議案について、了として頂けますでしょうか。

○評議員
異議なし。

○野間口議長
ありがとうございました。原案どおりとします。以上で議決事項は終わって、続きまして、報告事項に入りたいと思います。2件ありますので、先ず、報告事項(1)「平成28年度供給計画取りまとめに向けた対応」についてであります。事務

局から報告をお願いします。

●藤岡部長
それでは報告申し上げます。こちらはパワーポイントに沿ってご説明させて頂きます。
1頁は、前回の評議員会でのご指摘とその後の対応ということで経緯をあげてございます。ご指摘あったところですが、震災以降、平成27年度供給計画まで、原子力の再稼働状況が見通せないということで、一般電気事業者から供給力の見通しが未定として提出されていました。
広域機関が実施しました平成27年度の供給計画の取りまとめにおいて、供給力の見通しが未定であるということで、需給バランス評価を行うことができないということになりまして、前回の評議員会では、評価を行えない状況というのは望ましくないというご意見を多数頂いてございます。これを受けまして、理事長見解として、「当機関が独自に行う調査等により短期・長期の観点から需給状況の動向把握に努め、適正な供給力確保に向けて取り組む」ことを公表したところでございます。本日ご報告として論点は2点ございまして、まず需給バランス評価に向けた取り組み状況と連系線利用ルールの考え方でございます。2頁、3頁は、参考としてつけてございます。今までご説明申し上げました、前回評議員会で頂いたご意見をあげてございます。広域機関の役割を考えると、もう一歩踏み込んで対応すべきでないかというご意見を頂いたということでございます。
3頁が先ほど申しました理事長見解表明でございますが、少しご紹介させて頂きますと、下の方の段落でございますが、「このように需給バランス評価等を行えないという状況は望ましくないという意見が多数ありました。このような状況ではありますが、当機関は、業務規程に基づく全国及び供給区域の供給力の確保状況の評価などを確実に継続していくとともに、当機関が独自に行う調査等により短期・長期の観点から需給状況の動向把握に努めることで、適正な供給力の確保に向けて取り組んでまいります」という表明をしてございます。
なお、その後、野間口議長から、未定となり需給バランス評価ができないという事態とならないように、当機関としての取り組み方針を検討して、この評議員会で報告するよう依頼を受けてございます。現在の取り組み状況を4頁にあげてございます。まず短期・長期に関係なく、供給力の未定というのは解消していくべきものと考えてございます。広域機関として、供給力が不足する見通しとなった場合には必要な対策を検討する必要があるということで、供給力の「未定」であっても需給バランス評価を行うことは必須となると考えてございます。このため、広域機関としては来年度の供給計画において「未定」となった場合であっても、独自の調査及び何らかの仮定を置くことにより需給バランス評価を実施し、公表していくこととしたいと考えております。そのためまずは来年度の供給力の取りまとめに対して、電気事業者から届け出られる供給計画における供給力を「未定」とすることを認めず、複数シナリオを提出することを含め、何らかの数値を記載の上、提出を求めることについて、経済産業省と議論しているところでございます。先ほども少しご紹介ありましたが、需給バランス評価の実施にあたっては、猛暑H1の想定を追加することを併せて議論しているところでございます。供給力「未定」の解決に向けては、供給計画においては、供給力として確実なものを見込むとしてきたこととの関係や、再稼働想定を見込んだ場合には、規制庁の審査に予断を与えることや、電気料金改定との関係などの論点があることに留意が必要であると考えてございますが、引き続き、経済産業省と調整を続けていきたいと考えてございます。5頁は、供給計画の記載と連系線利用ルールの考え方ということで、こちらもご指摘頂いているところですが、現時点での我々の考えでございます。まず現行の連系線利用ルールについて、先着優先と空押さえ禁止の2点を基本としたルールをおいて運用してございます。特にこの中で空押さえにつきましては、本機関の連系線の利用計画と実績を照合して、乖離が多いと判断した場合には、利用者に対して利用計画の変更経緯や契約書等の確認を行うことにより、計画の妥当性を審査してございます。供給計画上「未定」とされる案件に対する現行の連系線利用ルールの考え方の関係をあげてございます。
供給計画は法に基づき、電気事業者が、広域機関を経由して、経済産業大臣に対して届出を行う仕組みでございます。現状では、将来の確実な供給力を保守的に評価する観点ということで、確実に供給力として見込めるもののみを記載する運用をしてございます。
他方、本機関では、再エネと火力・蓄電池を組み合わせた利用計画や、また供給先未定の発電事業者の連系線の利用計画等、供給計画とは異なる場合であっても連系線の利用登録を認めてございまして、効率的な利用促進と、利用者の利便性にも配慮した連系線運用を行っております。このように、供給計画の計上と連系線の利用計画の登録とでは、必ずしも一対一で対応することを求めていないこともありまして、現時点でその取り扱いを変更することは考えていないという状況でございます。なお、原子力に係る連系線の利用計画では、長期的には稼働する予定で利用登録されているものでございますけれども、空押さえ防止の観点から足下2年間につきましては登録「0」とされておりまして、この分は空容量として解放されているということであります。このような利用登録の在り方自体は、現行ルールのもとでは、一概に不適切であると言えるものではないと考えてございます。今後の検討課題と致しましては、連系線利用ルールの在り方のところは、総合資源エネルギー調査会制度設計WGからもご指摘を頂いているところでございます。諸外国の事例も踏まえつつ、新たな連系線利用ルールを導入することが可能かどうか、研究を進めていきたいと考えてございます。ご報告は以上です。

○野間口議長
ありがとうございます。それではただ今のご報告につきましてご意見を頂きたいと思います。前回皆様から大変厳しい意見が出たところでございまして、私としては広域機関として努力してくれていると思っておるところでございますけれども、皆様からご意見ございましたら。
各事業者からの報告は来年の3月頭からですか。どういうスケジュールですか。

●藤岡部長
正式には来年の4月からです。事前の調整はもう少し早くから行います。

○野間口議長
4月の評議員会で来年度のものを見せてもらうということか。

●藤岡部長
届出の締め切りを4月いっぱいか5月までと致しますので、取りまとまるのは6月ということかと思います。それ以降にご報告させて頂きます。

○松村評議員
スライド4頁に(供給力「未定」の解決に向けては)「再稼働想定を見込んだ場合には、規制庁の審査に予断を与えること」とあるが、どういう理屈でしょうか。環境アセスメントに未だ通っていない電源を供給計画に記載した場合に、その記載は環境庁等のアセスメントに予断を与えるから記載するなという扱いにしてきたのでしょうか。こうした記載が誰の考えなのかを明らかにした上で、こうした意見は記載すべき。また、スライド4頁には(供給力「未定」の解決に向けては)「電気料金改定との関係などの論点があることに留意が必要」ともあるが、どういう論点があるのか?電気料金改定においては、保守的にみるという原則ですから、例えば9月に再稼働できるかもしれないが11月にずれ込むかもしれない場合、11月再稼働だと電気料金は高くなってしまうので、再稼働時期は9月と見込むなら問題にならない。ところが、供給計画の場合には、9月に再稼働できるかもしれないが11月にずれ込むかもしれない場合には保守的に見て11月再稼働と見込む。こういう違いが両者の間にあったとしても、それはinconsistentとはされない。単に各々の制度設計の趣旨に従ったものとされるだけ。再稼働時期が違うから問題という考えは理解できない。

●下村事務局長補佐
「供給力として確実なものを見込むとしてきたこと」とは、極めて確実なものだけを見込むと解するなら、現に稼働しているものだけを見込むのだとする可能性がありうる。一方で、現在は稼働していないものも全て含めて稼働するという可能性もありうるとすると、まだ審査にもかかっていないものも供給力として見込むのかという仮定をしてよいのかという論点が生じます。更にはその中間ぐらいというか現在電気料金の算定に見込んでいる供給力を供給計画でも見込むという考え方もあり得る。このように複数のオプションが考えられる中で、未定を解消すると一言で言っても、どういうやり方がいいのか、スライド4頁でも複数シナリオを提出することも含め議論しているところとあるように、こうした論点を経済産業省との間で更に調整していきたいという趣旨で当該記載としたものであります。

●佐藤理事
「規制庁の審査に予断を与えること」の意味について、私は逆のことも考えていて、そういう心配はしていない方もいらっしゃいますが、例えば、今後十年で原発が1基しか再稼働しない供給計画だとしたら、規制庁が再稼働1基分の審査体制で十分だという予断を与えることも万が一あると困るということで留意が必要ということもあると思います。

○松村評議員
需給検証小委員会が再稼働は進んでいないが予備率が3%以上あるから供給力は大丈夫と言えば、規制庁は原発が再稼働しなくても大丈夫と思って準備をしないなんてことを本気で心配しているのでしょうか?需給検証小委員会でも誰もそんなことは心配していない。私には、とうていリーズナブルな議論とは思えない。

○野間口議長
色々な立場からの意見もあることを踏まえて、この説明資料は作成されていると思うが、うっかり再稼働を前提とした数字を出すと、規制庁を無視しているのかと言われると、それに対する事業者としての反論はなかなか難しいといった面もあって、このような書きぶりになったものと私は理解しています。確かに松村評議員のご意見は正論ですが、広域機関の強い働きかけに対応する事業者の立場も少し理解しながら、なんとか未定でない数字を出すよう働きかけていく過程であるというのが、前回評議員会での議論を踏まえて今回の報告を求めた私の理解です。

●寺島理事
前回の評議員会では、非常に難しい環境の中でどうしても未定とせざるを得なかったという説明をさせて頂きましたが、今回の資料でのこの「留意点」は、まさにその未定にせざるを得なかった背景や内容が含まれていたということです。確かに松村先生のご意見は、前回と同じくそのような点に留意をしていては需給の議論がちゃんと出来ないということだと理解します。この点についてスライド4頁の1項目目ではあるべき論を、2項目、3項目では広域機関を主語とした取組みを、そして4項目目では国への働きかけについても記載しております。こうした広域機関の4点の取組みを先ずご理解頂いた上で、この5項目では、一応の留意点を書いているという背景としてご理解頂きたいと思います。つまり、広域機関としてやるべきことはやっていくし、周辺環境についても留意・配慮しながらしっかり機能を発揮していきたいという趣旨とご理解頂きたいと思っております。

○野間口議長
私は広域機関の味方という立場ではないが、この取組みについては頑張ってもらいたいと思っている。このまま供給力「未定」が続くようなら、電力システム改革の大きな根本精神が崩れてしまうので、是非頑張ってもらいたい。

○石川評議員
我々の業界でも経済産業省を訪問して原発再稼働をお願いしているところで、色々な業界がお願いしているのだが、明確な答えが頂けていないのが現状です。松村評議員のご意見も理解できるのだが、我々需要家としては供給力に原発再稼働が見込まれていれば当てにして、自分の業界は電気を多く使う業界なので、電気料金が下がるという推定で経営計画を作成してしまう。そういう観点からは、確実に再稼働が見込める以外の原発は供給力に含めないでほしいというのが需要家の立場からの私の意見となります。広域機関としての必要性というのも理解はできるが、需要家としては望んでいません。

○松岡評議員
スライド4頁の4ポツで複数シナリオを提出することも議論するということで、原発の問題を抱える現状では、単一シナリオに纏めることは困難と思うのですけれども、複数シナリオにおいて折り合いをつけるポイントというのは考えているのか。

●寺島理事
複数シナリオについては、原子力の再稼働の見通しも一つあるでしょうし、それ以外のシナリオ、例えばですが、スライド7頁で米国のNERC(北米電気信頼度協議会)での供給信頼度評価についての考え方も例として示しております。即ち、以前のように原子力の稼働状況も分かっていて一般電気事業者が供給計画を完璧に作成するような状況には、現状ではなっていないので、例えば、現存する設備で来年以降も確実に稼働する設備と、十年先の供給力としては確実性では若干劣る設備と、まだまだ計画段階であって十年先の供給力としても不明な設備という分類がありまして、その点の確実度の度合いで分類しています。欧米などでは、発電事業者が多岐にわたる場合など、そこでは原発に限らず、電源種別を問わず供給力の信頼度として色々なシナリオを想定して考えているものがありますので、そうしたものも参考に今後検討していく段階にありますので、現時点で確定的なシナリオを決めているわけではないということをご理解頂きたいと思います。

○野間口議長
とても合理的な考え方と思う。
各評議員のご意見としては、おかしな妥協でいい加減な数字で纏めることのないようにということだと思いますので、広域機関はよろしくお願いします。

○夏目評議員
スライド4頁について、評議員からの厳しい意見に対して広域機関が取組みを進めていることは理解したので、むしろ5ポツは記載の必要がないのではないか、内容としては、1ポツから4ポツまでの中に十分含まれている内容ではないでしょうか。

●金本理事長
供給計画の記載については、経済産業省の権限で決めるものであって、広域機関が決めることではないということが先ず一つあるが、その扱いが決まらないと広域機関で取りまとめに書いていく内容も決められないので、経済産業省と色々と協議を進めているところでございます。
5ポツについては、すぐに決められることであって、検討に時間を要していることへの言い訳と思われるかもしれないが、実際には決めるとなると色々な人が色々なことを考えるもので、まだもうしばらく時間がかかりそうだということの説明とご理解頂きたいと思います。
規制庁の審査に予断を与えるとの記載についても、実際に誰かに予断を与えるというよりは、規制庁は不偏不党で客観的に業務を行うということであり、それに影響を与えてはいけないということが基本でございますので、それに対して抵触するのかしないのかという例示でございます。
表現的には議論があると思われる方もいるかもしれませんが、色々な方が色々なことを考えられるという中で、なかなかすぐにはまとまらないということをご説明したかったものだとご理解頂けたらと思います。

○野間口議長
本件は報告事項であり、広域機関が色々と悩みながら取り組んでいる状況を確認したとご理解したらどうでしょうか。

○高村評議員
前回評議員会で議論になった点について広域機関として出来る限りの取組みをしているとは理解しております。
その上で、スライド4頁の3ポツ記載の供給力「未定」となった場合の対応として、もしどうしても提出頂けない場合にはやって頂かなくてはと思います。ただ、本来の業務規程からすれば、供給計画を経産省令に従って提出するという責務はまずは会員にあります。
それと、4ポツについては、広域機関というよりは、むしろ経済産業省で議論、対応頂くものとは思いますが、この内容についてしっかり対応が行われるよう広域機関には働きかけをはじめ努力をお願いしたいと思います。

○石川評議員
東京電力と話し合いを時々するのだが、原発再稼働が進めば、総合的に供給予備率3%だけは守って、環境アセスメントの問題もあり、全部動いたら供給過剰でもあるので、火力発電は止めていくとも言うのですが、そうした考えはどうなのか?これによって、電気料金が安くなるという説明なのですが。

○野間口評議員
それはそういう説明になるとは思うが、広域機関から説明をお願いしたい。

●遠藤理事
電力会社の予備力をどの程度持つかについてはルールが決まっていて、長期的には8~10%の予備力を持った長期計画を作成するとされており、その中で供給計画上確実に見込まれるような発電所が稼働した場合には、おそらく過剰な設備は減らしていく方向と思われるが、現段階では原発再稼働がどう進むか分からず、最終的にどう対応するかは事業者の判断ではあるが、広域機関としては提出された供給計画について妥当な内容であるかを評価する。国全体として、エリア全体として供給力が足りなくなりそうだということがあれば、電源入札制度の発動などで対応していくものと考える。

●金本理事長
原発再稼働が進めば他の電源が減るというのは、老朽火力発電所や高価な石油火力で稼働しているものから止めていくと予想しています。その後どこまでどうなるということまでは予測しているものではありませんが、東北東京間連系線に応募している事業者の多くは火力発電で東京に電力供給しようと考えており、これらも老朽火力等から替わっていくことになるわけで、現在の高い料金の火力発電所を稼働させる必要がなくなり、電気料金が下がるというストーリーと考えられます。

○石川評議員
つまり、原発再稼働が進めば、火力全体の供給量が減っていくので、供給量総量では大差ないのではないか?説明頂いたストーリーは、東京電力との話でも、そう言われています。

●金本理事長
原発が十年後にも全く稼働していないとすると、他の電源で代替しなくてはならない。現状は、老朽火力が主に代替電源となっているが、これらの老朽火力がいつまで保つのかといったことも広域機関は評価する必要が出てくるわけで、広域機関にとっての問題は、単に原発再稼働の進み方を論じることではなく、今後十年においてどのようなシナリオがあって、仮に原発再稼働があまり進まない場合にはどのような電源が代替となっていくのかなどのシナリオを検討していく必要があります。そういう意味で複数シナリオを用意して検討しているということでございます。

○松村評議員
原発再稼働の度合いによって電源構成が変わることは当然。今回の問題は経済産業省と広域機関の間だけの問題ではなく、供給計画を提出する義務のある電気事業者がその義務を果たしてこなかったという、一般電気事業者の問題。このことは先ず認識する必要がある。
広域機関は、事業者が提出した供給計画の数値を見ながら、もし電源入札等が必要であれば、そういうことも考える機能がある。その機能を果たせないでいる状況である。そうした状況を、一般電気事業者は百も承知の上で、供給力未定のまま計画を提出しているのだから、それは私の理解では、一般電気事業者は細かな内訳までは記載できないので未定のまま放置したが、今後十年は広域機関による電源入札等の世話になることなく安定供給は維持するという一般電気事業者の認識があるということだと思っているし、一般電気事業者がその責任を認識していると期待している。故に、一般電気事業者は、一般電気事業者の責任において、少なくとも十年間は電力不足など決してないような行動をとるはずで、従って、原発の再稼働が進めば代替してきた火力発電所は止めるでしょうが、廃止することなく、どのようなシナリオになっても十年間は電力不足のない危機的な状況など起きないようにしてくれるはずだと思っています。もし、それを疑わせるような行動が出てきたとしたら、広域機関は速やかに報告して、そのような期待が裏切られることのないようにしなくてはならない。しつこいようですが、今の一般電気事業者は、原発の再稼働が進むシナリオでも進まないシナリオでも電力不足を気にしなくてもいいように、自分の責任で10年間は電源入札など必要ないくらいに設備は維持していただけるものと思います。

○野間口議長
おそらく、そういう理解だと思うので、前回評議員会の審議を受けて、供給計画提出後に理事長メッセージを出すとともに、経済産業省に対しても大変厳しく働きかけてもらっているので、今日また更に頑張れというご意見が多くあったので、宜しくお願いします。
報告事項ということで、広域機関からは現状を率直に説明して頂きましたので、時間の都合もありますので、更にご意見あれば、後ほど直接にお願いします。それでは、報告事項(2)に進みたいと思います。

●川崎総務部長
それでは事務局より広域機関の活動状況について報告をさせて頂きます。おめくり頂きまして、理事会の活動からその他という項目でまとめてございます。適宜、パワーポイントの資料を使って説明させて頂きます。1番の理事会の審議と会員への指示につきましては、パワーポイントを見て頂きたいと思います。おめくり頂きまして、1~3頁ですけれども、理事会の活動内容について、お時間の都合もございますのでご覧頂けたらと思います。会員への指示ということでございますけれども、4頁をご覧頂きますと、つい先日でございますが、非常に珍しいことでございますけれども、9月26日の土曜日に、四国エリアの気候の影響による需要増加等に伴いまして、広域的な融通を指示してございます。指示を受けた会員と致しまして、中国電力から四国電力に最大50万kWを17時30分から22時の間で送電したということでございます。指示をした年月日につきましては、26日の16時30分ということでございます。おめくり頂きまして5頁でございまして、その日の需給状況を示してございます。まず前日の需要予想と実績の状況を時間ごとに示しておりまして、左下前日17時の状況では需給予想は予備率13.1%で十分な予備力があることを確認してございました。当日9時の段階で需要が急峻であるため、10時の段階で四電に需給状況を確認したところ、需給の予想を見直し後5.2%の予備力があり、揚水で確保しているという連絡がありました。その後10時から15時40分の間につきましては、広域機関と四電とは連絡を密にとっておりましたけれども、15時40分の段階で、点灯ピークで使用する予定であった揚水分が、下池が満杯になるという制約でこれ以上発電できなくなるということで、17時30分から22時の間で最大50万kWを中国電力より四国電力に送電するよう指示致しました。上のグラフを見て頂きますと、点線が前日段階の予想で、実線が実際の需要ということでございます。10時から相当需要が上回っておりましたけれども予想よりも太陽光の発電も多く、これでまかなっておりましたけれども、13時付近で太陽光も減り始め、その後は予備力の揚水発電で対応していたということでございます。17時半の段階でございますが、揚水の下池が満杯になったため、約50万kWの融通が必要になったということでございます。当初前日段階では40万kWの太陽光の出力を見込んでおりましたが、トータルで70万kW出た時間帯もございましたが、残念ながら昼ごろから曇ってきたということでございます。土曜日ということで4時間前市場も開場されていませんので調達手段がなかったということで、広域機関の融通により対応したという状況でございます。続いて本資料に戻って頂きたいと思います。3番の電気供給事業者への指導勧告というのは、該当はございませんでした。系統アクセス業務の方でございますけれども、9月25日までの受付・回答状況は下表の通りということでございまして、事前相談の件数は4-6月で32件、7-9月9件、接続検討は4-6月で8件、7-9月で23件ということで、増えているという状況になってございます。それから苦情処理・紛争解決ということでございますけれども、こちらにつきましては4-9月で合計33件、対応済件数につきましては11件でございます。8月26日に法務省よりADR法に基づく紛争解決機関の認証を取得しておりまして、法務省から中立公正な手続きであることが認められたということでございます。
続きまして3番と4番につきましてもパワーポイントにて説明させて頂きます。まず6ページをご覧ください。先ほど少しご説明させて頂きましたけれども、グラフは今夏の供給区域ごとの最大電力発生日におけます、最大電力、最大時供給力、予備率を示してございます。東京電力は6%でしたが、その他は8%を確保しておりました。東京エリアは2010年度並みの猛暑により、震災以降最大需要電力を更新しております。供給力としましては千葉火力の計画外停止があったとのことでした。関西エリアでは気温、需要はともに概ね平年並みで、姫路第二火力の不具合は、概ね当初予定通りに復旧したということでございます。続いて7頁のスイッチングの関係でございますが、開始取次や、事業者の遵守事項、本人の確認方法、需要家広域間のトラブル防止といったルールを以前は検討しておりましたけれども、現在は規程や指針にどのような記載内容を盛り込むかを整理しているところでございます。システム開発では小売事業者向けの開発仕様を既に開示しておりまして、広域機関側のスイッチングシステムに関しては、ハード、アプリケーションの開発を終え、機関内の他システムとの連携試験を実施しておりまして、概ね予定通りのスケジュールで開発を進めてございます。実務者会議は隔週で検討しておりまして、資料につきましては広域機関HPにて公開してございます。本資料に戻って頂きまして、その他になります。需要想定については先程ご説明させて頂きました。広域系統整備委員会も先程議論させて頂きました。調整力については後ほどシートにてご説明させて頂きまして、4番でございます。種子島でのメガソーラーに対する出力抑制の検証でございますが、九州電力が5月5日に鹿児島県の種子島でメガソーラーに対して出力抑制を指令・実行したことについて、その妥当性を検証致しまして、7月22日に「指令は適切なものであると判断する」と広域機関として結果を公表してございます。それから情報セキュリティに関する取組みというところで、前回評議員会の場でもご指摘頂きましたので、国の機関からもいろいろ指導を頂いているところで、情報セキュリティ-マネジメントの体制を強化するため、担当職員を1名募集中というところでございます。パワーポイントの9頁をご覧頂きたいと思います。調整力等に関する委員会では、検討項目として調整力と連系線を確保するマージンの二分類としております。前回6月23日の評議員会以降委員会は2回開催しておりまして、3回目は調整力確保の考え方、短長期の調整力等の必要量の検討について、4回目が検討の進め方として、エリアあるいは日本全国で確保すべき調整力等を検討したのちに、送配電事業者が確保すべき量を検討するという2ステップとしていくことを確認し、長期断面においては従来の指標に加えて2種類の評価指標を加えて検討すること、短期では需給変動の要因を6種類に区分して、変動の大きさの分析を進めることとしております。またマージンの論点を整理したということでございます。以上、活動状況についてご説明させて頂きました。

○高村評議員
意見を2点申し上げたいと思っております。
1点目は、種子島でのメガソーラーに対する出力抑制の検証の点でございます。7月22日に結果が公表されておりますが、作業のあり方や結果について特に申し上げることはありません。要望として、出力抑制の透明性を高めるということが新エネルギー小委員会等でも議論されております、現在は抑制を行う根拠となった予測した需給状況の情報は公表されていますが、実際の需給がどうだったかという情報を公表することは、出力抑制が適切に行われているという発電事業者の信頼性を高めるとともに、実際に予測が想定と異なることがあると思いますが、今回も改善点として書かれているとおり予測精度を高めるための課題が何かを明らかにするためにも重要だと思います、その趣旨で、今後は実際の需給情報も公表していただきたいと思います。2点目は、むしろ第2号議案において申し上げるべきものでしたが、広域系統整備の基本要件等を示す際に、大高評議員が発言された電源別構成等の情報は評議員会で示していただいた方がよいと思います。それぞれの電源に応じ様々な投資のリスクがあると思いますが、最終的に我々評議員が広域系統整備の基本要件を判断する上で必要と考えますので、今後の評議員会では情報を提供いただけないかと思います。

●内藤理事
1点目の種子島の出力抑制の件については、今回は初めてのケースで、公開まで1ヶ月半と時間を要した。元々は前日の段階で出力抑制をお願いすることになっているので、その想定が妥当であったかということが主眼になると思います。広域機関としても指令自体は妥当と考えており、今後のために、需要想定の精度向上や太陽光の出力の予想は非常に重要であることも公表時に示しているが、ご意見の通り、予測と実績がどの程度違っていたのかというご関心もあるかと思っております。公表後に取材を受けた際には、その結果を公表したこともあって、今後は参考ではあるが実績値も示していきたいと思っております。ちなみに、今回の場合は、想定よりも需要は更に下がっており、太陽光の方は逆に想定を上回っており、非常に厳しい状態だったので、もし出力抑制をしていなければ、安定供給上問題だったという感じもありますので、太陽光の発電事業者と安定供給の両方の観点から、透明な公開をしていきたいと思います。

●寺島理事
2点目のご意見ですが、基本要件の内容としての必要な記載事項としては、連系線整備の基本的な事項とそしてどのような内容を記載すべきとの視点から、広域機関の業務規程や送配電等業務指針に規定されておりまして、これらに則り、今回の記載としております。
先ほどの藤岡計画部長の説明のとおり、広域機関としては、電源種別によって連系線整備計画を区別するようなこともなく、また、事業者の電源種別を公開するというルールにもなっていないので、電源別構成については公開すべきでないと考えるところであり、ご意見のような記載をすることは考えておりません。

○高村評議員
基本要件に記載するということではありませんで、評議員会で議論をしていく上での情報として提供されるべきではないかと考えております。
今回は口頭で回答頂きましたが、次回以降もそういう質問が想定されると思いますので、評議員会に関連情報として示して頂くのがよいと思います。

○野間口議長
それでは、本日の評議員会の最後に、金本理事長から一言お願いします。

●金本理事長
本日は熱心なご議論ありがとうございました。
今回は、広域機関にとって初めてのビッグ・プロジェクトである二つの連系線整備の基本要件について御議論頂きました。もうすぐ広域機関設立から半年となりますが、この半年間、本件については担当する役職員は大変な努力をしてまいり、こうした形でまとまったということを大変うれしく思っております。評議員会においてもご議論頂いて、大変ありがとうございます。今後も実施方針等について色々とアドバイスを頂いてまいりますので、引き続き、よろしくお願いします。また、その他の件についても、これからもよろしくお願いします。どうもありがとうございました。

○野間口議長
それでは、これで終了したいと思います。長時間にわたりどうもありがとうございました。

  以上、この議事録が正確であることを証するため、出席した議長、及び評議員2名は、記名押印する。
 

電力広域的運営推進機関評議員会

議長   野間口   有
評議員  安念   潤司
評議員  松岡  萬里野

第 3 回評議員会 議事録PDFファイル(661KB)

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【関係資料】

第 3 回評議員会 議事次第
第 1 号議案  東京中部間連系設備に係わる広域系統整備の基本要件等についてPDFファイル(406KB)
第 2 号議案  東北東京間連系線に係わる広域系統整備の基本要件等についてPDFファイル(326KB)
第 3 号議案  需要想定要領の変更についてPDFファイル(582KB)
報告事項 (1)  平成28年度供給計画取りまとめに向けた対応についてPDFファイル(573KB)
報告事項 (2)  活動状況報告(平成 27 年 7 月 ~ 9 月)PDFファイル(176KB)
第 1 号議案 参考資料PDFファイル(1373KB)
第 2 号議案 参考資料PDFファイル(1679KB)
第 3 号議案 参考資料PDFファイル(658KB)
報告事項(2) 別紙PDFファイル(1104KB)

 

 

 

 

 


 

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