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更新日:2022年4月12日

需給調整市場における(三次調整力①)の誤算定等について

 2022年4月より需給調整市場において三次調整力①の取引が開始され、地域間連系線を介した調整力の広域調達(週間調達)が開始されました。

 これまで3月22,29日、4月5日の計3回に渡り取引(4月1日から15日受け渡し分)が行われましたが、その後の分析において、広域機関が集約・加工したデータに誤りがあったことが原因となり、一部エリアで三次調整力①の募集量として不適切な値で募集されていた事が判明しました(4月7日)ため、その事象についてご報告いたします。

参考:三次調整力①・・・GC※2以降に生じる需要予測誤差および再生可能エネルギーの出力予測誤差や、電源が予期せぬトラブル等で停止する電源脱落により生じた需要と供給の差について対応する調整力。応動時間は15分以内、継続時間は商品ブロック時間(3時間)。毎週火曜日に翌週1週間分(土~金)の約定処理を行う。

1.発生した事象

 三次調整力①は、主にGC以降における予測誤差(需要、再エネ)に対応するための調整力であり、2022年度における募集量については、第28回需給調整市場検討小委員会において、以下の算定式で求めることと整理しています。このうち、夏季・冬季の残余需要ピーク時間帯以外の三次調整力①の募集量は、GC以降の調整力の不等時性を考慮し、一次~三次①の複合約定量から電源Ⅰ確保量を控除したもので算出することとしています。

 この「一次~三次①の複合約定量」は、GC以降の予測誤差を基に算出するところ、需要インバランスについては、需要実績値からBG需要計画※1値を差し引いたものを諸元の一部としていますが、今回、このBG需要計画値の算出において誤りが発生しました。

 なお、このBG需要計画値については、各小売電気事業者が広域機関にその計画を提出することから、広域機関がそれらの計画をエリア毎に集約、加工し、各一般送配電事業者へ送付しています。その際、揚水発電所へ揚水動力(ポンプ)のための電気を販売する小売電気事業者は、それを需要に加えてBG需要計画を提出しますが、一般送配電事業者はポンプアップも含めて調整を行うため、ポンプ計画値とポンプ実績値の差は需要インバランスとは扱わないこととされています。このため、広域機関はBG需要計画値をエリア毎に集約したのち、揚水発電所に係るポンプ計画値をBG需要計画値から減算処理した上で、各一般送配電事業者へ送付しています。

 今回、関西エリアにて、本来必要な量より過大な調達をしている事が判明しました。これは、前述のBG需要計画値の算定誤りが関西エリアにおいて発生したものです。具体的には、広域機関が関西エリアのBG需要計画からポンプ計画値を減算処理するにあたり、本来一回のみ控除すべきところ、算出ツールのプログラムの誤りにより、二回控除していました。これにより、BG需要計画値が本来より小さい値で集約されることで、関西エリアの需要不足インバランスが過大に算出され、結果として、三次調整力①の募集量が本来より大きく算出されることとなりました。

 三次調整力①は、現時点で4月1日から15日受け渡し分までが取引を完了しており、今回の事象による関西エリアにおける三次調整力①の過大調達分は、15日間の合計で約1,800万ΔkW・h、最大値としては約62万ΔkWとなっています。

※1:BG需要計画・・・小売電気事業者(BG)が提出する需要・調達計画。
※2:GC・・・ゲートクローズ。小売電気事業者が需要・調達計画(発電事業者にあっては、発電・販売計画)を広域機関に提出するタイムリミット。実需給の1時間前に設定されており、それ以降は計画の変更は出来ず、BG需要計画と実際の需要実績の差は、一般送配電事業者が調整力で調整を行う。

 

2.他影響確認結果

 関西エリアで発生しましたBG需要計画値の算定誤りを受け、広域機関が行っている他エリアのBG需要計画値の集約、加工について確認したところ、中国および九州エリアにおいても、ポンプ計画値の処理が不適切であることが判明いたしました。また、四国エリアでは、本来控除すべきではない需要計画値が控除されていないことが判明しました。

 中国および九州エリアにおけるポンプ計画値の処理については、関西エリアの事象と異なり、算出ツールにおける発電所コードと事業者がBG需要計画に登録したコードの不一致により、本来控除すべきポンプ計画値が控除されていないことが判明しています。これにより、中国および九州エリアの三次調整力①の募集量が本来より小さく算出されることとなりました。

 また、四国エリアにおいては、算出ツールにおけるコード設定漏れにより、本来控除すべき、一般送配電事業者間融通のためのBG需要計画値が控除されていないことが判明しています。これにより、四国エリアの三次調整力①の募集量が本来より小さく算出されることとなりました。

 なお、調整力は一般送配電事業者が安定供給を行うために必要なものであるところですが、今年度については、全エリアにおいて調整力公募が併存していることもあり、その公募電源である電源Ⅱの余力を活用すること等により、これまでのところ、中国、四国、九州のいずれのエリアにおいても、安定供給に支障が生じるような事象は生じていません。

 また、三次調整力①の募集量の算定諸元として用いたBG需要計画値については、調整力公募である電源Ⅰ必要量を算出するために2021年度以降使用していたものでもあるため、その募集量に影響があるかについても確認いたしました。その結果、BG需要計画値の変更に伴う集約結果に数値の変動は生じるものの、公募における電源Ⅰ募集量の算定結果には影響が無いことが確認できています。

 なお、関西、中国、四国、九州を除く6エリアについては、今回生じた不適切事象が無いことを確認しています。また、全エリアを対象として、今回の不適切事象以外の不具合が無いのかについても、引き続き、調査・確認してまいります。

 

3.今後の対応について

 今回、調整力必要量・募集量を算出する広域機関のツールの一部において、プログラミングの誤り、およびツールの管理・運用の不備が判明したことについて、なぜこのような事態を生じさせたのかについて分析を進めたうえで、再発防止対策の検討も行ってまいります。また、今回問題のあったツールも含めて、各種算定ツールにおいてプログラム等に誤りがないのか確認を進めてまいります。

 なお、今回判明しました関西エリアと中国および九州エリアにおける三次調整力①の募集量の誤算定に係る原因箇所については、既に是正処置を行っており、4月12日に行われる4回目の三次調整力①取引においては、それを修正した募集量にて募集が行われることを確認しております。

 また、四国エリアについては、4月19日に行われる5回目の三次調整力①取引から、誤算定に係る原因箇所を是正した募集量にて募集を行う予定にしております。

 関係者の方々には多大なご迷惑をおかけしましたことを重く受け止め、今後このような事態が生じないよう再発防止に努めてまいります。

 

4.最後に

 本件は、今後、弊機関の委員会や国の審議会でも報告してまいります。
 いただいたご意見や、追加的な確認結果などを踏まえ、対応を進めてまいりたいと思います。

参考:第72回調整力及び需給バランス評価等に関する委員会 資料4

以上

 

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