容量市場とは

市場導入の背景

2016年4月1日以降、皆さまの家庭においても、さまざまな電力会社の料金メニューを選べるようになったことをご存じかと思います。いわゆる電力の小売全面自由化です。

電力の小売自由化では、事業者間の競争をうながし、電気料金の抑制につなげることを狙いのひとつとしています。新規事業者の参入で、余った電力を売ったり、足りない電力を買ったりする電力の売買についても、ビジネスが活発化しています。また、太陽光・風力発電といった再生可能エネルギーの拡大によって、再生可能エネルギー電源が市場に投入される時間帯においては市場価格が低下し、全電源にとって売電収入が低下することも考えられます。
一方、再生可能エネルギーには季節や天候などによって発電量が変動するという課題があり、火力発電所などが需要と供給のバランスを調整しています。

これらの発電所も徐々に老朽化するため、代わりに新しい発電所の建設や建て替え(リプレース)が必要となりますが、市場価格の低下が進むと、売電収入が見込めないなどの理由により発電所の建設や建て替えを断念することが考えられます。そうすると発電所の閉鎖だけが進み、需要に対して供給力が足りなくなり、電気料金が高い状態が続いてしまう恐れがあります。

  1. <需要と供給の関係>
  2. 図1 発電所の数が充分ある場合、需要を上回る供給が見込める

    図2 廃止などで発電所の数が減ると、供給が需要を満たせなくなる

通常、発電所の建設には多額の費用と一定の期間(リードタイム)がかかります。例えば、火力発電所の開発計画から運転開始までに要する標準的な期間は10年程度であり、電気が足りない状態になってからすぐに準備(建設)できるものではないため、建設に踏み切るかの判断にあたっては、将来の資金回収の見通しが重要です。

  1. <火力発電所建設のリードタイムのイメージ>
  2. 図 火力発電所建設のリードタイムのイメージ
  1. <電源投資のタイミングによる供給力の推移イメージ>
  2. 図1 収入が得られるかが不透明だと発電投資が減る

    図2 容量市場で収入が得られそうなら発電投資が増える

 

容量市場を一言でいうと

将来にわたる日本全体の供給力(kW)を効率的に確保する市場です。供給力は、「発電することができる能力」と言い換えることができます。容量市場によって以下を目指しています。

・発電所の建設が適切なタイミングでおこなわれることで、日本における将来の供給力(kW)をあらかじめ確実に確保すること

・供給力(kW)の確保によって電力(kWh)取引価格の安定化を実現し、電気事業者の安定した事業運営や電気料金の安定化などの消費者メリットをもたらすこと

 

日本の電力取引市場

すでに、電力量(kWh)を取引する「卸電力市場」や環境価値を取引する「非化石価値取引市場」が開始されているほか、調整力(周波数調整や予備力)を取引する「需給調整市場」も新たな市場として開始されます。また、本サイトで解説する「容量市場」も将来の供給力(kW)を取引する新たな市場として注目されており、2020年度からオークションが開始されます。

  1. <日本の主な電力取引市場>
  2. 図 日本の主な電力取引市場

 

各国の状況

欧州各国(イギリス・フランスなど)やアメリカなど、諸外国でも容量市場が導入されています。
日本では、電力広域的運営推進機関(広域機関)が、容量市場の市場管理者となります。

 

FAQ

  • Q1.容量市場の導入により電気料金はどうなるのか。
  • A1.
    中長期的な視点から、供給力の減少に伴う卸電力市場の価格の高止まりを抑制する効果が期待されます。そのため、電気料金の安定化のメリットが期待されます。
  • Q2.容量市場を導入した場合の中長期的なメリットとは。
  • A2.
    消費者にとっては、予め必要な供給力を確実に確保していくことにより、供給力の減少に伴う電気料金の高止まりを抑制する効果や、必要な調整力の確保など、電力供給の安定化効果が期待されます。発電事業者にとっては、電源投資に関する一定の投資回収の予見性を高めることにつながります。
  • Q3.容量市場へ参加した場合でも、他市場(卸電力市場や需給調整市場)に参加できるのか。
  • A3.
    容量市場に参加した電源は、応札結果に関係なく、卸電力市場や需給調整市場への参加は可能です。なお、各市場への参加にあたっては、それぞれの市場が求める要件がありますので十分ご確認ください。