更新日:2017年7月7日
第1回評議員会 議事録
1. 日時:2017年5月12日(金曜日)15時~16時50分
2. 場所:電力広域的運営推進機関 豊洲事業所会議室(東京都江東区豊洲6-2-15)
3. 議事
(1) 議決事項
第1号議案 業務規程の変更について(総会議決事項)
第2号議案 送配電等業務指針の変更について(総会報告事項)
第3号議案 平成28年度事業報告について(総会議決事項)
第4号議案 平成28年度決算報告について(総会議決事項)
第5号議案 事務局の職制及び権限に関する規程の変更について
(2) 報告事項
1 「広域機関システムの開発に関する第三者評価委員会」からの提言への広域機関の対応方針について
2 一般社団法人日本卸電力取引所に対する誤った地域間連系線空容量情報の送信について
3 電力需給検証報告について
4. 出席者
(1) 評議員(18名中11名出席)
野間口評議員会議長、江﨑評議員、大高評議員、大橋評議員、倉貫評議員、夏目評議員、松岡評議員、松村評議員、山地評議員、横山評議員、渡辺評議員
(2) 電力広域的運営推進機関
金本理事長、遠藤理事、寺島理事、内藤理事、桑原総務部長、進士企画部長、藤岡計画部長、竹内運用部長
5. 議事の経過及び結果
●遠藤理事
ただ今から、平成29年度第1回評議員会を開会します。
本日は、現時点で総員18名中11名が出席しており、定款第45条第1項に定める過半数に達しております。
議案の審議に先立ちまして、理事長の金本より評議員の任命につきましてご報告させていただきます。
●金本理事長
現在、評議員は総員18名ですが、本年3月末をもって17名の評議員の方々が任期満了となりました。なお、1名の方は、昨年9月に就任いただいております。私どもといたしましては、これまでの評議員の皆さまに継続していただきたいと考えまして、経済産業大臣に認可申請を行い、3月31日に認可を受けて、16名の方を再任させていただきました。
なお、株式会社セブン-イレブン・ジャパンの酒井良次様は任期満了に伴い退任され、新たに同社取締役の大橋尚司様に評議員にご就任いただきましたことをご報告申し上げます。大橋評議員、よろしくお願いいたします。
○大橋評議員
初めまして、大橋と申します。酒井の後任で参りました。よろしくお願いします。
●遠藤理事
大橋様、ありがとうございました。
続きまして、本評議員会の議長につきましても、評議員の任期2年という区切りに伴いまして、改めて選任したいと思います。議長につきましては、定款第44条第1項において、評議員の互選により定めることとなっておりますので、それまでの間は私が暫定的に議事を進めさせていただきます。それでは、議長の互選に移ります。どなたかご推挙等ございませんでしょうか。
○山地評議員
私は、評議員会議長として、引き続き、野間口評議員にお願いしたいと思っております。野間口評議員は、広域機関の発足以来2年間、立場や専門分野が異なる評議員の皆さんの意見や質問を丁寧に取りまとめ、評議員会全体の意見としてまとめてこられ、非常に議事運営に手腕を発揮されてこられたと思います。ぜひ今後も、野間口評議員に議長をお願いしたいと思います。
●遠藤理事
ありがとうございます。そのほかに、ご推挙等ございませんでしょうか。ございませんでしたら、野間口評議員を議長とすることにご賛同の方は拍手をお願いいたします。(拍手多数)どうもありがとうございました。野間口評議員が議長に選出されました。
○野間口議長
ありがとうございます。山地評議員にお話しいただいたことができたかどうか自信がありませんが、何しろ、新しいこの電力システム改革でございましたので、非常に広い評議員からの意見をいただいて、より良いシステムの構築につながるように努めたつもりですが、なかなか難しいキーワードが飛び交うなど、評議員の皆さま方のお仕事によりましては、理解しにくい点もあったかと思いますけど、効果的な意見を出していただきまして、何とかこの電力システム改革が軌道に乗りつつあるということにつながっているのではないかと思っています。しかしながら、ますますこの電力システム改革の段階は進んでまいりますので、広域機関の役割、仕事は、質、量ともに増してくると思っています。評議員の皆さんと力を合わせて機関運営に資するように知恵を絞ってまいりたいと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
●遠藤理事
野間口議長、ありがとうございました。
それでは、お配りしている本日の資料についてご説明申し上げます。お手元の資料をご確認ください。本日の議案は議事次第に記載のとおりです。資料は次第に記載のとおりですので、配布漏れ等がありましたら、事務局までお知らせください。またご発言の際は、お手元のマイクスイッチをオンにしてから、ご発言されますようお願いいたします。それでは、議事進行を野間口議長からお願いいたします。
○野間口議長
それでは、議案の審議に先立ちまして、定款第52条に定める議事録署名人を指名したいと思います。松岡評議員と横山評議員にお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。よろしくお願いいたします。
それでは、議案の審議を行います。まず、今回の第1号、第2号議案の二件、及び第3号、第4号議案の二件は、それぞれ密接に関連する内容ですので、第1号議案及び第2号議案は一括して事務局説明と審議を行った後、一件ごとに議決することにしたいと思います。第3号議案及び第4号議案につきましても、同様に進めさせていただきたいと思います。
それでは、第1号議案、業務規程の変更についてと、第2号議案、送配電等業務指針の変更について、事務局から説明をお願いします。
●進士部長
それでは、第1号議案、第2号議案、一括してご説明いたします。第1号議案は、評議員会審議後、理事会での議決及び総会での議決を経た上で、経済産業大臣に認可申請を行うこと、第2号議案は、評議員会審議後、理事会での議決及び総会での報告を経た上で、経済産業大臣に認可申請を行います。資料でございますが、第1号議案、第2号議案について、それぞれ、業務規程・送配電等業務指針の新旧対照表という形でそろえてございます。それに加えて、別紙1というパワーポイント資料において変更概要をまとめております。
本日は、今申し上げた別紙1のパワーポイント資料で変更概要をご説明いたします。
右上2ページからご説明いたします。今回の変更のポイントですが、電力・ガス基本政策小委員会制度検討作業部会(第3回)の審議結果を踏まえ、連系線の効率的利用、公平性・透明性の確保及び市場環境の整備の観点から連系線利用ルールを「先着優先」から「間接オークション」へ変更するということが主な変更点でございます。それ以外の変更として、一部業務の明確化等として業務規程及び送配電等業務指針を変更してございます。青四角に主な変更ポイントを記載してございますが、まず、連系線利用に関するルール変更につきましては、地域間連系線の管理方法の見直し、それに伴いまして出力維持等が必要な電源等の承認、経過措置の管理、その他ございます。それから、下の矢じりにございますように、その他ルール変更がございます。
ページをめくっていただきまして、スライド番号3番から連系線のルール変更の概要をご説明いたします。今回の説明のポイントは、間接オークションの導入でございますが、現行の仕組みは、3ページ左側にありますように、黄色の塗りつぶされた所のように「先着優先」で連系線の容量を割り当てられておりまして、最後に空いた上の白い所をスポット市場に活用していた訳でございます。今回、この白い所をすべてスポット市場に活用しようとルールを変更するものでございます。具体的には、この黄色い部分の「先着優先」の所をなくしますと上の白い所が残り、全部スポット市場に割り当てられるという形になります。それにつきまして、業務規程及び送配電等業務指針の中でどのような変更が必要かというと、スライド番号4にいっていただきますと、現行ルールはグレーに書いております利用計画というものを長期から年間、翌々日という形でつけていたんですけれども、これが全部なくなりまして、前日スポット市場ですべて割り当てるという形になります。したがって、この利用計画がなくなる、削除するというところが大きな変更点でございまして、5ページ一番上の矢じりにありますように、利用計画に関わるルールは削除してございます。それ以外にも、空押さえなどいくつか関係している項目も削除してございます。大きな流れはそれでございますが、これに伴いまして必要な措置がいくつかございます。
6ページにありますのが、出力維持等が必要な電源等の承認です。これは、一番目の矢じりにありますように、原子力発電等の長期固定電源については、発電し続ける担保が必要であります。したがって、他電源よりも優先的に約定させて発電し続ける必要があるということでございます。このような、出力維持が必要な電源と申しますのは、長期固定電源、二番目の矢じりにありますような特定の電源の出力を直ちに出力抑制する装置を電源側に設置して運転を行うことを前提に運用容量が設定されているもの、つまり、運用容量を設定するにあたって電源の出力を制限することを前提に運転している発電機も運転し続ける必要があるということでございます。また、三番目の矢じりにありますような「電気事業法第24条第1項に定める区間外供給の場合」及び「作業期間に限定して、発電機を一時的に他の供給区域に送電させる必要がある場合」にも優先的に約定させる仕組みというのが必要になります。以上、出力維持等が必要な電源等の承認につきましては12ページまで書いてございます。
13ページまで飛んでいただきまして、今まで先着優先のルールがあるわけでございますが、今回そのルールをなくして、全て前日スポット市場に利用するということで、これによってエリア間値差が発生した場合にはこれによって損してしまう場合がありますので、これについては経過措置で、この13ページの表の上から4段目を見ていただきますと精算方式というのがございますが、エリア間値差による追加費用が発生した場合には当該額の補填を受けることができるというものでございます。逆にエリア間値差で収益が発生した場合には当該額を差し戻さなくてはいけないということでございます。この経過措置でございますが、上の表から2段目を見ていただきますと平成30年度から平成37年度までこの経過措置を行うこととしております。
次に、混雑処理についてご説明申し上げたいと思います。混雑処理は、前日スポット取引及び1時間前取引は全て同順位として扱い、按分抑制することとして取り扱うこととしております。今までは、14ページにありますように、左側にあるような順番で抑制をしていたのですが、今回は、前日スポットで比例的に抑制することになります。ただし、この混雑処理というのがどの場合に行われるというのが16ページに書いてございまして、16ページの上の四角囲いの2番目の四角を見ていただきますと、前日スポット市場終了後に運用量が減少した場合にのみ発生するということでございまして、前日スポット市場終了後に運用容量が減少した場合にこのようなことが起こるということでございます。
また、17ページ、今度はマージンについてでございますが、これも、以前は長期から年間及び翌々日、翌日、当日にかけてマージンを使う・使わないによって、だんだん削減していったというプロセスを踏んでいたわけですが、今回は、この計画潮流というのがなくなりますので、長期等におけるマージンというのは一緒になって、だんだんマージンを減少するということにはならないということでございます。これも、マージンの設定の考え方が変わったということでございます。
19ページにいっていただきまして、今までは、利用計画によって連系線潮流を管理していたわけですが、利用計画がなくなりますので、週間計画以前は、供給区域をまたぐ取引予定分ごとに計画値を提出していただくことになります。したがって、計画値を提出していただくということが新たなルールとなってございます。
また、付随する事項としまして、22ページにいっていただきまして、計画策定プロセスの検討開始要件の変更ということでございます。これは、連系線の利用計画において、空容量が長期では10%、年間では5%を下回る、すなわち、空容量が少なくなった場合に連系線増強の計画策定プロセスを開始するというルールがあるのですが、今申し上げましたように、長期計画・年間計画がなくなりますので、これらをキックとした計画策定プロセスの開始案件はなくなります。したがいまして、この部分を削除してございます。以上、連系線利用ルールにおきまして、今までの「先着優先」から「間接オークション」に変更することにより、業務規程と送配電等業務指針に関して変更する事項を申し上げました。
続きまして、24ページにいきまして、こちらは、それ以外の業務規程、送配電等業務指針の変更点でございます。4点ございますが、簡単にご説明申し上げます。
一つ目、リプレース対象発電所の範囲の明確化。リプレース対象範囲は、基本的に第一電気所という所が同一となる地域となりますが、第一電気所が存在しないケースがあることからその範囲を明確化したものでございます。
二つ目は、電源の接続検討におけるリプレースの該当性判断に係る回答項目の明確化。これは、リプレースをする時に自分の所の発電機を廃止してリプレースするのが、本当にリプレース案件系統連系募集プロセスが開始されるかどうかということが、これまでも回答していたのですが、回答のタイミングが廃止の時ではなくてそれより前の接続検討の段階でその回答を申し上げるというふうにすることで利用者に対してより利便性を図ったということでございます。以上より、接続検討の回答項目として、このリプレース案件系統連系募集プロセスが開始されるかどうかということを回答項目に加えたということでございます。
三つ目が、地域間連系線の管理でございまして、これは、33ページを見ていただきますと、今までの広域系統整備計画のなかで、東北電力・東京電力の間の連系線につきまして、相馬双葉幹線というものが対象となっていたわけですが、連系線の増強の短工期を目的としまして「いわき幹線」というものも短期的には増強の対象としますといことで「いわき幹線」を入れています。
24ページに戻っていただきまして、全国のインバランス集計対応でございます。全国のインバランスの集計につきまして、その精算単価の算定における役割と責任の明確化が整理されたことから全国のインバランス集計業務を明確化したものでございます。以上4点、その他の業務規程・送配電等業務指針の変更点でございました。
以上、第1号議案、第2号議案に関する説明とさせていただきます。
◯野間口議長
はい、ありがとうございました。それでは、ご質問ご意見のある方よろしくお願いいたします。
ちょうど1年前に評議員の方からいろいろ意見が出たと思いますが、「空押さえ」の問題点等に関しては「間接オークション」が大変効果があると思いますが、長期的な観点からは、こればかりに頼っていると、連系線の容量とニーズの容量とバランス、つまり、投資が遅れてしまってニーズに応えられないのではないかと心配になるのですが、どういう形でそれへの対応は考えているのですか。
●遠藤理事
連系線の設備増強は、長期の工事計画に関しまして、資料で19ページに書いておりますけれども、長期の連系線の計画はなくなるのですが、事業者から提出していただく発電計画や調達計画というのは、週間計画以前について、どこのエリアの発電所から調達しているのかという相対取引があるものについては、そういった情報も提出していただくということに今回しますので、そういった情報をもって、どこの連系線が使われるとか、地内の基幹網であってもどこの線について計画を立てるというようなことがわかる仕組みを取らせていただいております。
●金本理事長
補足をさせていただきますと、増強の計画とプロセスを始めるキックとして、先着優先で押さえてある分がいっぱいになってきたら始めますというルールは外しますが、それに代替する、どういうときにプロセスをスタートするかということは、まだできていないということですが、これは、いずれ作るということになるのだと思います。基本的に、ニーズが高まるということは、連系線を使いたい人が多くなって容量を超えると値差が発生します。今は、その地域間の値差分は取引所にたまるということになっております。それがたくさんたまるということになると連系線を増強するシグナルになるということですから、そういったことを含めてこれからどういうふうにしていくのかというのを決めていくことになろうかと思います。ただ、これは我々だけで決められる話でもありませんし、もう少し様子を見ながらルールを考えることになろうかと思います。
◯野間口議長
はい、わかりました。
◯山地評議員
確認ですが、今おっしゃったのは、23枚目のスライドに書いてある話と理解してよろしいでしょうか。改めて検討してはどうかと、投げかけるような内容になっていますがこれがそうでしょうか。
●金本理事長
これは特定負担に関するもので、先ほどのは一般的なものとなります。
◯野間口議長
松村評議員、何かございますか。
◯松村評議員
まずスライド14。広域機関で決めたことではないのでこの提案はもっともだと思います。一方で、システムの問題を考えてこうするということなのですが、このやり方自体はとても非効率的であることは認識する必要がある。同じような非効率的な問題が山のようにあるので、それらをまとめて解決する時にシステムに投資するのが効率的なので、今の段階でこうするのは合理的な選択であると思います。ただ、やはり問題があることは認識する必要があると思います。それから、このようなやり方をするのはある意味でシステム上の問題というか、実際の抑制の問題ではあるのだけれども、お金の話をしている訳ではないので、経過措置で間接オークションの権利をもらった人が、このルール変更で追加的に利益が得られるような事態を防ぐことには、システム対応は必要ない。極めて稀頻度のはずですから、一回一回手でやっても十分。今回の対応を口実に、そこが経済面でも有利にならないようお願いします。更にこういったことは極めてまれな事象だということでこうなっているわけで、何らかの形でこのまれな事象が起こった時には、起こったということが分かるようにすべき。どれくらいの頻度であったかわかれば、確かにまれなことだとみんなが分かるので、今後もしこのような事態が起これば、何らかの形で起こった事実を公表していただきたい。
次に、リプレースの件ですが、これはここで決めるというよりは国のガイドラインに従ってということで、妥当な内容で意見はない。しかし運用を間違えるとほとんど無意味になってしまう。今発電所を持っている事業者が廃止する計画をだいぶ前から持っているが、ずっと黙っていて、直前になって廃止しますと言って、自分の所のリプレースの計画が固まった時点で公開して、この募集期間がものすごく短いというか、情報開示の時間が、新規に発電所の投資計画を練らなければならない参入者にとって極端に短ければ、事実上建て替える事業者以外は手を挙げようがない。そういう状況にもなりかねないわけで、本当に適正なタイミングで、その情報が明らかになったかどうかを、事後的に、こういうことが起こる度に検証していただきたい。
●遠藤理事
ご意見ありがとうございます。最初の混雑処理のご指摘については、この議論をさせていただきました「連系線利用ルール等に関する検討会」の中でもいろいろご意見をいただいておりまして、課題については十分に認識しておりますので、恐らくその検討会の中で引続き検討させていただくことになると思いますし、精算のルールにつきましても、今の時点で詳細は決まっていないところもありますので引続き議論させていただければと思います。
混雑処理の頻度についてですけれども、スポット約定後に連系線が故障するなど、こういったことがどのくらいあったかと言いますと、昨年度1年間で6度ほど直流設備の故障がございました。昨年度の計画値同時同量以降はルールが変わりまして、基本的には、系統起因による故障につきましては、原因者負担の原則となりましたので、系統の安定性に影響がない限りは再給電を行うルールとなっています。去年1年間では、基本的にはそういった混雑処理がされていないというのが実情でございます。
●寺島理事
リプレース案件募集プロセスの件ですけれども、ご指摘ありがとうございます。これにつきましては、ここには記載がありませんが、既に規程・指針で決まっているルールがございまして、まずは、発電設備を廃止するということが決まっていましたら、供給計画で必ず届け出なければならないですし、合わせて当該事業者がリプレースを行おうとして既設電源を廃止するという蓋然性が高まりましたら、すぐ、リプレース案件募集のプロセスの手続きに入ります。募集期間というのは、少なくとも1年間の周知期間を設けているということでございます。松村評議員がご心配になられましたことが、1年間が十分であるかないかという、これはやってみないとわからないということもありますが、十分な周知期間を設けて、その募集に応募できる仕組みは、一応、現在のところビルトインされています。ただ、いずれにしましても募集要綱というものでしっかり周知していかなければいけないということであります。その募集要綱の基本となる考え方については、今準備しているところですけれども、改めてまた、関係事業者さまへの周知等々をしていきながら、ふさわしいもので対応していきたいと思います。正にこれからということになります。
◯松村評議員
まだこれからだということですからそれで十分ですが、常識的に考えても1年というのは、大規模な発電所を考える場合には短すぎる。一方で、ルールで長い期間周知せよとすると、やりにくいわけですから、必要な最小限の期間を定めたルールとしては妥当かもしれない。しかしこれが実効性のある形で本来の目的を達しているのかどうかを、今後も検証していっていただきたい。
●寺島理事
ご指摘ありがとうございます。その点も踏まえて、今後対応していきます。
◯野間口議長
よろしいでしょうか。他にございませんでしょうか。
それでは、特段のご意見がないようでございますので、議決に入りたいと思います。第1号議案、業務規程の変更についてでございますが、原案どおりということでよろしいでしょうか。
◯評議員一同
異議なし。
◯野間口議長
第2号議案、送配電等業務指針の変更についてでございますが、原案どおりということでよろしいでしょうか。
◯評議員一同
異議なし。
◯野間口議長
はい、ありがとうございます。それでは、第1号議案、第2号議案とも原案どおり議決といたします。
続きまして、第3号議案、平成28年度事業計画について及び第4号議案、平成28年度決算報告について、事務局から一括して説明をお願いします。
●進士部長
第3号議案、第4号議案についてご説明申し上げます。第3号議案と第4号議案は、評議員会審議後、理事会での議決および総会での議決を経た上で、経済産業大臣に認可申請を行います。資料でございますが、第3号議案、第4号議案の資料それぞれございまして、その後に説明資料という概要を記したものがございます。概要は説明資料というところに記したものでございますが、説明は各々第3号議案及び第4号議案の資料でさせていただきます。
それでは、第3号議案、平成28年度事業報告についてご説明申し上げます。まず、Ⅰ.電力広域的運営推進機関の概要ということで、こちらはもう皆さまご存じの内容でございますけれども、特記事項といたしまして、1ページ目一番下の所、会員の状況は平成29年3月31日現在で936事業者でございます。
次に3ページにいっていただきまして、Ⅱ.平成28年度における個別業務の実施状況でございますが、こちらが事業報告の大宗をなすところでございます。こちら、かいつまんでご説明申し上げます。3ページの2.供給計画の取りまとめ、検討および経済産業大臣への送付ということで、供給計画の取りまとめをしてございます。(1)の1 平成28年度供給計画の取りまとめ、こちらは各事業者からの供給計画の提出を受けて、これについて取りまとめ、実効性のある供給力確保の在り方及び稀頻度リスクへの対応に関する件等について意見を付して、経済産業大臣に送付してございます。2 平成29年度供給計画の取りまとめ、こちらにつきましても、各事業者からの供給計画の提出を受けて、これについて取りまとめ、容量市場創設の着実な推進、実効性のある調整力確保の仕組み及び広域運用における再生可能エネルギーの出力抑制回避に向けた対応に関する意見を付して、経済産業大臣に送付してございます。
(3)に飛びたいと思います。電力需給検証につきましてですが、これは国からの移管を受けておりまして、平成28年度の冬季の電力需給についての事前検証につきましては、予備力3%以上確保できる見通しであるということを確認いたしました。あわせて、平成28年度の夏季の電力需要の実績についても検証を実施して、想定に比べ余裕がある需給実績であったということを確認いたしました。また、4ページにいっていただきまして、上から3行目、平成28年度から平成38年度までの期間を通じて、供給予備力が基準を上回ることが確認できたことから、電源入札等の検討を開始する必要性はないと判断いたしました。
次に、4.送配電等業務に関する情報提供及び連絡調整でございます。(1)につきましては、広域連系系統の長期方針及び整備計画を立てております。 (2)系統アクセスの受付につきましては、事前相談333件、接続検討83件の申込みを受け付けております。(3)電源接続案件募集プロセスにつきましては、広域機関主宰にて18件を開始しております。また、5ページにいっていただきまして、一般送配電事業者主宰の募集プロセスにつきましては14件の確認を行っております。(4)調整力のあり方の検討につきましてですが、2行目にありますとおり、有識者等による調整力及び需給バランス評価等に関する委員会を設置しまして、14回の会合を開催しております。これによって、電源Ⅰ及び電源Ⅰ'の必要量等が決まり、電源Ⅰ´につきましてはディマンドリスポンス等も電源Ⅰ´の対象となりうることを示しました。また、マージンの在り方についても検討しておりまして、東北東京間の連系線の潮流抑制のために設定するマージンは原則ゼロとすることが適当であることを示しました。続きまして6ページいっていただきまして、3 の連系線利用ルールの見直し検討につきましては、先ほど第1号議案と第2号議案でご説明したとおりでございます。(7)需要者スイッチング支援につきましては、システム改良を6件実施しております。7ページにいっていただきまして、(11)システム開発の実施でございます。これにつきましては、広域機関システムにおいてトラブルが発生いたしましたが、リスクマネジメント会議を設置しまして、組織全体でリスク管理を徹底し、再発防止に取り組むこととしております。5.電力の需給の状況の監視につきましては、広域運用センターの当直体制を1班2名から4名体制に増強しております。6.需給の状況が悪化した場合等における会員への指示についてですが、大規模電源の脱落の事象に伴って、会員に対する指示を2回行っております。また、訓練につきましても、2回実施しております。7.電気供給事業者からの苦情又は相談の対応及び紛争の解決につきましては、苦情及び相談を64件受け付けております。そのうち63件は対応を終了しております。また、紛争解決につきましては2件受理しております。
最後10ページにいっていただきまして、中ほどの(4)職員の確保・育成につきましては、新卒採用3名のほか専門性を持ったプロパー職員6名を中途採用しております。また、Ⅲ総会、理事会、評議員会につきましては、それぞれ総会が2回、理事会が46回、評議員会6回を開催しております。駆け足になりましたが、以上が平成28年度の事業報告案でございます。
続きまして第4号議案、決算の概要についてご説明申し上げます。まず、収入支出決算書をご覧いただきたいと思います。収入の部でございますが、収入の決定額は45億7千万円となりまして、予算額よりも2億5千万円の増加となっております。この理由といたしましては、会員の数が600者に対して929者に増えたこと及び広域機関システムの納期遅延に対する損害金を収入したことが大きな要因となっております。以上、収入の部でございます。
支出に関しましては、支出決定額はFの欄の一番下を見ていただきますと、35億5千万円となりまして、支出予算額Aの欄の43億2千万円に対しまして7億7千万円の減少となりました。以下、この内容について簡単にご説明申し上げます。この表の一番上、人件費でございますけれども、予算支出額に対しまして1億7千万円の減となっております。この理由は、職員の計画人員や給与水準が想定を下回ったこと等でございます。また、職員の給与が想定を下回ったことによって、法定厚生費等も約4千万円減になってございます。
続きまして、固定資産関係費についてご説明申し上げます。固定資産関係費に関しましては、有形の固定資産、無形の固定資産、それから修繕費用となっております。有形固定資産取得費につきましては、支出予算額が5億7千万円のところ、広域機関システムのリース料を平成28年度から平成29年度に繰り延べしたこと等によって、支出決定額が4千万円となって、そのままですと5億3千万円の減少となるのですが、後ほどご説明申し上げますけれども、そのうちの2億7千万円を運営費に流用しているために、結果的には2億6千万円の減少となっております。無形固定資産取得費につきましても、広域機関システム開発に伴うソフトウェアの購入費を繰り延べしたこと等によって、約1億6千万円の減少となっております。修繕費につきましても1千万円の減少となってございます。
続きまして、運営費でございますけれども、運営費の細かい中身はこの表の中には表示されていないのですけれども、広域機関システムの利用者支援業務に係る費用というのが、約7億1千万円発生しております。この7億1千万円に対して、調査費等の繰り延べで約4億4千万円減少させて対応できたのですが、それでも7億1千万円に対して足りませんので、先ほど申し上げた有形固定資産の余りの方から2億7千万円を持ってきて帳尻を合わせたという形となっておりまして、結果的には運営費1千7百万円の減という形になっております。なお、予備費として取っておいた1億2千万円については使用しませんでした。以上の収入と支出に関する剰余金は29年度に繰越いたします。
続きまして、予算総則に規定した事項に係る予算の実施結果についてご説明申し上げます。3ページ目にいっていただきまして、システム開発に係る経費につきまして、予算総則に書かれております債務負担限度額が34億9千万円になっているわけですが、実際の金額は21億9千万円ということで限度額を超えていないということになっております。これが1番目です。2番目につきましては、役職員給与、退職給与引当金の繰入および交際費については、相互流用はございませんでした。総則第4条による弾力条項については、一般会費が予算額に比して増加しましたけれども、総会運営等の必要経費に充当いたしました。また、第5条に規定する役職員の定数および給与につきましては、予算において予定した定員および給与の水準を超えた増加・支給はございませんでした。また、貸借対照表、損益計算書、財産目録については別紙のとおりでございます。
最後になりますが、平成28年度の収入支出決算書をはじめとする財務諸表について、当年度における財務状態および経営成績が適正である旨、監事の意見書を5月10日付で頂いていることを申し添えさせていただきます。
○野間口議長
ありがとうございます。それではご意見ご質問ありましたら、どうぞお願いいたします。
○江﨑評議員
先ほど、固定資産の関係で、有形固定資産が今回少なかったので減っていますが、それを運営費に回しましたということなのですけれども、運営費は来年度の予算ですが、来年度の予算にはあまり問題にならないような運営ができるものなのですか。
●桑原部長
本年度の予算につきまして、運営費においてシステムのメンテナンス等に必要な費用というのは適切に積み上げまして、経産大臣の認可を得ておりますので、運営に支障はないと考えております。
○山地評議員
4号議案の決算ですけれども、監事によるチェックというのはだいたい文書で付けているのが普通だと思いますし、その方がよろしいのではないかと思いますが。
●桑原部長
もちろんございますので、おっしゃるとおりすぐにお持ちいたします(監事の意見書を配布)。
○野間口議長
人件費が1億円以上も余っており、人員が計画より少し少ない水準だったということと、給与水準が想定を下回ったとあるのですが、これはどういう意味でしょうか。
●桑原部長
給与水準については、予算は想定ランクや諸手当等を上限まで引き上げて算定しているため、実績との差が生じたものでございます。また要員については、もっと要員を確保しながら業務運営にあたらなければならないのではないかと考え、出向等も考えたりしておりますけれども、派遣社員を活用したりして対応したことによって人件費ではなく委託費として処理することができたこともございまして、予定より減っているところがございます。
○野間口議長
はい、わかりました。
○江﨑評議員
3号議案ですけれども、6ページに電力ISACが動き出したところと伺っておりますけれども、ぜひ、広域機関からも、強い指導というか要求をし、うまくいくようによろしくお願いいたします。
●桑原部長
指導という立場にはございませんが、特別会員として参加しておりますので、セキュリティの脆弱性を回避することができるよう、一緒になって取り組んでまいりたいと思います。
○江﨑評議員
やはり、たくさんの配電関係者等がいらっしゃいますので、そういう情報の流通とか注意喚起に関して、広域機関はすごく効果的な鍵を握っていると思いますのでよろしくお願いいたします。
○野間口議長
電源Ⅰ、それから電源Ⅰ´、これはどういう定義でしたか。
●遠藤理事
電源Ⅰというのは、通常想定される気温の範囲で必要とされる予備力が電源Ⅰに含まれておりまして、電源Ⅰ´というのは10年に1度の猛暑に対するようなときに必要な予備力という考え方でございますので、電源Ⅰ+電源Ⅰ´というのが、今回、送配電事業者が調整力公募を行った調整力の量ということになります。
○野間口議長
はい、わかりました。他にございませんでしょうか。
それでは議決に入りたいと思いますが、第3号議案、平成28年度事業報告について、原案どおりでよろしいでしょうか。
○評議員一同
異議なし。
○野間口議長
第4号議案、平成28年度決算報告についてでございますが、これも原案どおりでよろしいでしょうか。
○評議員一同
異議なし。
○野間口議長
はい、ありがとうございました。それでは、第3号議案の平成28年度事業報告についてと第4号議案の平成28年度決算報告について、いずれも原案どおりの議決といたします。
続きまして、第5号議案、事務局の職制及び権限に関する規程の変更について、事務局から説明をお願いします。
●桑原部長
お手元資料第5号議案-1の白丸の部分をご説明申し上げます。今般、運用部において、システム開発への継続的な対応等、部長の管理スパンが拡大傾向にございます。今後、他の部も含めまして、様々なミッションを広域機関が果たすうえで、部長の管理スパンが拡大した場合に備え、新たな職位として、部長の統括管理業務の一部を担う「担当部長」を置くことができるよう規程を変更したいと考えています。また、現行規程では、グループ制を敷いていない部、具体的には企画部と計画部でございますが、こちらの両部におきましては、マネージャーを補佐する副マネージャーを設置する規程がありませんが、柔軟な組織運営を可能とする観点から、これを置くことができるように措置したいと考えてございます。具体的にどのように規程を修正するかでございますが、おめくりいただきまして、1枚飛ばして、下の所2ページですけれども、左側が変更前の旧規程でございます。
右側が新しい規程の案でございますけれども、別表1事務局に置く職位として、部におきまして、部長は1名ですけれども、必要な時に置く職位として、担当部長を置きたいと考えてこちらに明記してございます。また、先ほどのとおり、副マネージャーという職位も置けるようにしたいと考えてございます。下に進んでいただきまして、別表2で担当部長はどのような基本的な職務を担うのかということを記載してございます。直属の上司である部長と協調しつつ、所属する部が所管する業務のうち、特定の業務の運営を統括する。あらかじめ直属の上司である部長の命を受け、配下の職員の服務を管理する。このようなものでございます。簡単ではございますが、説明は以上でございます。
○野間口議長
それでは、ご意見ご質問はよろしいでしょうか。
ないようですので、議決に移ります。第5号議案、事務局の職制及び権限に関する規程の変更について、原案どおりということでよろしいでしょうか。
○評議員一同
異議なし。
○野間口議長
ありがとうございます。原案どおり議決といたします。
それでは、報告事項に入りたいと思います。報告事項1、広域機関システムの開発に関する第三者評価委員会からの提言への広域機関の対応方針について、事務局から報告をお願いします。
●桑原部長
広域機関システムにつきしては、一部機能の開発遅れですとか不具合によって、事業者の皆さま、関係者の皆さまに、ご不便、ご迷惑をお掛けしているところでございます。また、後ほど、別の報告事項としての報告もあるところでございますし、評議員の皆さまにはご心配をお掛けして恐縮に思っている次第でございます。今後、こうした開発遅延など発生させないように、広域機関システムの開発に関する第三者評価委員会というものを昨年10月に設置いたしまして、今後の再発防止策を提言していただきました。それを踏まえまして私どもとして対応方針を検討しましたので、ご報告してご意見を頂戴したいと考えております。
資料は二つございますけれども、まず右肩に報告事項1-1とある資料がございまして、こちら側が委員会からの提言の報告でございます。めくっていただきまして3スライド目の真ん中あたりに体制がございますが、中村先生をはじめとして外部の委員を招聘して、審議いただいております。具体的な審議のプロセスでございますが、こちら5スライド目に移っていただきまして、昨年10月頃に評価フレームというものをご議論いただきまして、その後、当事者インタビューを含めまして事実の収集ですとか整理を行っております。こうして得た事実を基に、今から申し上げます課題を中心に原因分析を行って再発防止策を提言いただいたわけでございます。
6スライド目に移っていただきまして、こちらには開発スケジュールと吹き出しの形で課題というものをマッピングしてございます。今一度、経緯を振り返ってみますと、平成25年4月頃に、上から2段目の所ですけれども、電気事業連合会体制整備班というものが立ち上がりまして、広域機関システムを今後どうしてゆくのかと、システムの提案依頼書の作成が順次進められてまいりました。平成26年1月には広域機関の設立準備組合というものが発足しております。その後、26年4月になりまして、開発会社候補者に対して提案依頼というものを行いまして、6月末に募集を締め切りまして、8月下旬には、現在の開発会社を選定しております。6月に提案募集をいたしましたが、6スライド目の1番上の行にもございますけれども、制度設計の議論というものは平成27年度に入っても続いておりまして、提案依頼書における要件定義みたいなものは、一部完全に詰められたものではなくて、少し曖昧な点を残したまま進んでおったというところでございます。そうした段階で、右の方にいっていただきますと、平成28年4月までですので約1年半、この限られた期間でシステム開発をする必要があったということでございます。また、6スライド目の真ん中の辺りでございますが、左側のグレーの網掛けがしてある右下の境目の所に「開発規模の見誤り」というものがございます。これにつきましては、開発会社が当初想定しましたのは50万ステップというような開発規模だったのですけれども、最終的には、まだ完全に終わったわけではありませんが、430万ステップと大きく増大しておるところでございます。こうした経緯等を踏まえまして、非常に大所高所からまとめますと、12スライド目に移っていただきまして、「おわりに」ということころでございますが、委員会からは一つ目の四角でございますけれども、「本システム開発は、新制度設計、業務運用の検討及び仕様の未確定や変更が必至の状況下で、納期までの工期が短いという難しいプロジェクトであった。それ故に、その所与条件から生じるリスクへの対応が適切に行われているか、一般的なシステム開発以上に留意してマネジメントしてゆくべきであったが、それが十分になされず、開発プロセス上の問題の把握に遅れ、結果として一部機能の開発遅延やシステムトラブルの発生を防止することができなかった」と総括されております。その他にも、具体的な提言内容をいただいておるわけですけれども、そちらにつきましては、別の資料報告事項1-2を利用いたしまして、私どもとして対応してゆきたいと考える方針と併せてご説明差し上げたいと思います。
そちらの資料の2スライド目でございますが、まず、第三者評価員会からは全体プロジェクトの立ち上げ局面におきまして、役員として全体プロジェクトを認識し、統括責任者を設置するよう提言をされております。また2ですけれども、全体プロジェクトの計画・実行する局面におきましては、統括責任者が全体プロジェクト計画を策定し、また、個々のプロジェクトの責任者を設置し、全体または個々の目的、ゴール等を明確化し、実行時に確認するということを求められています。これを受けまして、下側のピンクの所でございますけれども、広域機関といたしましては、プロジェクトマネジメントに関するガバナンスを役員レベルを含めまして強化、明確化したいと考えております。まず、理事会はプロジェクトとして、いわゆる制度設計にあたるルール策定だけではなくて、その後続く業務運用の検討ですとか、システム開発、さらにはユーザ教育や支援などを含め、一連のプロジェクトとして認識をして、その全体を統括する責任者を設置することと考えております。それからb.ですけれども、理事会ではそのプロジェクト全体に関する計画というものを承認いたしまして、四半期ごとにプロジェクトの進捗に問題がないかというのを確認してまいります。必要があれば見直しを行って適切にマネジメントを行ってゆくつもりでおります。日常の業務運用につきましては統括責任者が個々のプロジェクトの状況を把握して、プロジェクト全体として整合性がとれて進捗してゆくようになるよう全体調整を行うつもりでございます。例えば、制度設計がうまくいかず予定より長期化した場合などですけれども、残された期間で優先順位をつけてやらなくてはならないシステム開発というのは何なのか絞り込みを行ったり、開発できない部分につきましては、システム外の人間系で対応が可能かですとか、また時期の延長等々いろいろなことを検討して、個々のプロジェクト間を調整することを考えております。こうした難しい業務運用を補佐するため、ピンクのb.のところでございますけれどもプロジェクトマネジメントオフィス機能というものをしっかりと担保したいと考えておりまして、こちらにつきまして、広域機関内でスタッフの充当というというのは難しければ外部委託なども考えてまいりたいと思います。
続きまして3スライド目ですけれども、システム開発に関しまして要件定義、調達、計画の局面におきまして、まず、責任者は要件定義工程においてできるだけ細かい粒度の仕様書で公募・発注を行うこと、それから調達時ですけれども、いろいろありますが、開発プロセス、開発者の能力等、実効性を総合的に判断できる基準を設定して、開発会社選びをしなさいということが提言されております。またベンダー側だけではなくて、広域機関としてもプロジェクト計画書というものを策定してその確認、変更管理等をしてゆくということも求められております。4でございますけれども、実際にシステム設計・開発に移った局面におきましては、広域機関がより設計書等の成果物をレビューすることが求められております。直接が望ましいわけですけれども、全てが困難な場合もあるため、そういった場合には、開発会社側がやっているレビューというものをまたさらに間接的にレビューして業務品質等が大丈夫かを確認することを求められております。これを受けまして広域機関といたしましては、下のピンクのところにございますが、まずシステム開発に関する内部ルール、規程を制定しようと考えてございます。c.のところでございますけれども、開発手順、入札審査基準、プロジェクト計画書の作成、それから開発管理等について、明記をしたいと考えております。一つはまず、繰り返しになりますけれども、入札前にしっかりとした要件定義を行って、提案依頼書の精度を高めるということでございます。これにつきましては先ほど簡潔にご説明しましたけれども、広域機関システムの開発規模をなかなか的確に把握できない部分がありまして、ひいてはシステム開発が工期的に難しい場合の代替案を適切なタイミングで検討できなかったのではないかというような考えに基づいて、こういうことをまずやりたいと考えております。また、入札審査基準のところでございますけれども、システム開発には業務の理解が欠かせないので、理解できる開発担当者が少ない場合は、提案の内容にいいことが書いてあった場合であっても実現性が低くなって計画通り進まないという心配がございますので、開発実行力があるかどうかをきちんと適切な基準の下で評価できるような審査基準を作ってまいりたいと考えております。開発段階のレビューにおきましては、提言いただいたことを踏まえて対応してまいりたいと思いますし、また、広域機関のスタッフだけでは足りない場合に、外部の専門家に委託する等も考えてまいりたいと思います。これによりまして、設計書を作成する段階までに、いろいろ、そこまでの段階で潰しておくべき箇所というのがあるかと思いますけれども、これらをできるだけ潰して、テスト以降に進んだ段階で多数のバグが発生するというような事態を予防したいと考えております。
4スライド目は人材についての提言をいただいております。まず、委員会の方からは、広域機関の主要システムの開発が、恐らく、常に新しい制度設計に基づいて必要になってくると、その意味で前例のない唯一のかつ新規のプロジェクトになる可能性が高いという認識が示されておりまして、そのために広域機関や開発会社ともに業務要件を理解できる人材が十分確保できるかというリスクを抱えていると、そういったものに対して中長期的な視点に立って人材を育成しないときちんとしたシステム開発というのは難しいのではないか、という認識が示されて提言されております。ということで、開発会社に十分なスキルを持った人材が確保できない場合には、本来の姿ではないのかもしれないけれども、広域機関でもその底上げを図る施策というのが必要ではないかというふうに提言されております。これを受けまして右図のピンク部分ですけれども、私どもとしてプロパー職員の採用を積極的に実施いたします。また、これを積極的にいたしますけれども、一気に何十人と雇えばうまくゆくというものではありませんので、必要な人数が確保できるまでの間、外部委託を活用しながら対応してまいりたいと考えてございます。また、開発会社からの出向者を受け入れまして開発会社側の人材育成にも関与して、広域機関のシステムに関して知見を有する人材の基盤というものを広めてまいりたいと考えております。
以上、委員会の提言と広域機関としての対応方針というものをご説明いたしました。もちろん、こういった提言を受けまして対応方針を検討しておるのですけれども、最後になりますけれども、リスクマネジメント会議等ございまして、結構な部分を実質的に対応している部分もあるということを最後に付け加えさせていただきます。ただ待っているだけではないということを申し添えさせていただきます。以上でございます。
○野間口議長
はい、ありがとうございます。それでは、皆さまご意見ございますか。
○江﨑評議員
対応としてはちゃんとやっていただいていると思うのですけれども、一番大事なことはやはり経営サイドいうか理事会サイドがこの認識をすごく強く持たないと、現場は動かなくなってしまうので、そこの認識をちゃんと持っていただかないと、この手のものは、ガバナンス的に大体動かないと。それからルールをどんどん増やすと逆に制度疲労になってしまって、本来機能するものが逆に疲労して動かなくなってしまうというところも気にしなければならない点だと思いますので、このあたりも矛盾するところではありますが気にしなくてはならない。それからもう一つは、人材の確保というのはいわゆる調達の実システムの部分とそれから上流工程のところが大体一緒になって動いているのがほとんどの場合で、今回についても本来であれば上流部分をちゃんと別に発注をして、そちらにかなりのお金をつけるようにするだけでも大分状況は変わるんですよね。それは、政府の中でもそういう話をし始めていますけれども、したがって人材の確保においても、かなり重要なミッションになるので、普通とは違うような考えも持たざるを得ないでしょうし、調達のプロセスの工程でこういう工程を外出しするとか、重要視するということころを考えていかなければいけないと。ここをやはり経営サイドの方がしっかりと認識を持って、指導してゆくというのがとても重要だと思います。ぜひ、よろしくお願いします。
○野間口議長
はい、ありがとうございます。他にございませんでしょうか。
○夏目評議員
少しお伺いしたいのですが、第三者評価委員会の方からは統括責任者を設置しなさいというようなことが強く言われていたと思うのですけれども、広域機関の対応方針を拝見させていただくと、統括責任者を設置するとともにシステム構築を目指しますと記載されております。この統括責任者というのは第5号議案で議決をいたしました担当部長を置くところがございましたが、そういうことを指しているのでしょうか。統括責任者がどういう位置付けにしているかというのが見えなかったので、少し教えていただきたいと思います。
●内藤理事
この統括責任者につきましては、我々としましては、広域機関システムに関しては、運用部長をもって充てようと考えております。また別のシステムになれば、別の者を置くかもしれません。そういうことを踏まえて、かなり管理スパンが広がってしまうということで、担当部長という、補佐を付けようというのが今回の5号議案の趣旨でございます。広域機関システムの開発の責任者は誰かと考えた時には、やはり運用部長、今までもそうでありましたけれども、それを明確化するということでございます。付け加えますと、統括責任者なのですけれども、やはりシステムの開発の専門性が必要になると考えてございまして、そのために今回、ご提言にもありましたとおり、プロジェクトマネジメントオフィス(PMO)を活用したらよろしいのではないかというご提言をいただきまして、これにつきましては、外部の方から活用しようと入札もかけてございます。その者が専門的な見地からこの統括責任者を補佐すると、そういった体制を考えてございます。
○夏目評議員
ありがとうございました。
○江﨑評議員
もう一つよろしいでしょうか。この手のもの、CIOやCISOと似た話ですけれども、統括責任者はより良く安いお金で動かすということを考えると穴が開いてくるので、それをちゃんと外からというか、監視する人達がいないといけない。本当は統括責任者を違う目でちゃんと公平に誤りなくやっているかを見る人を一人用意する方がベストなのですけれど、なかなかそれができている企業も今いない状況ですけれど、理論的にそういうものを持っておくことを考えておくことも将来の話になろうかと思います。
○野間口議長
はい、ありがとうございます。山地評議員や横山評議員は、研究者としてのお立場からいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
余計なことかもしれませんが、私は、報告事項1-1の6ページにあります制度設計の「詳細遅れ」とありますけれども、こういうものをやりながら並行して仕事をしろという、これは国家的な大事業ですからこのような事態も生じるのでしょうけれども、こういう中でしかも上流の整理もしながら、業務運用もこの中に入れてゆくという大変なシステムですので、ものすごいご苦労が広域機関及び開発会社にあったのではないかと思います。企業の人間ですから甘いと言われるかもしれませんが、よく頑張ってなんとかここまで来られたなという気がしております。だからといってOKというわけにはいきませんので、一世一代の大電力システム改革ですので、完遂に向けて1-2に示されたような提言をきっちりやっていただきたいと思う次第です。評議員の皆さまからご指摘がありましたら参考にしていただいて、お願いしたいと思います。それではこの報告はよろしいでしょうか。
続きまして、一般社団法人日本卸電力取引所に対する誤った地域間連系線空容量情報の送信について、事務局より報告をお願いいたします。
●竹内部長
報告させていただきます。本年4月、本機関が、記載のJEPXに対するスポット市場取引用の連系線空容量情報を誤って送信したことによって、不要な市場分断が発生しました。このことについて、概要と原因について報告させていただきます。
まず事案1です。概要、背景、原因ですが、本機関は、JEPXにおけるスポット市場の約定処理のために、電力の受給の2日前に全国の連系線において、記載の条件を下に空容量を算定してJEPXに対して送信するという業務を行っております。この業務において広域機関システムのプログラムの不具合がございまして、4月17日に送信した18日分の関西中国連系線の空容量が、本来よりも小さい値となってしまいました。この結果、4月18日分のスポット市場において、関西エリアと中国エリアとの間で本来発生しないはずの1コマの市場分断が発生したということでございます。
直接的な原因でございます。広域機関システムのプログラム不具合よって誤った空容量データが作成され、JEPXに送信されたということでございます。直接的な原因の背景でございますが、まず、試験の状況でございます。関中作業プログラムは当初、広域機関システムに組み込まれておりませんでした。そのことから昨年6月に追加で開発を開始したものでございます。ページめくっていただきまして、開発委託先は、プログラムを本機関に納入する前には、記載の各種試験等を行って品質確認を行っておりましたが、今回の事案の原因となった不具合を事前に発見することはできませんでした。その二つ下にございますが、開発委託先によれば、そもそも製造工程において、この業務に対する基本的な部分で誤解があったということを聞いております。この部分については開発委託先の報告を待ち、詳細を明らかにしたいと思っています。
続きまして、事案発生前における本機関と開発委託先とのやり取りでございますが、事案発生前に本機関の職員が開発委託先の担当者に対し、運用の開始前に、資料に記載のとおりプログラムを使って問題がないかどうかの確認を行っております。開発委託先からは問題ないという回答を得て、プログラムを実行したということでございます。
事案2について説明させていただきます。概要ですが、4月19日にJEPXに送信した4月20日分の空容量データが、事案1への対処に伴う作業ミスによって、本来よりも小さい誤った値で算定され、JEPXに送信されました。この結果、4月20日分で17コマの市場分断が発生したということでございます。
直接的な原因は、事案1の発生を受けて、関中作業プログラムを使用して翌々日策定を行うことを中止しまして、開発委託先の手作業によるデータ作成に移行しました。この手作業における開発委託先の確認が不十分だったことと、本職員がその確認作業にミスがあっとことから、誤った空容量が策定され、JEPXに送信されたということでございます。
直接的な原因の背景でございます。関中作業時のプログラムの使用中止ということですが、事案1で不具合が生じましたので、その関中作業プログラムの使用を中止しました。事前に健全性を確認していた、別の暫定プログラムであるデータ作成ツールを使用して空データを作成するよう開発委託先に指示をしましたが、開発委託先では古いバージョンのツールを、健全性が確認されている最新版と誤認して使用してしまったため、ツールが稼働しないというトラブルを発生しました。よって独自の判断で、別の方法で空容量のデータを作成して、システム担当者に提出したということでございます。この別の方法で計算した内容が誤っていた、ということでございます。誤った空容量データの送信の経緯ですが、そのデータを受け取り、当機関の職員が確認を行ったのですが、その確認手順にも誤りがあって、結果としてデータの誤りを見過ごしてしまったということでございます。
再発防止策です。緊急対策についてはチェック体制の体制強化を行います。多重でチェックをすることでミスを未然に防ぐということでございます。それと開発委託先の対応体制の強化を行います。開発委託先には、ミスが万が一見つかった時にも即座に対応できるよう、24時間の常駐させるともに、先ほどありました指示事項を遵守するということを再度、徹底させております。それと開発委託先の経営層へ、システム品質向上の申し入れを行っております。
続けて関中連系線他の過去分です。過去分の全ての連系線空容量のデータについて、適正であったかどうか再確認を既に実施済みであり、すべて(資料記載の4/1〜4/26で)誤りがないことを確認しております。それと開発プロセスの見直しでございます。今回、部分的なシステムリリースをしたことにより、一部不具合を見つけることができなかったというミスを誘引、誘発したということになりましたので、今後はリスクを軽減するため、部分的なリリースについては行わないという方針で進めたいと思っています。
抜本対策です。今回不具合を起こした関中作業時プログラムを完成させること、それと不具合プログラムと同時期に運用開始しておりますプログラムの健全性の総点検を行います。さらに、開発委託先の監視体制の強化です。先ほど、ご説明させていただきました、本機関に設置するPMOに専門性の高い外部人材を配置し、その知見を取り入れて開発委託先に指導強化を図っていきたいと思っています。以下同様の事案が発生した場合については、記載のとおりでございます。以上、ご説明させていただきました。
◯野間口議長
はい、ありがとうございました。それでは、ご質問、ご意見ございませんでしょうか。
◯江﨑評議員
これは、かなり深刻な問題だと考えられますので、もしかしたら評議員会からのメッセージとしても、開発委託先にちゃんとしなさいということを出した方がいいようなぐらいの話じゃないかというふうに思います。
それから、このシステムはどちらかというと、銀行系のトランザクションシステムみたいな勘定系のシステムのエキスパートというか、そういう部隊が得意なところだし、その技量がないといけないところなので、そういうところも少し開発先とのコミュニケーションの中で、そういう経験のある部隊なのかどうかとか、そういう人達のアサインメントみたいなところも少しご配慮いただかないと、続いていく可能性が高いですよね。しかも先ほどの容量取引のところも、完全にオープン化してしまうと、さらに普通の株取引みたいな話になってくるので、そうすると、その部隊の方の人材を投入してもらわないと、多分うまくいかないと思いますので、単に直せではなくて、そういうところをインプットしてあげた方がいいのではないかと思います。
○野間口議長
大変重要なご指摘だと思います。
●内藤理事
ありがとうございます。ご指摘承りたいと思います。まず、開発会社へのしっかりしたメッセージを発信したいと我々も思っておりまして、既にこのプロジェクトの責任者になります先方の副社長に、私どもの方から強く申し入れをしております。さらに、昨年も立て直しということで来ていただきましたけれども、社長さんをお呼びしまして、理事長から、この旨しっかりと再度申し入れをしたいというふうに思っております。
それから勘定系といいますか、そういうところのシステムに近いのではないかというご指摘でございますけれども、これにつきましては、先ほどの第三者評価でも、これまでの不具合を経た上で、十分に認識してございます。開発ベンダーの方もこのシステムにつきましては、制御系というよりは勘定系(情報系)が主体でやるべきだということを認識しておりまして、昨年からはそこが主体で既にやっております。ただし、今回また不具合を起こしてしまいました連系線の機能につきましては、その前から作っていたところがございまして、まだ十分手当できていなかったという、残務に近いところがございます。しかしながら、勘定系(情報系)の方が主体となって、従来制御系の部隊が作ったところにつきましても、徹底的な調査をして、このような不具合がないように、先ほどご説明しましたリスクマネジメント会議において、我々、理事も入りまして毎週のように確認、チェックをしております。
◯野間口議長
今の意見は、第三者評価委員会では指摘されている点でもありますけど、評議員会でもそういう意見があり、非常に重要な指摘だったということを、議事録にもちゃんと記録していただいて、企業さんにも伝えていただくとともに広域機関のマネジメントにも活かしていただきたいと思います。
他にございませんでしょうか。それでは報告事項はもう一つ、電力需給検証報告につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
●竹内部長
それでは、報告させていただきます。電力需給検証につきましては、資料に記載のとおり、本機関に作業の場を移管されることとなりました。このたび、本機関で検証結果を取りまとめ、電力・ガス基本政策小委員会で概要をご報告するとともに本機関のウェブサイトに報告書を公表しております。この内容について、ご報告させていただきます。
おめくりいただきまして、2スライド目でございます。2016年度冬季の電力需給実績の検証についてご説明します。3スライド目でございますが、各エリアの最大需要日の電力需給実績について示しています。エリアごとに最大需要日は異なっております。東京エリアの実績を見ていただきますと、予備率は5.5%と各エリアに比べて一番小さくなっておりますが、最低限確保しなければならない3%を上回っており、安定した需給状況であったと評価しております。
おめくりいただきまして、4スライド目でございます。各エリアの最大需要日の需要実績について分析をしております。想定と実績の差でございます。全国の10エリアで見ますと、合計339万kW、想定より実績が下回っております。この内訳でございますが、気温影響で445万kWの減、経済影響で205万kWの増、その他でございますが、99万kWの減については節電影響等だと判断しております。全体の需要実績については、このような分析を行いました。
5スライド目をご覧ください。全国での最大需要日の電力需給実績を示しています。全国での最大需要日は1月24日18時から19時ということになります。予備率を確認しますと全エリアとも3%を上回っておりまして、安定した需給状況であったということを確認しております。 6スライド目をご覧ください。その1月24日18時から19時の間の供給力について分析をしております。全国合計で実績では想定と比較し481万kWの減でございました。その内訳を見ますと、火力が多くを占め、計画外停止、需給停止、その他とございます。需給停止につきましては、需給状況を見ながら停止させていたというものでございますので、この313万kWの減につきましては、安定供給上影響はなかったと考えております。一方、計画外停止につきましては、火力266万kW、加えて水力、揚水での計画外停止も合わせると、合計304万kWの減でございますが、この304万kWが、予備率へ与えた影響は2%程度であり、軽微であったと考えてございます。風力と水力につきましては、両方合計して200万kWほど想定を上回っておりますが、この200万kWにつきましては、これらは気象条件に大きく左右されることから保守的な供給力の想定を実施しており、気象の実績に相当した結果であると考えてございます。
ページをおめくりいただきまして、8スライド目でございます。全般的には、安定した需給であったと考えてございますが、電源脱落によって需給が厳しくなった局面がございましたので、トピックスとしてご紹介させていただきます。2月21日上越火力線における上越火力2系列が電源脱落を起こしました。227万kWでございます。加えて当日の需要が想定を上回ったことから140万kWの融通を広域から指示いたしました。
事故の概要でございますが、9スライド目をご覧ください。上越火力の電力を送電しております上越火力線という送電線がございます。こちらが、事故で2回線故障となりましたので、上越火力227万kWが脱落したということでございます。
お戻りいただきまして8スライド目ですが、その227万kWの脱落が発生した同日、この他に三隅火力95万kW、橘湾火力99万kWが脱落したため、合計897万kWの冬季最大の計画外停止となりましたが、先ほど申し上げた融通指示も含めまして需給上の問題はなかったということでございます。
10スライド目をご覧ください。北海道エリアにおきましては、冬季の需給見通しのときに北海道電力において需給対策について取り組むこととしておりました。こちらに記載のとおりでございますが、結果として需給ひっ迫の状況にはなりませんでしたので、このひっ迫時の対策は発動しておりませんということを報告させていただきます。
11スライド目はまとめでございますが、繰り返しになりますので、説明を割愛させていただきます。
12スライド目からが夏季の電力需給の見通しでございます。
13スライド目でございますが、検証の前提です。需要の積み上げにつきましては、供給計画の需要想定をベースに積み上げをさせていただいております。供給力につきましては、具体的には1~3にあります供給力について想定を行っております。その想定の結果が14スライド目でございます。14スライドですが、7月、8月、9月の各エリアの需給状況を想定してございます。各エリアとも最低限確保すべき3%を確保できる見込みでございます。ただし、7月の東京エリアと8月の中部エリアについては、1番上段に書いておりますエリア間取引を活用し、他エリアから不足分を調達することで3%を確保する見込みとなっております。
15スライド目をご覧ください。エリア間取引の可能量についてご説明いたします。
東京エリア7月の例で言いますと、左下の表でございますが、北海道・東北エリアの事業者の余力が28万kW、28万kWは東京エリア向け連系線空容量以下ですので、そのまま可能量となります。一方、中西6エリアの事業者余力は244万kWございますが、東京エリア向け連系線空容量が27万kWございますので、27万kWが可能量ということになります。この28万kWと27万kWを合計して、55万kWがエリア間取引可能量ということになります。
16スライド目をご覧ください。その7月の東京エリア向けの取引可能量55万kWのうち、北海道から7万kW、中国から22万kW、四国から4万kWの合計33万kWが東京エリア向けに取引されることで3%の予備率が確保できる見通しということでございます。
17スライド目をご覧ください。その猛暑H1、厳しい気象状況時の需給の際にさらにN-1故障、発電機の1台停止あるいは送電線の1回線事故が起こった時に予備率3%が確保できるのかということについて、検討を行っております。7月の東京エリアの例でご説明いたしますと、209万kW不足するということになります。
18スライド目をご覧ください。追加的な需給対策をもって不足分を確保いたします。先程、ご説明しました55万kWはエリア間取引のところでFC活用ありのところに55万kWございますが、これに加え、本機関からひっ迫時の指示を行い、187万kWを積上げ、あわせて242万kW追加の供給力が確保できると考えており、17スライド目に記載の209万kWの不足分についてはこれで充てることができると考えております。
最後にまとめです。2017年度夏季につきましては、至近10ヶ年で最も厳しい気象条件になった場合でも、供給予備力3%が確保できる見通しでございます。さらにそのH1需要の発生時にN-1故障が起こった場合においても追加的な対策を行うことによって3%確保できるということでございます。ただし、本機関といたしましては、需給ひっ迫時の対応を担っているという責任を自覚しまして、万一の緊急時に対応できる協調体制を構築して維持をしてまいる所存でございます。説明については以上でございます。
○野間口議長
ありがとうございます。ご意見、ご質問ございませんでしょうか。それでは、本日予定しておりました議題は以上となりますが、金本理事長から一言お願いします。
●金本理事長
長時間にわたりまして、ややこしいお話にお付き合いいただきまして、ありがとうございました。なかなか専門的なお話になりまして、面白くない、理解が難しいということがあろうかと思います。なるべく我々においても分かりやすくご説明するよう努力しておりますが、まだまだ私も聞いておりまして、初めて聞く人には分からないだろうなというご説明がいろいろございました。これからも、それについては努力してまいりたいと思います。また今回、規程の変更につきましては、先着優先を間接オークションに変えるという非常に大きな改革によるものでございます。これは、広域機関発足の時に予定されていたことではなくて、我々や役所も含めまして、何が起きているのかを見ている中で出てきたということでございます。これだけではなくて、これから特に2020年、発送電分離に向けてはいろいろな変化が必須だと思います。それについて、また評議員会でもいろいろご意見をいただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
○野間口議長
どうもありがとうございました。それでは、本日の評議員会を終了といたします。
以上、この議事録が正確であることを証するため、出席した議長及び評議員2名は、記名押印する。
電力広域的運営推進機関評議員会
議長 野間口 有
評議員 松岡 萬里野
評議員 横山 明彦
関連資料
第1回評議員会 議事次第
(89KB)
第1号議案 業務規程の変更について(総会議決事項)
(813KB)
第2号議案 送配電等業務指針の変更について(総会報告事項)
(618KB)
第3号議案 平成28年度事業報告について(総会議決事項)
(381KB)
第4号議案 平成28年度決算報告について(総会議決事項)
(224KB)
第5号議案 事務局の職制及び権限に関する規程の変更について
(204KB)
別紙1 業務規程・送配電等業務指針変更の概要について(案)(第1、2号議案説明資料)
(1430KB)
別紙2 平成28年度の事業報告書及び財務諸表について(第3、4号議案説明資料)
(190KB)
報告事項1-1 広域機関システムの開発に関する第三者評価委員会からの報告
(371KB)
報告事項1-2 「広域機関システムの開発に関する第三者評価委員会」からの提言への広域機関の対応方針について
(412KB)
報告事項2 一般社団法人日本卸電力取引所に対する誤った地域間連系線空容量情報の送信について
(211KB)
報告事項3 電力需給検証報告について
(1039KB)




